【衝撃トランポノミクス・識者に聞く】(下) 企業名指しで干渉、懸念――岡藤正広氏(『伊藤忠商事』社長)

20170105 01
アメリカのドナルド・トランプ次期大統領は、これまでの大統領とは全く異なる“規格外”の人物という印象を持っている。実業家ならではの発想が垣間見える。大規模な減税やインフラ(社会基盤)整備の拡大等の政策は、基本的には経済に追い風だろう。アメリカのインフラは老朽化が進んでおり、道路・鉄道・橋等を中心に投資の必要性がある。実際に巨額の投資を行うなら、『伊藤忠商事』を含めた日本企業にもビジネスの好機となる。また、トランプ氏は規制緩和を打ち出している。エネルギー分野ではシェールガスやシェールオイルの開発をし易くなり、原油や天然ガスの生産量は増える可能性がある。銀行の業務を制限する規制も緩和されれば、金融機関にも収益機会が広がるだろう。ただ、トランプ氏がどこまで具体的に実行するかはわからない。だから、企業は時機を逃さないように準備を進めても、実際に乗り出す時は慎重に考えないといけない。次期大統領が(『ボーイング』や『キャリア』等)個別企業の経済活動に干渉していることも気がかりだ。

トランプ氏がいつまでも大企業を標的にするかは疑問だが、現実に名指しされた企業は、何らかの対応を取らざるを得ない。嘗て、対米貿易で多額の黒字を計上した日本は、繊維や自動車等様々な製品を巡り、アメリカと貿易摩擦を引き起こした。トランプ新政権になった場合、日本企業も狙われる懸念が無い訳ではない。自国産業を守る保護主義的な政策にも注意が必要だ。『環太平洋経済連携協定(TPP)』からの離脱を明言しており、実際に踏み切れば、TPP発効に備えてきた日本企業は対応を迫られる。例えば、伊藤忠ではアメリカ向けの衣類を生産する工場を、TPP参加国のべトナムに持っている。アメリカがTPPを批准せずに関税を撤廃・削減しないのであれば、販路を日本に変更することも考えねばならない。『北米自由貿易協定(NAFTA)』の見直しが実際に行われ、(アメリカ向けの部品や完成車の生産・輸出拠点である)メキシコからの製品にアメリカが関税をかければ、メキシコに進出する日本の自動車メーカーには打撃となる。トランプ氏が大統領就任後にどのように動くのかは、多くの人は予測できないのが実情だ。情報収集の重要性が増しており、業界によってはロビー活動が強化される可能性もあるだろう。トランプ氏は過激な発言が目立ってきたが、合理的な判断をすると思っている。 (聞き手/経済部 金島弘典)


⦿読売新聞 2016年12月26日付掲載⦿
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