【科学捜査フロントライン】(06) アメリカと日本の2トップが大きくリード…世界の科学捜査は今

最新装置で地中深くの遺体を発見し、最先端のDNA型鑑定で犯人の人種まで特定…。アメリカと日本が主導し、ドイツやインドも台頭する世界の科学捜査とは――。 (取材・文/フリーライター 本郷海)

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惜しまれつつシリーズが終了した海外の人気ドラマ『CSI:科学捜査班』(CBSテレビ系)。事件が発生した現場で犯人の遺留物を採取したり、持ち帰った証拠を解析したりするシーンでは、最新の機器や技術が駆使されていた。そうしたリアリティー溢れる描写が、世界中のファンから長く愛された理由だろう。しかし、各国の捜査機関では、ドラマ以上に様々な面で技術革新が進み、凶悪化・グローバル化する犯罪の形態や手口に対応している。ここでは、それら科学捜査の最先端を紹介していくが、先ずは一番オーソドックスな“指紋鑑定”から始めたい。ヒトの指紋が個人特定に絶大な効果を発揮できるのは、世の中に同一の指紋を持つ人間が存在しない“万人不同”と、死ぬまで紋様が変わらない“終生不変”の特徴があるからだ。そして、指紋の採取や照合の技術は、加速度的に進歩を遂げている。現場に残されていた指紋と、保存されている犯罪者の指紋をコンピュータで照合する『自動指紋識別システム』(通称『AFIS』)では、照合にかかる速度は1件当たり0.1秒未満で、一致しない指紋は素早く除外し、特徴点が符合する指紋を選び出すのだ。この自動指紋識別システムは、アメリカで1960年代から研究が始まり、『FBI(連邦捜査局)』では1978年、日本の警察庁では1982年から導入が始まり、他先進国の捜査機関でもほぼ100%導入されている。「現在、警察庁の指紋センターには、過去に検挙された犯罪者の指紋が1000万件以上登録されていますが、この膨大なデータにアクセスするには、一度、署に戻らないといけませんでした。ところが、最近ではモバイル版のAFISシステムが活躍しています。タッチパネル部分に指を置くと、レーザーで指紋を読み取り、ネットワークで繋がる指紋テータベースと照合するのです」(元某県警鑑識課員)。犯行現場でも迅速に照合でき、また災害現場における身元確認作業でも有能なツールと見られている。

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また、“臭い”を頼りに捜索する際でも、画期的な手法が広まっている。地滑りや死体遺棄等で地中の遺体を捜索する場合に、ヒトよりも2000倍から1億倍も嗅覚が優れているという警察犬を使うケースは少なくない。ところが、あまりにも地中深くなると、警察犬でも感知できないことが多い為、捜索は非常に困難だった。そこで、アメリカの『国立標準技術研究所』では、新しい装置を開発。それを使えば、遺体が発する『ニンヒドリン反応性窒素(NRN)』を検出することで、発見できるという。捜索方法は、「死体が埋まっている」と予想される地中に長い針を刺して、NRNを採取するだけだ。たとえ、厚さ50㎝のコンクリートの下に死体があっても、針を差し込む小さい穴があれば、発見が可能とされる。「今のところ、NRNを採取する針の部分だけしか持ち歩けませんが、改良が進んで、検出部分も小型化できれば、現場でも死体の場所が特定できるようになる筈です」(同)。各国の警察や軍関係者等が、朗報の届くことを首を長くして待っているという。そして、今や人物特定の最終手段として定着した感のある“DNA型鑑定”だが、更に精度の高い鑑定法も研究されている。ヒトのDNAを詳細に分析すると、4つの塩基で構成されていることがわかる。この塩基の総数は凡そ30億あるのだが、その内の数百万個には個体差があるという。その特徴ある塩基(SNPs)の配列を解明すれば、肌や髪等の色・骨格・体質等も探ることができ、SNPsを持つ人間の身体的特徴もわかるのだ。アメリカでは既に、捜査での活用が始まっている。アメリカ国内で発生したある殺人事件の現場において、採取した犯人のDNAを鑑定したが、その型に一致する人物を見つけられなかった。その後、SNPsに注目して再度、DNA型鑑定を行ったところ、犯人の人種等を特定することに成功したという。日本でのSNPsは医療面のみで研究が進められたが、最近は少しずつ犯人の絞り込み作業等で導入が始まっているとされる。「SNPsなら、僅かな試料でも鑑定できる為、長い年月が経って劣化した場合も、人物特定が可能と言われている。だから、何十年も前に発生し、その後、犯人を検挙できずに迷宮入りした事件の解決も、大いにあり得る」(犯罪ジャーナリスト)。

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映画やドラマの影響で“犯罪者プロファイリング”は有名になったが、事件が発生してから心理学・文化人類学等の手法を駆使し、犯人像に迫る為、事件防止にはならなかった。そこで、ここ数年は事件の発生を予測し、前以て捜査員を増やす等して、事件を穏便に解決に導く管理システム『コムスタット』が幅を利かせている。コムスタットとは“コンピュータ”と“統計学”を統合した造語で、コンピュータを活用した犯罪統計の管理システムだ。地図情報システムと併用し、過去に起きた犯罪情報を分析することで、近く発生が予想される事件の場所と時間等を推測するという画期的な予防策である。その推測に沿って、監視カメラを増やす等の対策を施し、事件を発生させない、若しくは起きたとしても犯人をスピード逮捕することで、治安維持を狙っている。ニューヨーク市警は、コムスタットを導入すると劇的な効果を得られたという。日本でも、神奈川県警が多発する性犯罪の捜査に活用したことで、素早い犯人の確保を実現したとされる。今後、世界中でコムスタットが導入されそうだ。以上、科学捜査の最先端を見てきたが、この分野はアメリカと日本が世界を大きくリードしている2強と言っても過言ではない。それでも、指紋や目の虹彩等で人物を識別する生体認証機能を持つ機器を製造する世界的なメーカーは、ドイツ等にも多い。また、有能なIT技術者がインドを筆頭にアジア圏で増加していることもあり、今後はヨーロッパやアジア発信の科学捜査の機器や手法が、世界各国の捜査機関で重用されることも予想される。科学捜査におけるアメリカと日本の2トップの地位も、決して安泰ではないのだ。


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