【走り始めたカジノ】(03) 「機械のようにカネ使った」

20170120 01
今月10日、『久里浜医療センター』(神奈川県横須賀市)の“ギャンブル外来”が、今年初めての診療日を迎えた。精神科医の河本泰信(56)が昨年度に受け持ったギャンブル依存症患者は、延べ429人。この日は10人が診察室を訪れた。河本は、「7割の患者は、ギャンブルに代わるもので欲求を満たせば依存症から抜けられる。3割の重症者は、過去のトラウマが遠因となることもあり、治療は難しい」と臨床経験を語る。昨年10月から通院する40代の男性は、パチスロで400万円の借金を作った。妻の財布から抜き取ったキャッシュカードで現金を引き出し、「へそくりが無いか?」とタンスの奥を漁る。職場に取り立ての電話が来るようになり、失業。妻は、小学生だった息子を連れて家を出た。外来に駆け込んだ時は自己破産寸前。「機械のようにカネを使った。意思は関係ない。止めたくても止められなかった」。別の趣味を探し、何とか踏み止まる日々を送る。

競馬・競輪等の公営ギャンブルの売上高は5兆円を超え、風俗営業法で“遊技”とされるパチンコ・パチスロの市場は推計23兆円。世界的に見ても、日本ほどギャンブルが身近にある国は少ない。先月25日、『有馬記念』が開催された中山競馬場には約10万人が詰めかけ、約2分半の同レースは449億円を売り上げた。パチンコ・パチスロは約1万1000店で、457万台が稼働。新装日の店先には、平日でも長い列ができる。手頃な娯楽として親しまれる半面、のめり込んで生活を崩壊させる人は後を絶たない。厚生労働省の推計で、ギャンブル依存症の疑いのある人は536万人とされ、カジノ解禁は、その裾野を更に広げる恐れを伴う。違法カジノの摘発に携わる警察幹部は、「公営ギャンブルであるパチンコとカジノの最大の違いは、射幸性の高さ」とみる。「バカラ等の単純なゲームほど熱くなる。一晩で身を持ち崩すこともある」。一瞬で決まる勝負と客を煽る演出が、賭け金を大きくする。海外のカジノで日本の著名人が億単位の借金を作り、社会的地位を失うケースは過去に何度も起きている。今後、カジノを運営する為の法整備が始まる。解禁に消極的な立場を取る大谷大学教授の滝口直子(61)は、「運営会社は嫌がるだろうが、政府は賭け金の上限を事前登録制にする等、依存症を増やさない対策を打ち出すべきだ」と指摘した。 《敬称略》


⦿日本経済新聞 2017年1月19日付掲載⦿
スポンサーサイト

テーマ : 政治のニュース
ジャンル : ニュース

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

广告
搜索
RSS链接
链接
QR码
QR