何となく漂う妙な楽観論に騙されるな! ドナルド・トランプ大統領誕生で第3次世界大戦が勃発する!

2017年1月20日(現地時間)、アメリカにドナルド・トランプというイカれた大統領が誕生する。ところが、日本国内では「思ったよりトランプは普通」という謎の楽観論が幅を利かせ、「心配いらない」の大合唱。当然、そんなことはない。改めて、トランプのヤバさを検証した。

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現在、日本においてトランプへの奇妙な安堵感が広がっている。暴言王でセクハラ魔王のトランプがアメリカ大統領選に勝利したのは、世界的に見て間違いなく2016年最大のニュースだ。いくらアメリカ人の頭が悪いからといって、まさか本当にあんなイカれた人間を大統領にするとは誰も思わなかった。まさに悪夢であり、これは本来なら、日本政府もマスコミも「とんでもないことになった!」と頭を抱えければならない事態だ。ところが、いざ日本国内に目を向けると、何故かトランプへの警戒心が全く感じられない。寧ろ、「心配するほどの危険人物ではないんじゃないか?」といった安堵のムードに包まれている。実際、安倍首相も11月にニューヨークで会談した後に、「選挙戦とは違って普通だった」と漏らし、一部週刊誌等のメディアに至っては、トランプ政権で「世界中の景気が良くなる」「日本株が爆上げする」等、お頭の具合を疑いたくなるような記事も目立つ。確かに、最近のトランプの言動が選挙戦よりも大人しくなっているのは事実だ。例えば、日韓の核武装を認めることについては、「私はそんなことを一切言っていない」と全否定。「メキシコ国境に壁を作る」という公約も、「一部はフェンスでいい」と言い出した。「不法移民を全員追い返す」との主張も、「犯罪歴のある不法移民を追い返す」とトーンダウンしている。「政治家というのは、どこの国だろうと、選挙が終われば言うことがガラッと変わる人種だ。トランプだって例外ではない。過激発言は選挙用のパフォーマンスで、大統領に就任すれば現実路線に転換する筈」――。これが、日本に広がるトランプへの安堵感の正体だ。しかし、こんなものは「トランプが思っていたより普通であってほしい」という単なる願望に過ぎない。現実のトランプは、暴言と問題発言のオンパレードだった選挙戦と全く変わってはいないのである。それがよくわかるのが、トランプ政権の中枢に座る閣僚の顔ぶれだ。

トランプ陣営は現在、政権移行チームを発足させて、新政権の閣僚やスタッフの人事を進めている。移行チームの中心にいるのはジャレッド・クシュナー(左下画像)。その美貌と抜群のスタイルが日本でも話題になっているトランプの長女・イヴァンカの夫であるクシュナーは、トランプの懐刀であり、イヴァンカと共にトランプが最も信頼する人物である。しかし、そのクシュナーやトランプが選んだ閣僚の顔ぶれを見てみると、予想以上に酷い面々なのだ。先ず、国防長官には、超が付くタカ派のニュート・ギングリッチの起用が有力視されている。トランプが打ち出す“強いアメリカ”を体現する政治家だが、トランプ同様に数々の暴言が問題視されており、過去には政治資金のスキャンダルも起こしている。司法長官は、上院で最初にトランプ支持を打ち出したジェフ・セッションズという共和党きっての右派議員。このセッションズは、1986年に連邦判事に指名された時、白人至上主義団体として知られる『KKK』を容認する発言をして、“人種差別主義者”と批判を浴びた曰く付きの人物だ。また、セッションズは、トランプの「不法移民を強制送還する」という発言にも逸早く賛同している。若しセッションズが司法長官になれば、全米に1100万人いる不法移民の強制送還が現実のものとなる筈だ。極めつきは、首席戦略官と上級顧問に指名されたスティーブン・バノン。元海軍士官で、選挙戦でトランプ陣営の選対本部長を務めたバノンは、保守系ニュースサイト『ブライトバートニュース』を経営し、このメディアで、対立候補や既存の政治勢力をデマを織り交じえて徹底的に叩きまくり、トランプべったりの情報を発信してきた。日本でいえば、まるでネトウヨそのものと言っていい人物だ。そして、バノンもやはり白人至上主義の極端な人種差別主義者で、“アメリカで最も危険な政治仕掛け人”と呼ばれている。更に、『中央情報局(CIA)』長官に内定しているマイク・ボンベも、「レイプ被害者でも中絶は認めない」と発言したことのあるイカれた政治家で、他にも国務省きってのタカ派として知られるジョン・ボルトンや、「北朝鮮を拠点爆撃しろ」と主張しているジェームズ・ウルジー等々、問題人物がゴロゴロといる。このままトランプ政権が発足すれば、アメリカ史上最も酷い超タカ派政権となるのが確実なのだ。こんな政権の一体、どこが“思ったほど危険そうではない”というのか。安倍政権やマスコミは、「トランプが無茶な要求を突き付けることはない」と高を括っている。「アメリカとの関係にも、それほど変化は無い」と思いたがっている。しかし残念ながら、それは大間違いだ。多少は修正されるにせよ、トランプによる過激な選挙公約は、その通りに実現されるだろう。

