【仁義なきメディア戦争】(09) 『AT&T』×『タイムワーナー』が意味するもの

20170116 16
先月末、アメリカの通信大手『AT&T』が、メディア大手の『タイムワーナー』を買収すると発表した。買収総額は約854億ドル(9兆円弱)。21世紀に入って最大規模のメディアの統合で、“世紀の買収”と称されても不思議ではない。世界のメディアは、大規模な合従連衡に向かっているのだろうか。AT&Tは、携帯電話事業では『ベライゾンコミュニケーションズ』に次いでアメリカ第2位。映画部門の『ワーナーブラザース』、ニュース専門局の『CNN』、ケーブルテレビ局の『HBO』等、数々のコンテンツ企業を持つタイムワーナーを買収する背景には、メディア環境の激変がある。“コングロマリット”と呼ばれる総合メディア企業が、出版から新聞・テレビ・映画まで全てを牛耳る時代は終わり、どんなコンテンツを、アナログ(紙・新聞・テレビ等)とデジタル(インターネットやスマートフォンアプリ)にどう流通させるかが重要になってきている。メディアに近接する通信業界にとっても、これは対岸の火事ではない。大量のデータをやり取りできるスマホの普及によって、動画もテレビや映画館でなく通信端末で視聴される。

動画市場は、無料で利用できる『YouTube』に加え、お金を払って上質な番組が見られる『NETFLIX』・『Hulu』・『Amazonプライム』等、新たなプラットフォームが続々と出てきている。ワーナーブラザースは映画を中心に、過去の映像資産も豊富に保有している。これをAmazon等の新興プラットフォームに販売すれば、収益を生む。値下げ競争が激しい携帯電話事業だけでは先細り。だからこそ、AT&Tはコンテンツ獲得で起死回生を狙っているのだ。新聞を中心としたニュースメディアも、『ヤフー』や『フェイスブック』といった新興プラットフォームに揺さぶりをかけられている。先進国を中心に、紙媒体の発行部数は下落の一途を辿る。だが、『日本経済新聞』や『フィナンシャルタイムズ』等、経済紙は兎も角、多くの二ュースメディアは課金をすれば読者が逃げる。そこで頼みの綱となるのがデジタル広告だが、この市場を牛耳っているのはニュース組織ではなく、『Google』とフェイスブックの2社だ。ニュースのアクセスポイントも激変している。特定のニュースブランドのサイトやアプリを利用するよりも、ソーシャルメディアや『WhatsApp』・『LINE』等のメッセージアプリで情報が伝わっていく。ブラウザを立ち上げなくても記事を読むことができるフェイスブックの『インスタントアーティクルズ』や、動画を中継できる『フェイスブックライブ』、そして『Apple』が提供する『ニュース』にも、大手主要紙は参加している。グーグル・フェイスブック・Appleへの依存が増える中で、自社のコンテンツ力を強化する為のメディア再編がまだまだ続きそうだ。 (取材・文/在英ジャーナリスト 小林恭子)


キャプチャ  2016年11月19日号掲載
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