【まとめサイト・不信の連鎖】(01) クリック数が最優先

『DeNA』のキュレーションサイトを巡る不信は、他の企業にも野火のように広がった。情報の信頼性を揺るがす問題を生んだ理由と構図に迫る。

20170106 02
「申し訳ございませんでした」――。今月8日朝。DeNA社長の守安功(43・左画像中央)は、深々と頭を下げた。特定のテーマの情報をインターネット上で纏めて提供する“キュレーションサイト”を巡る不祥事で謝罪会見を開いた翌日のことだ。前夜と同じ言葉だが、その相手は『任天堂』社長の君島達己(66)だった。前7日夜の謝罪会見は、3時間以上に及んだ。心身共に疲労を隠せぬ守安だったが、息つく暇も無く新幹線に飛び乗り、京都にお忍びで向かった。「提携解消になるかもしれない…」。その不安を振り払いたかった。昨年、スマートフォンゲームの開発で任天堂と資本提携したDeNA。大型作品の『スーパーマリオラン』の配信が間近に迫っていた。不振が続くゲーム事業立て直しに向けた期待の新星だ。漸く育ち始めたメディア事業が揺らぐ中、ここで関係を切られる訳にはいかない。優しく出迎えた君島の姿に、守安は安堵の表情を浮かべた。しかし、キュレーションサイトを巡る問題が解決し訳ではない。騒動の震源となった医療情報サイト『WELQ』。秋口から、「肩こりは幽霊が原因かも」といった不適切な内容を批判する専門家らの指摘が相次いでいた。“個別の投稿者の誤り”といった問題に止まらなかったのは、DeNAが“2つの顔”を使い分けてきたからだ。DeNAは、運営する10のキュレーションサイトを“プラットフォーム”と謳ってきた。“キュレーション”は、“学芸員”を意味する“キュレーター”に由来する。本来は、投稿者が書いた記事を掲載する場所貸しビジネスだ。プラットフォームの場合、掲載情報の責任は原則として投稿者にある。運営者を守る法律でも問題が起こった場合は、原則的に「事後対応でいい」とされている。実際、サイト上でも「情報に責任は負わない」と明記していた。

ところが、DeNAはもう1つの顔を使い、ビジネスをしていた。自ら情報を発信する“メディア”として記事を量産し、広告料を稼いでいた。DeNAの編集部では、1文字1円以下で外部ライターに記事を大量に発注。広告収入の単価が跳ね上がる検索上位に選ばれるように、書き方も細かく指南していた。「何が起きているのかを知りたい」。先月上旬。守安は密かに、社内で問題を巡る対策組織の設立を指示していた。インターネットサイトの“炎上”を見て、「キュレーション事業の運営の実情を把握できていなかった」と気付いた為だ。守安自身も、数字の裏側を見抜けていなかった。キュレーションサイトを手がけるメディア事業部。責任者は、『サイバーエージェント』の新卒1期生の村田マリ(38)だ。自ら立ち上げたキュレーションサイトを2014年にDeNAに売却し、ポストに就いた。村田自身はシンガポール在住。入社後も、遠隔から指揮を執る。昨年4~6月に3億円に満たなかった売上高は、今年7~9月に約15億円と急成長。9月には、閲覧者数が10媒体合計で月1億6000万人に迫り、単月黒字を達成した。その一方で、稼ぎ頭だったモバイル端末向けのゲーム事業は失速。今年3月期の連結営業利益は、3年で4分の1近くまで縮んだ。「新しい収益源を確保したい」――。サイトの閲覧者数を重要指標に位置付けた判断が、暴走の引き金になった。インターネット上のマーケティングを担うグロースハック部は、インターネット検索結果の上位を目指し、只管に閲覧者数の増加に心血を注いだ。記事はクリックされることを最優先事項として、テーマ・内容・分量を決めた。その姿は、社内でも「まるでゲームを攻略するかのようだった」と映った。インテリア情報の『iemo』に食関連情報の『CAFY』…。DeNAのサイトは上位を独占した。「このやり方は間違っている」。勿論、メディア事業の強引な方針に異を唱える社員もいた。他の事業で実績を上げた優秀な人材も投入されたが、方針に沿わない社員は、事業部の中で居場所を失っていった。「成長を優先し、管理体制ができていなかった」と守安。謝罪会見では「(個人間取引の)メルカリ等、他のベンチャー企業の成長に焦りがあった」と、自らに問いかけるように打ち明けた。 《敬称略》


⦿日本経済新聞 2016年12月27日付掲載⦿
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