【地方が変える・日本を変える】(03) 訪日客、積極誘致へ熱

20170119 04
増え続ける訪日外国人客を地方に呼び込むには、地域の魅力を伝えるだけでなく、不便な交通といった課題を克服する必要がある。その成否は地方経済だけでなく、観光立国の行方も左右する。志賀直哉の小説『城の崎にて』で知られる兵庫県豊岡市の城崎温泉。浴衣姿でそぞろ歩きを楽しむ外国人の姿が目立つ。「妻とのハネムーンで来た。日本らしい街並みがとても素敵だね」。フロリダ州から訪れたルイス・プラダさん(31)は笑顔を見せた。城崎を訪れ、宿泊した外国人は昨年、4万人を超える見込みで、この5年間で約40倍に増えた。老舗の看板だけで、これだけの右肩上がりは実現できない。カギになったのは、積極的な民間人材の登用だ。海外営業の経験が豊富な『京セラ』出身者を副市長に招き、海外向けのPRを強化。パリやニューヨークの代理店と契約して、城崎の情報を広め、現地メディアに取材を働きかけた。フランスの著名な旅行ガイド『ミシュラングリーンガイド』にも、城崎温泉が掲載された。

『楽天』から職員の派遣を受け、市の英語版サイトで外国人の個人客が旅行を手配できるようにした。豊岡市は更に、「旅行者の移動データ等を分析し、便利な交通ダイヤを編成する」といった施策を打ち出す考えだ。担当の谷口雄彦さん(49)は、「勘と経験と思い込みに頼る観光行政から脱却する」と言い切る。『ANA総合研究所』主席研究員の星幸男氏は、「役所だけでは、ビジネス感覚に優れた人材に限りがあり、民間との連携が必要になる」と指摘する。訪日客の誘致は、地域を潤す“即効薬”と期待される。大きな駅・空港・港が無いからといって、手を拱いてもいられない。各地の港湾都市が注目するのが、小型のクルーズ船だ。“いつかは行ってみたい豪華客船の旅”とのイメージもあるクルーズ船だが、海外では気軽に複数の観光地を回るカジュアルな旅として浸透しているという。先月初旬。小雪が舞う北海道函館市役所を、フロリダ州のクルーズ船運航会社の幹部が訪れた。函館市・小樽市・唐津市等、全国10港湾の関係者が参加する商議会に出席する為だ。「JR函館駅の近くに、クルーズ船が接岸できる新たな埠頭の整備を進めている。より便利になる」。函館市港湾空港振興課の鶴岡崇男さん(40)は、地図を広げながら力説した。小樽市も負けてはいない。港の近くにビール・ワイン・日本酒の醸造所や、“寿司ストリート”が集中している点をアピールした。昨年の訪日客は約2400万人とみられるが、旅先は“ゴールデンルート”と呼ばれる東京・京都・大阪に集中しており、大都市のホテルの稼働率は「予約が取り難い」と感じる水準に上がっている。訪日客を地方に呼び込むことは、2020年に4000万人という政府目標の実現にも繋がる。「外国人の間で、日本らしさの残る地方への関心が高まっている」との声が聞かれるようになった。追い風を生かせるかどうか、知恵と工夫が試される。


⦿読売新聞 2017年1月6日付掲載⦿
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