【ブラック企業をブッ潰せ!】(06) データで見る働き方最前線

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■女性は輝いているか…活躍推進は業績改善の近道
生産年齢人口(15~64歳)の減少や、共働き世帯の増加等もあり、働き手としての女性の存在感が高まっている。そこで政府は、女性活躍促進を成長戦略の重要政策として打ち出した。また、企業においては、人手不足に対する労働力確保だけでなく、新しい視点を取り入れることや、男性の働き方改革にも繋がり、企業の成長に女性の活躍が不可欠という認識も広がりをみせている。『帝国データバンク』の『女性登用に対する企業の意識調査』によると、全国の企業における女性管理職の割合は平均6.6%で、前年より0.2ポイント上昇していた(図1)。業種別に見ると、小売り・通信・サービス・金融で高い。細かい業種をみると、サービスの“娯楽サービス”と“人材派遣・紹介”が、前年のトップ10外から10位以内に上昇した(表1)。女性管理職の登用における考え方について、「一般的な家庭を持つ身近な女性による管理職のロールモデルを作り、広げていきたい」(投資業)等、社内で事例を積み重ねながら進めていこうとする様子が窺える。先進的な業種では、「女性比率の高い職場の為、男女問わず、能力や実績による活用・登用を実施している」(フィットネスクラブ)、「有能であれば、男性・女性に関わらず登用する」(民間職業紹介)と、従来から能力に応じて登用している企業も多くみられる。では、女性の活躍を促進する為に、企業は何が重要と考えているのだろうか。昨年の調査では、“仕事と子育ての両立支援(育休復帰支援等)”が57.4%で最も高かった(表2)。“妊娠・出産・子育て支援の充実”が54.3%、“保育サービスの充実(待機児童や保育士不足の解消等)”が44.8%と、子育ての負担軽減に関する項目がトップ3を占めた。

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上位をみると、「男性の育児・介護休業取得、育児参加の促進”・“働き方の改革(長時間労働の削減等)”・“ワークライフバランスを推進する企業を幅広く評価する枠組みの導入”等、女性が活躍する為には、男性に対しても地域や社会全体で支える仕組みが重要と言える。その結果から、女性活躍推進の為に重視すべき項目は大きく分けて、①女性登用状況開示義務化等“社会の制度拡充”②妊娠・出産・子育て支援の充実等“家庭の負担軽減”③マタニティーハラスメント対策強化等“職場の働き方見直し”――の3つに纏めることができる。女性の活躍を促進する為のキーポイントだ。そこで、この3項目の実施の有無が、企業業績(売り上げ)にどのような影響を与えるかを分析した(図2)。図中のパーセントは、矢印方向への影響度を示す。「“社会の制度拡充”が進んだ」と答えた企業で、女性管理職割合が1.2%上昇したという意味だ。3つの項目は全て、女性管理職割合の上昇に繋がっている。但し、その影響度合いは項目により異なり、“職場の働き方見直し”は“社会の制度拡充”の3.8倍の効果がある。女性が働き易い職場環境を作ることがより重要だと言える。女性管理職割合と業績は、女性管理職割合が1%上昇した場合、2年連続増収する確率が0.52%上昇するという結果となった。女性が活躍できる環境は、女性管理職割合の上昇→2年連続増収の確率上昇と段階を経て、企業業績を押し上げることが明らかとなった。女性が活躍できる環境を、社会・家庭・職場の3分野で其々整えることは、業績改善の近道と言えよう。その為には、女性の働き方だけでなく、社会制度・男性の働き方・職場の各種制度を整えていくことが重要だ。

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■賃上げの罠…業績に見合わないのは危険
安倍首相は先月16日、政府の『働き方改革実現会議』で、来年の春闘で「少なくとも今年並みの水準の賃上げを期待したい」と経済界に要請した。4年連続となる政府主導の“官製春闘”は、中小企業にとって業績を左右する可能性すら孕む。賃金動向はアべノミクスの行方を決める要素として注目されるが、業績に見合わない賃上げは危険だ。昨年度は、3社に2社が賃上げを実施した。帝国データバンクの『賃金動向に関する企業の意識調査』によると、今年度も半数近くの企業が賃上げを実施するとみられている(上表)。「賃上げを実施する」と回答した企業は中小企業、中でも従業員数100人以下の企業の割合が高い。調査結果から、企業の総人件費は平均2.49%上昇し、従業員への給与・賞与は約3.4兆円増加すると推計される。一見すると企業業績が改善し、従業員への還元が進んでいるかのようだ。しかし、調査結果を詳しく分析すると、決して楽観視できない。調査によると、今年度に賃上げの理由として最も多かったのは、“労働力の定着・確保”の73.8%で、過去最高を記録した(図1)。“自社の業績拡大”(46.2%)が続いたが、3年連続で減少した。優秀な人材確保の為に“同業他社の賃金動向”(21.1%)を理由にする企業も過去最高となり、自社の業績による本来の姿から、他社の賃金動向をより意識する傾向が強まっているのが実態と言えよう。

