【2017年の世界はこうなる】(12) 戦争塗れの中東を救う道は

20170110 20
中東紛争は2016年、地域の最重要課題であるイスラエル・パレスチナ問題を遥かに超えて膨張し続けた。イラク、リビア、シリア、イエメンの主要4ヵ国が、内戦で引き裂かれている。これらの紛争は、直接的にも間接的にも世界の他地域に影響を与えている。中東が“輸出”するテロと難民が、欧米でポピュリズムと独裁政治の復活に貢献しているのだ。2017年の国際社会では、「中東から溢れ出る脅威を止めなければならない」という圧力が、嘗てないほど高まるだろう。先ず優先すべきなのは、イスラエルとパレスチナの和平交渉の再開だ。明確な条件を定めて、国際社会に支持されるような合意に到達できれば、イスラエルの治安が保障され、アラブ諸国を中心とする地域との関係は正常化に向かうだろう。アメリカのドナルド・トランプ次期大統領には、和平交渉におけるアメリカの役割を復活させてほしい。選挙期間中のイスラエルやパレスチナに関する発言が政策提案ではないことを願いたい。テロ組織『IS(イスラミックステート)』が支援するテロ攻撃の標的となっているフランスもまた、和平交渉の再開に関心を示している。ロシアも、パレスチナとイスラエルの指導者をモスクワで直接交渉させようと働き掛けた。サウジアラビアの故アブドラ前国王は、皇太子時代の2002年、イスラエルの占領地からの撤退と、東エルサレムを首都とするパレスチナ国家樹立を軸に、正常な関係の構築を目指す『アラブ和平イニシアティブ』を提唱。アラブ連盟が採択し、紛争の全当事者も前向きに捉えている。国際社会も、これを受け入れるべきだ。

イラク、リビア、シリア、イエメンに関しては、其々の国のテロ組織の拠点に対し、国際社会が共同して軍事作戦を継続する必要がある。外国の介入者と中東の無責任な指導者たちは、イラク戦争を始めて“パンドラの箱”を開けた。この大失敗から世界が学ぶべきことは、「国を分割すると、あまりに広範囲で予測不可能な地政学的結果を招く」ということだ。イラクとシリアでは、特定の派閥が権力の空白に乗じ、報復主義と領土回復主義を煽っている。本人たちが「継承する権利がある」と考えている土地や資源を無理に奪うような合意は、状況を悪化させるだけだ。イラク、リビア、シリア、イエメンで続く代理戦争は、イスラム教シーア派とスンニ派の対立と見做されがちだ。しかし、宗派間の戦いの根底には、イランとサウジアラビアの相互不信がある。これら地域の2大国の立場の違いを解決すれば、前向きな波及効果が広がるだろう。つまり、宗派対立の解決には、融和的なモデルに基づく高レベルの政治的努力が必要となる。2016年4月に開催された『イスラム協力機構(OIC)』首脳会議で、トルコとカザフスタンがイスラム諸国の和解と結束を呼び掛けたことも、その1つだ。イランとサウジアラビアの関係は確かに緊迫しているが、両国は過去に様々な問題で合意してきた。シーア派とスンニ派が平和的に共存してきた例も、歴史上には沢山ある。大胆な努力をしなければ、内戦とテロは中東に甚大な破滅を齎し続けるだろう。イラク、リビア、シリア、イエメンの大半で貿易・産業・輸送が停滞し、医療・教育・文化遺産の他、多くの社会制度が荒廃している。紛争終結の努力を少しでも前進させる為には、第2次世界大戦後のマーシャルプラン(ヨーロッパ復興計画)を手本とした大規模な復興プロジェクトを並行させて、戦争に後戻りさせないことが肝心だ。更に、政治改革を断行し、地域全体で人権・法の支配・権力の透明性等を最優先させなければならない。武力衝突を回避して、比較的安定を保っている国々が責任を持ち、地域全体の安定を取り戻す手助けをすべきだ。 (前トルコ大統領 アブドラ・ギュル)


キャプチャ  2017年1月3日・10日号掲載
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テーマ : 中東問題
ジャンル : 政治・経済

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