【Test drive impression】(06) 『スバル BRZ GT 6MT』――自動車ジャーナリストが自腹で買ったBRZの実力とは?

昨年8月、『スバル』の『BRZ』史上最大規模のマイナーチェンジが敢行され、10月にトップモデルとして追加されたのが、この『GT』というグレードだ。兄弟車である『トヨタ自動車』の『86』でも、期間限定の特別仕様車『GTソーラーオレンジリミテッド』としてリリースされたモデルがあるが、内容的にはほぼ同様のものと考えてもらっていいだろう。GTはノーマルと一体何が違うかと言えば、先ずサスペンション。『ザックス』という、ドイツ車では定番と言える老舗サプライヤーのショックアブソーバーを用いている。そしてブレーキは、車好きには“3種の神器”と呼ばれるイタリアの『ブレンボ』製ブレーキキャリバーを備えているのだ。要は、そうした一流のパーツを用いて、走りに拘った特別なグレードということだ。実は筆者、2012年にスバルBRZと出会った途端にベタ惚れし、直ぐに手に入れた。最初に購入したBRZを1年半乗った後、スバルのモータースポーツを手がける『STI』から送り出された特別なモデル『BRZ tS』に買い替え、暫く愛車としてきた。まぁ、今だから言える話だけど、BRZとの足かけ4年の関係には、ちょっとだけ飽きがきていた(笑)。しかし昨夏、BRZの大規模マイナーチェンジの試乗会で、GTの6MTに試乗し、BRZへの思いが再燃。これまで愛車としていたBRZ tSから、更に買い替えを決意。何故、乗り換えようと思うほどに惚れたのか?

このGTのキャラクターをわかり易く記すなら、“年上の女性”というのが最もしっくりくる表現だろう、恐らく。抑々、BRZ自体がピュアスポーツカーである上に、落ち着きがあって主張はしない。けれども、素性の良さは隠し切れない。そういう走りの素晴らしさを持っているのだ。そして、GTはその上、更に一流のアクセサリーを身に纏いながらも、上質な感覚を増しており、走らせると極上の楽しさと気持ち良さを提供してくれる。まさに、筆者にとっては理想的なスポーツカーの走りを実現した1台だったのだ。BRZという車は、スバル生まれ故に、トヨタ生まれの弾けた86と比べると、慎ましやかで地味なところがある。れっきとしたスポーツカーのプロポーションをしているのに、それをひけらかさず、密かにその走りを提供するタイプだ。尤も、マニアやスバリストにとってはそこが萌えポイントで、筆者もそこがお気に入りである。しかも、ザックスやブレンボが加わって、初めて艶やかな見た目になった点に、ズキュンと胸を打たれてしまった。納車前に、試乗会でGTを公道で走らせる機会を得た。その印象は、「あれ? 硬い?」というものだった。勿論、試乗車が未だ走行距離も少なかったこともあるし、試乗した場所も路面が荒れているところが多いというコンディションだった。けれど、やはり乗り味・走り味はちょっとハードな印象。こうした印象の変化というのはよくあること。特に、以前試乗した場所がサーキット等だと、余計にそう感じたりする。サーキットでは何も気にせずに、思う存分走らせることができるので、走りをたっぷり味わえる。しかし、実際の生活の場である一般道で試してみると、周囲の車への配慮等がある為、サーキットほどは“思う存分の操作”というのはできなかったりする。

それでも「流石はGTだ」と思えたのは、路面の荒れに対して振動はかなり室内に入るものの、振動が収まる時間は徹底して短い。揺れが直ぐに収まるので、不快な感覚は実に僅かだ。そして、速度が上がるほどに、乗り味にはフラットな印象が生まれる。つまり、サスペンションが逞しく動くので、ヨレヨレ・ヘロへロした感じは全く受けないのだ。この辺りは、長年に亘って熟成され、更に一流のパーツを得たからこその良さが出ている。そんな試乗から約半月後、遂に筆者の注文したGTがやって来た。色は赤。スバリストが選ばないこの色は、実は最初に買ったBRZの時にも選んだ色だ。しかも、トランスミッションはATを選んだ。筆者だけでなく、妻も運転することを考えての選択だったからだ。実は、これも最初に買ったBRZと一緒のトランスミッションである。扨て、家の車庫にやって来たGTは、以前のBRZよりも艶やかに見えた。それはまるで、女性が大人っぽさを増したような感覚である。実際、マイカーになったGTに乗ると、やはりややハードな面が見受けられた。「GTは、走りを楽しみたい人に向けた1台なのだ」と筆者は思う。“車を走らせる為だけに乗る”という目的の使い方をしたい人をターゲットにしている――。そう考えれば、GTの持つしっかり感と頼もしさ、そしていい意味でハリのある乗り味や走り味は、満足感を高めてくれる筈だ。だからこそ筆者は、これからこのGTと長く付き合っていくことを考えると、「丁度良い硬さなのかもしれない」と思えた。というのも先日、箱根を走らせたが、やはりBRZならではのピュアなFRスポーツとしての気持ち良さも健在。それでいて、大人のスポーツカーの乗り味も備える。まさに、年上のいい女的な車なのだ。


河口まなぶ(かわぐち・まなぶ) 自動車ジャーナリスト・『日本カーオブザイヤー』選考委員。1970年、茨城県生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業後、『モーターマガジン』のアルバイトを経て、1995年からフリーに。


キャプチャ  2017年1月23日号掲載

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