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【デジタル行政・失われた20年】(下) 手つかずの人材育成

20201030 02
デジタル行政の成果は、それを統率し、支える人材の有無で決まる。コロナ禍で明らかになった日本の現状は、あまりに心許無い。新型コロナウイルスの第一波が日本を襲った4月上旬、民間から厚生労働省のクラスター対策班に加わった人がいる。ビッグデータ分析を手掛ける『ALBERT(アルベルト)』の7人のデータサイエンティストたちだ。通信会社の位置情報データ等を使い、他人同士の接触頻度を分析するのが主な任務。臨時の国家公務員として班に合流した。だが目にしたのは、データを分析する環境も人材も揃っていない驚きの光景だ。北海道大学や東北大学から参加した研究者や学生らは、各自が持ち込んだパソコンやモバイルルーターでインターネットに接続していた。作業体制の整備が最初の仕事だった。「致命的な問題だった」と参加した中村一翔氏(33)が振り返るのが、司令塔の不在。集めたデータをどう分析し、ウイルス対応に生かすのか。データサイエンティストや研究者と意思疎通を図り、全体方針を決める存在が政府にいなかった。ALBERTの松本壮志社長は、「政府内にもデータサイエンティストが必要」と指摘する。有事に民間の手を借りるにも、日頃からデータを活用していないと能力を引き出せない。

日本政府はIT先進国になる目標を2000年に掲げながら、必要な人材を育てようとした形跡がない。霞が関の人事制度は、ゼネラリスト養成に主眼を置く旧来の発想のままだ。年7000億~8000億円ものIT予算を使いながら果実は乏しく、コロナ禍では人材育成を怠ったツケを払わされた。IT予算の6割強は、省庁毎に分かれた現行システムの維持・管理等に消えている。限られた財源を実のある投資に回すには、行政システムの革新を主導する人材の力が必要だ。菅義偉首相はIT政策に詳しい平井卓也氏をデジタル改革担当大臣に任命したが、デジタルトランスフォーメーション(※DX)に必要なのはリーダーに限らない。関係者との調整にあたるマネージャー、業務フローを把握して運営に責任を持つプロダクトオーナー、システムを構築するエンジニアら3~4類型の人材が一般に必要とされる。行政機構には全てが足りない。解決するには、育成と外部登用の両面で新しい発想が要る。『行政情報システム研究所』の狩野英司主席研究員は、「海外に比べ、日本はIT業界と行政の間の人材の行き来が極めて限定的」と話す。外部からの人材に権限を与える人事制度や、ITやデジタルの専門職を作る公務員制度改革等が検討課題だ。デジタル人材不足は民間にも通じる。スイスのビジネススクール『IMD』の世界デジタル競争力ランキングで、日本のデジタル関連のスキルを示す指標は63ヵ国・地域中、62位に沈む。官民がDXを競い、デジタル人材力を底上げする。そんなアップデートの成否が日本の競争力を左右する。

                    ◇

杉原淳一・広瀬洋平・生川暁・八十島綾平・橋本剛志が担当しました。


キャプチャ  2020年10月9日付掲載
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