【地方が変える・日本を変える】(02) 伝統工芸、海を越えて

20170117 04
自由自在に形を変えられる錫の籠、真鍮の風鈴、きらきらと光る食器――。洗練されたデザインのインテリア雑貨は、創業100年を迎えた鋳物メーカー『能作』(富山県高岡市)が作り上げた。雄大な立山連峰を望む工場から、世界15ヵ国・地域へ輸出されていく。高岡市の高岡銅器は、約400年の歴史を持ち、仏具や花器といった幅広い商品を世に出してきた。だが、安価な中国製に押され、売上高は117億円(2014年度)と、ピーク時(1990年度)の3分の1以下まで落ち込んだ。能作も、時代の荒波と無縁ではない。打開の為、能作克治社長(58)が目を向けたのは海外だ。各国の展示会に足を運び、瓶ビールがよく飲まれるアメリカには栓抜きを、食卓に著とスプーンを並べる韓国には大きめの著置きを開発する等、其々の国の文化に合わせた商品で販路を広げた。能作の従業員は、海外展開を始めた2010年以降、約5倍の120人に増えた。職人の3割以上が20代だ。能作の後を追い、海外進出を検討する高岡銅器の業者も増えてきた。創業110年の仏具メーカー『山口久乗』は、仏具の『おりん』を動物や果物のフレームと組み合わせる等、インテリア雑貨として展開している。海外の窓口を担当する専務の山口康多郎さん(43)は、「高岡全体が少しずつ盛り上がっている」と手応えを感じている。

伝統産業の担い手の多くは中小企業だ。『日本貿易振興機構(JETRO)』によると、「本格的に海外展開を進めるには、海外の展示会に3回程度は参加し、知名度を上げる必要がある」という。豊田哲也主幹は、「商品の輸出の為には、売れ筋の価格帯や競合品の状況等をしっかり調べ、外国語で情報発信する必要がある。直ぐに利益は出なくても、根気よく取り組まなければいけない」と指摘する。多くの伝統産業にとって、人材や資金に余裕が無いのが実情だ。それでも、国内の環境は厳しい。安価な海外商品との競争だけでなく、人口減少や生活様式の変化に曝され、後継者不足も深刻だ。海外向けの商品開発が、地域の強みを見直すきっかけとなり、新たなビジネスや人材育成に繋がる可能性もある。伝統産業にとって、海外市場の開拓は、生き残る為のカギでもある。九州有数の家具の産地として知られる佐賀市の諸富地区では、海外デザイナーと共同での商品開発が進んでいる。「ラウンド? 丸ってことね。オッケー」。先月、諸富を訪れたスウェーデンのデザイナーの注文に、家具職人の甲斐泰志さん(31)は笑顔で応じた。注文通り、椅子の脚に使う木材の表面を丸く削ると、持った時に手にぴったりとフィットした。諸富の家具業者は、2015・2016年と2年連続でシンガポールでの国際展示会に参加したが、取引には殆ど繋がらなかった。それならばと、『諸富家具振興協同組合』理事長の樺島雄大さん(51)らが現地のデザイナーに協力を依頼したところ、日本の職人との仕事に興味を持ち、ヨーロッパ等からも仲間を集めてくれた。諸富の新しい家具は今年3月、シンガポールでの展示会でお披露目される。「センスの高い家具を求める世界中の人に、諸富家具を届けたい」。樺島さんらの挑戦に、間もなく最初の答えが出る。


⦿読売新聞 2017年1月5日付掲載⦿
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