【走り始めたカジノ】(04) 中国人客頼みの危うさ

20170124 05
「地球を半周したのに、またパリにいる。不思議だわ」――。今月8日、世界最大のカジノの都・マカオ。アメリカ系カジノ運営会社『サンズチャイナ』が開いたイベントで、フランスの女優であるソフィー・マルソー(50・左画像中央)は優雅に微笑んだ。同社が昨秋開業した『ザ・パリジャン・マカオ』は、エッフェル塔を半分の大きさで再現。商業施設もパリの街並みを模し、家族連れを楽しませる。台湾から訪れた張家栄(40)は、妻と一緒にマルソーと記念撮影し、上機嫌だ。「旅番組で特集があり、来たいと思った」。3000パタカ(約4万円)で一勝負すると意気込む。ただ、派手な街の陰で、高級ブランド店には閑古鳥が鳴く。中国の富裕層が、期待していたほど来ないからだ。マカオは、中国の国家主席・習近平による反腐敗運動の直撃を受けた。富裕層は当局の監視を恐れ、足が遠退く。

昨年の賭博業収入が約3兆2000億円と、ピークだった2013年の6割に止まった。「習主席が『マカオは多様化すべきだ』と言った。それが今、起きている」。マカオに昨夏、2つ目の施設を開いたアメリカの“カジノ王”スティーブ・ウィン(74)は、「これまでの市場拡大のペースが異常だった」と認める。同氏の会社も含め、運営各社はラスベガスを手本に、「カジノ以外の娯楽施設で一般客を呼ぼう」と戦略転換を急ぐ。だが、カジノ収益を左右するのは、一晩に数千万円から億円単位で賭けるVIP客であることに変わりはない。宿泊手配から賭け金の融資まで支援する業者『ジャンケット』は、当局の目が届き難いフィリピン等にVIPを誘導し、同国市場の規模は前年比2割増の高い伸びを示す。一方、ジャンケットを規制するシンガポールでは、「中国人VIPが数年前に比べ減った」(『マリーナベイサンズ』の従業員)。一昨年のカジノ売上高は、前年比で2割以上減った。追い打ちをかけるのが、中国の資本規制強化だ。“トランプ相場”に伴う資本流出対策で、クレジットカードの国外利用を抑えており、賭け金の調達が難しくなっている。日本では、訪日が多い中国人客への期待も高い。カジノ開設を検討する『北海道苫小牧市観光協会』専務理事の藤岡照宏(60)は、「洞爺湖等とセットで売り込めば、経済効果は計り知れない」と見込む。だが、国の政策に影響される中国人客依存は、リスクと裏腹でもある。 《敬称略》 =おわり

               ◇

三浦義和・粟井康夫・山本公彦・黒滝啓介・田島如生・西原幹喜が担当しました。


⦿日本経済新聞 2017年1月20日付掲載⦿
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