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賃上げの理由に“労働力の定着・確保”と回答したのは、従業員数51~100人の企業では77.8%に達した。21~50人で76.0%等、中堅企業でより高くなっている(図2)。これらの企業は、同規模の他社だけでなく、大企業との競争にも直面し、優れた人材を確保することが、生き残りをかけた重要な経営戦略となっている。アンケートの回答から、「質の向上の為」(化学製品卸売り)、「全ては人員確保の為であり、苦渋の選択」(情報家電機器小売り)と悲痛な声も上がっている。今年度に賃上げを実施しない理由は、“自社の業績低迷”が61.5%で最も高かった(図3)。前年調査より減少したものの、10年連続で最多となっている。人員確保に当たり、「業績に応じて賞与で対応している。今期業績ではベースアップはできない」(給排水衛生設備工事)、「賃金の代わりに休暇制度を充実させた」(旅館)と、賃上げではなく福利厚生で従業員に報いる方法を取る企業もみられる。日銀による金融緩和政策が長期化する中、海外の経済情勢も不透明感が増している。企業にとって厳しい環境にありながら、人員確保の為に賃上げに前向きな企業割合は、引き続き高水準だ。しかし、賃金は本来、企業の業績拡大を通じて上昇することが望ましい。業績が伴わない賃上げは、労働者に過重な負担を強いることにも繋がる。業績が追いついていない現状では、賃上げは長続きしない。

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■人手不足…放送・家電情報機器小売りが深刻
有効求人倍率の上昇や失業率の低下は、求職者にとって明るい材料となる一方、企業側は人件費等のコスト負担が高まり、業績回復の足枷ともなりかねない。また、人口減少と産業構造の変化による人手不足で、人材の獲得競争が激しさを増している。帝国データバンクの調査(先月)では、正社員が“適正”と判断している企業は47.22%と半数を下回っている。一方、「正社員が不足している」と回答した企業は41.8%(図1)で、過去10年で最も深刻な状態となっている(図2)。2008年のリーマンショックを経て、2009年4月には12.9%まで下がった後、ほぼ右肩上がりで上昇している。正社員を“不足”と回答した企業を業種別にみると、放送が87.5%(前年同月比28.7ポイント増)で最も高い。家電情報機器小売りが64.7%(同9.7ポイント増)、自動車・同部品小売りが61.2%(同14.1ポイント増)、建設が59.2%(同3.8ポイント増)、電気通信が55.6%(同28.3ポイント増)等、10業種が5割を超えた(下表)。特に、放送、自動車・同部品小売り、電気通信は、前回調査から10ポイントを上回る大幅増となった。最も少なかった教育サービスでも22.2%と、何れの業種でも人手不足に悩んでいることが顕著に表れる結果となった。

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企業からは、「人手不足は長期に亘って解消する見込みがない」(ビルメンテナンス)、「雇用したいが、条件面等で若い人材は都市部に取られてしまう」(水産食料品製造)といった懸念がみられた。また、「公共工事の発注が多く、人手不足な状態である」(土木工事)、「受注できる筈の仕事が、人手不足の為に受注できず、売り上げに影響している」(警備)、「大手が人の引き抜きを繰り返し、中小企業は辛い状況が続いている」(ソフト受託開発)等、仕事を抱えつつも人手が足りないことを指摘する意見や、人手不足が売り上げや利益に悪影響を及ぼしているという声も上がった。非正規社員が“不足”と回答した企業は27.2%となった。最も不足していると感じている業種は、飲食店の75.0%(前年同月比0.6ポイント増)だった。飲食店は、正社員でも52.8%が不足と回答しており、慢性的な人手不足が窺える。「パート求人募集も殆ど応募が無く、営業活動に支障が出る可能性がある」(婦人子供服御売り)や、「受注は堅調であるが、人手不足により労働コストが上昇しており、利益確保が不透明」(一般貨物自動車運送)等、人手不足は深刻だ。企業の業績が伸び悩む中で、人手不足を解消する為の採用コスト上昇は、業績に与える影響が大きい。人手不足は、新たな業務受注を抑制する要因ともなり得る。それだけでなく、業績改善に向け、従業員数に見合わない無理な受注をするようになれば、労働強化に直結する。


キャプチャ  2016年12月13日号掲載

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テーマ : ブラック企業
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