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改めて説明しておくと、トランプの主な公約は大体、こういう内容だ。先ず外交では、日本や中国を始めとする輸入品に20%の高い関税をかけ、メキシコとの国境に壁を作って不法移民を阻止。日本や韓国にはアメリカ軍の駐留経費を全額負担させて、TPPはゴミ箱に放り込む。そして内政では、ワシントンの腐敗を無くし、ホワイトハウス職員が退職後に利権を誘導するロビイストになるのを5年問禁止。更に、インフラ投資による大規模な財政出動を行い、貧乏家庭と中流家庭に大減税。金持ちに対しては増税し、金持ちが利用する税の抜け道も潰す。一方で、アメリカ軍の規模と能力をアップさせる――。一見、無茶苦茶なようだが、実は、この公約には“強いアメリカを取り戻す”という一貫性がある。経済のグローバル化を進め過ぎた結果、今やアメリカの貧乏人と金持ちの格差は先進国で最悪となっている。先進国どころか、途上国とも変わらないぐらいの酷いありさまなのだ。国民の半数は資産が100万円以下の貧乏人で、65歳以上の3分の1は貯蓄がゼロ。過去40年間で国民の大半の収入が下がり続け、その癖、家賃・医療費・教育費は3~6倍に跳ね上がった。大半の国民の生活水準が悪化し続ける一方、僅か1%の金持ちは想像を絶するほど贅沢な生活をし、更に、その内の0.1%の超富裕層は、日本円にして年収3000億~5000億円も稼いでいる。嘗て、製造業が栄えたオハイオ州等の地方に行くと、仕事が無くても街を離れられず、酒やドラッグに溺れる貧乏な白人がゴロゴロいるという。経済のグローバル化によって、日本・中国・韓国企業との国際競争に曝され、工場は海外移転を余儀なくされ、白人労働者たちが雇用を奪われたのだ。他の単純労働に就こうにも、既にそこにはより安い賃金で働く移民がいる。トランプ勝利の原動力となったのは、こうした貧乏な地方の白人たち。更に、グローバリズムによって割を食った6割以上の普通のアメリカ国民である。トランプの次期政権の閣僚に、人種差別主義者丸出しでネトウヨのような政治家が多いのはその為だ。

だから、トランプはTPPに反対する。アメリカの政治は、日本の比ではないほど腐り切っていて、政治家への企業献金に上限が事実上無く、大企業は自分たちがより儲かる政策をカネで買うことができる。その典型が、グローバリズムの極地とも言えるTPPである。トランプの選挙公約とは、謂わば反グローバリズムであり、“アメリカ第一”の内向きの保護主義なのだ。勿論、アメリカの貧乏人にとって耳触りのいいこれらの政策は、日本にとっては大迷惑。トランプ政権が発足すれば恐らく、日本とアメリカとの間で1980年代のような貿易摩擦が再び勃発するだろう。それなのに、間抜けな日本人は「予想よりもトランプって普通じゃん」等と言って安堵しているのだ。しかも、トランプが大統領になることで引き起こされる問題は、日米の貿易ぐらいでは済まない。トランプは「自由貿易がアメリカの製造業を弱くした」と言って、TPPだけではなく、『北米自由貿易協定(NAFTA)』からの離脱も主張している。NAFTAでは、精密部品はアメリカとカナダで製造し、組み立てはメキシコで行う分業制度が確立されている。そこで、メキシコとのヒトやモノの行き来を分断し、製造業の工場をアメリカ国内に引き戻そうとしているのだ。こうした保護主義が行き過ぎると、どんなことが起こるかおわかりだろうか? 例えば、トランプは世界第2位の経済大国である中国に対して、「模造品を作り、ハッカーを使って知的財産を盗む“世界史上最強の泥棒”」とレッテルを貼っている。「大統領就任初日に、中国を“為替操作国”に認定する」とも発言している。当然、中国は激怒し、アメリカに対して貿易戦争を仕掛けて報復する筈だ。実際、既に中国共産党の機関紙『人民日報』は、アメリカへの報復措置を予告している。中国製品に高率の関税をかけたら、アメリカの航空機大手『ボーイング』への発注を取り止め、アメリカの自動車メーカーの車や、『Apple』の『iPhone』等の製品を中国国内で販売制限するという。まさに、これは1930年代の世界恐慌の再来だ。1929年のウォール街の株価暴落によって世界恐慌に陥ると、アメリカ、イギリス、フランス等が、自分たちの産業を保護する為に関税引き上げ競争を激化させて、世界的な貿易戦争が勃発。経済のブロック化が進み、世界貿易は3分の2も縮小してしまい、これがその後の第2次世界大戦の一因になったのだ。つまり、トランプによって、世界恐慌や第3次世界大戦が引き起こされる可能性もあり得るのである。こんなにイカれた政治家だというのに、日本では安倍首相を始め、マスコミにもトランプへの歓迎ムードすら漂っている。本当に呑気な国と言うしかない。


キャプチャ  2017年2月号掲載

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テーマ : 国際政治
ジャンル : 政治・経済

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