【ブラック企業をブッ潰せ!】(04) 「強いホワイト企業を助け、ブラック企業を退出させる改革を」――冨山和彦氏(『経営共創基盤』CEO)インタビュー

20170105 09
働き方改革の明確な目標の1つは、労働生産性を上げることだ。労働生産性の停滞が、日本経済の成長と賃金上昇の足枷になっている。労働生産性は、“付加価値÷労働時間”で求められる。分母の労働時間が増えれば、分子に当たる商品やサービス等の付加価値が上がらない限り、生産性は下がる。一方、同じ労働時間内で付加価値を上げれば、生産性は上昇する。その為、労働時間の上限規制の議論があるが、規制をしてもいい職種と、してはいけない職種がある。時間で働くタイプの仕事――例えば飲食店や小売店の店員・介護員・バスやタクシーの運転手等、サービス産業の職種に時間規制を導入することは賛成だ。だらだらと労働時間だけが伸びても、付加価値が大きく上がる訳ではないので、生産性が上がらない。実は、日本のサラリーマンの8割は、正規・非正規を含め、その部類に入る。大企業の現場の多くは、それほどクリエイティブ(創造的)な仕事をしていない。例えば、大手IT企業のシステムエンジニア(SE)等を見ても、プログラムコードの入力等は単純作業だ。こうした職場で如何に生産性を上げるかを考えたら、付加価値が上がらなければ労働時間を減らすしかない。労働時間の減少は、結果的に、より快適な職場環境を従業員に提供するインセンティブになる。

一方で、かけた時間とアウトプット(成果)が比例しないタイプの職種もある。高いレベルのクリエイティブが求められる人たちだ。SEであれば、基本的なアーキテクトを考案する担当者等は、1時間で良いアイデアが浮かぶ場合もあれば、100時間かけて浮かぶこともある。こうした職種は、若い時に相当厳しい職業人としての鍛錬をしないと、競争に勝ち残っていけない。今、話題の人工知能(AI)を開発するような仕事をする人もそうで、付加価値で勝負する職種と言える。そうした人たちにも時間規制をかけて、「これ以上、仕事をするな」と言うのはナンセンスだ。これは、世界で戦うテニスプレーヤーの錦織圭選手に、「それ以上、練習をするな」と言うのと同じだ。つまり、生産性が分子(=付加価値)で決まる職種を時間という概念で抑えると、グローバルで競争をしている日本の産業が全部ダメになる。逆に言えば、グローバル企業の競争は、時間で働く工場労働者の競争力の勝負ではなくなり、知的創造性イノベーションで勝負する時代に入っている。勝敗を決めるのは、会社のトップクラスの戦闘能力だ。既に、日本経済の3割は、そうしたグローバル経済圏にある。日々、ビジネスの世界のグランドスラムを戦っている。寝る間も無く世界で戦っている人は、自分がブラックな環境にいるとは思わない。未だ経験の無い若い人も、懸命にランキングを上げている。そうした時に上限規制を入れて、「日本にいたら練習ができない」となれば、人材流出に繋がる。長時間労働是正の議論は、日本の労働者にも2つのタイプがあることを前提に進めなければならない。上限規制の導入に文句を言う企業があったとしても、それは働き手の労働効率が悪く、長時間労働を強いる本当のブラック企業だ。そんな会社は潰れても構わない。既に人手不足の時代に突入しているので、より生産性の高いホワイト企業が働き手を吸収してくれる。働き方改革は、ホワイトな経営をする強い会社を助け、そうでない会社は市場から退出させるような施策であるべきだ。 (聞き手/本誌 大堀達也)


キャプチャ  2016年12月13日号掲載
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