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【マイナス金利5年】(03) 国債“爆買い”リスク

20210409 04
首相官邸5階にある菅義偉の執務室には、株価や為替、長期金利等の動きを映し出すパネルが設置されている。管はどの指標を気にしているか――。今月15日の衆議院予算委員会で、そんな議論が交わされた。質問者は、前の前の首相として執務室の主だっ た立憲民主党の野田佳彦。菅が「基本的に為替を注視している」と応じると、野田は語気を強めた。「為替も大事だが、金利を心配しないで済んでいるのは、日本銀行が国債を“爆買い”しているからだ」。歴代の日銀総裁は、国債の買い入れに細心の注意を払ってきた。代表例が“銀行券ルール”。2001年、速水優(※故人)の下で長期国債等を買い取る“量的緩和”を開始した際に導入した。長期国債の保有残高の上限をお札の発行残高以下に抑える。日銀が政府の借金を穴埋めしていると受け取られないようにする防波堤のつもりだった。黒田東彦は2013年に総裁に就任すると、直ぐにこのルールの一時停止を決定。未曾有の規模の国債購入へと突き進んだ。マイナス金利政策の導入後も日銀は積極的な買い入れを続け、昨年4月には上限を撤廃した。今月から国会での実質審議が始まった政府の2021年度予算案。コロナ禍への対応の為、一般会計の総額は106兆6097億円と過去最大を更新した。巨額の歳出を賄う為、政府は2021年度、43兆円を超える国債を新たに発行する考えだ。国債発行残高は、既に2019年度末で1131兆円。GDPに対する比率は2倍を優に超える。主要先進国で突出して高い。

『BNPパリバ証券』チーフエコノミストの河野龍太郎は、「日銀の買い入れが、結果として財政規律を一段と緩ませている。将来世代にツケを後回しにしている」と批判する。国債が大量に発行され、市場に出回れば、国債の価格は下がり、金利は上がる。それが自然な姿である。日銀の国債買い入れが長期金利を抑え込んでいる為、国の利払い費はほぼ横這いで推移する。与党幹部が「日銀のお陰で安心して多額の予算が組める」と言うのは本音だろう。しかし、金利はいつ牙を剥くかわからない。2010年以降の欧州債務危機で、ギリシャの長期金利は約40%まで上昇。市場から“レッドカード”を突きつけられたギリシャ財政は破綻した。日本では、大規模買い入れを続ける日銀が市場のメインプレイヤーになっている。「長期金利は本来、国の財政状況や実体経済について、多様な市場参加者の見方を反映する。今の市場に警告を発する機能は殆どない」。30年以上、国債売買に携わる大手証券幹部は危機感を強める。黒田は昨日、官邸で首相の菅と約30分間面会した。「金融緩和を相当長く続ける必要がある。政策の効果をより発揮し、持続できるように、点検結果を3月に発表する予定だと話した」という。日銀は黒田の下で、政府と歩調を合わせて金融政策を運営してきた。2%の物価目標は未達。況して、コロナ禍の収束がなお見えない中、金融緩和を続ける以外に選択肢はない。財政支出で経済を浮揚させる余裕が乏しい先進国では、中央銀行への期待は大きい。アメリカの連邦準備制度理事会(※FRB)は、議長のジェローム・パウエルの下で2018年に4回、追加利上げを決めた。金融引き締めが投資家の不安を煽り、大幅な株価の下落を招いた。主要国の中銀による大規模な金融緩和は、コロナ禍が収まれば何れ転換点を迎える。その時、金融市場が冷静に受け止める保証はない。誰が先陣を切るのか。政府との“蜜月”を演出してきた日銀は、他国の動きも見ながら難しい舵取りを迫られる。 《敬称略》


キャプチャ  2021年2月19日付掲載
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