FC2ブログ

【村西とおるの「全裸で出直せ!」】(95) 明日の事を考えるから気が塞ぐのです…先ずは今日一日だけ、明るく生きることを心掛けて下さい

一晩に3000万円のディナーショーをやる“○○の裕次郎”と言われる男がいました。○○とは男の住んでいる街の名前で、裕次郎と言われる所以は、容貌がかの石原裕次郎に少し似ているからでもありましたが、裕次郎の歌を歌うのが三度の飯より好きなことから付けられたニックネームでした。男はその○○地方では大理石のビジネスで成功し、5階建ての自社ビルも大理石で建てていて、知人に紹介され訪れると3階の応接間に通されたのです。周囲を白い大理石で埋め尽くされたその部屋はカラオケルームにもなっていて、スイッチを入れると室内の照明が消え、天井からミラーボールが降り、スモークが焚かれ、マイクを持つ男にスポットライトが当たり、石原裕次郎の曲が流れました。男は裕次郎になりきり、頼んでもいないのに立て続けに5曲も歌ったのです。“病膏盲に入る”とはこのことかと恐れ入ったのですが、男から「今夜、年に一度のワンマンショーを開催するから」と招待を受けたのです。場所は近所の公民館で、行ってみると会場は300人程の男女のお客で超満員となっておりました。ディナーショーといっても、お客其々に缶ジュース と良さげな折箱弁当が配られるだけでした。

7人編成の生バンドをバックにマイクを持って歌う男の雰囲気は、本物に少し似ていましたが、歌のほうは今一つの感が拭えませんでした。案の定、お客の中で義理にも耳を傾けている者は誰一人おらず、其々が弁当を食べて談笑したり、持ち込んだ酒を酌み交わしたりで、勝手な時間を過ごしているのでした。が、件の“○○の裕次郎”はそうした観客の反応など全く気にする気配を見せず、陶然として歌い続けたのです。様相が一変したのは、1曲歌い終わって抽籤会が始まった時。観客に予め配られた抽籤券との真剣な表情でのにらめっこがスタートしたのです。当籤番号が発表されると、当籤したお客は勇躍ステージに上がり、“○○の裕次郎”から賞品の電子レンジやカラーテレビ、自転車、ハワイペア旅行券を受け取り、満面の笑顔を見せま した。10名程の当籤者に賞品を渡し終えると、また“○○の裕次郎”の歌が始まり、途端にお客は我関せずとソッポを向くといった風景がエンドレスで続いたのです。4時間近くのディナーショーでしたが、途中で帰るお客はおりませんでした。何故なら、それまでの当たりはずれに関係なく、最後に人気の自家用車のスペシャルプレゼントタイムが待っていたからです。ご来場のお客の殆どが何かしらの賞品を手にして喜色満面で帰った後、誰もいなくなった会場で「この日の為に1年間、一生懸命働いてきました」とご満悦の表情で語られた“○○の裕次郎”でした。


村西とおる(むらにし・とおる) AV監督。本名は草野博美。1948年、福島県生まれ。高校卒業後に上京し、水商売や英会話教材のセールスマン等を経て裏本の制作・販売を展開。1984年からAV監督に転身。これまで3000本の作品を世に送り出し、“昭和最後のエロ事師”を自任。著書に『村西とおるの閻魔帳 “人生は喜ばせごっこ”でございます。』(コスモの本)・『村西とおる監督の“大人の相談室”』(サプライズBOOK)等。


キャプチャ  2021年4月8日号掲載
スポンサーサイト



テーマ : 人生を豊かに生きる
ジャンル : 心と身体

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

产品搜索
广告
搜索
RSS链接
链接