人事先行で経営陣刷新の背景に鈴木敏文派“一掃”…『セブン&アイ』に顧客視点は戻るか

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2017年の初売りで、『イトーヨーカ堂』のチラシに微妙な変化があった。チラシ右下のロゴデザインは年末まで『セブン&アイホールディングス』が中心だったが、これがハトマークに替わった。ヨーカ堂が親会社だったグループの姿から、セブン&アイという持ち株会社が統治する体制に変わったのが2005年。それを機に、ヨーカ堂各店の屋上にある大きなハトマークの看板も、10億円以上かけて“7”をあしらった持ち株会社のマークに替えた。ハトマークは、ヨーカ堂の創業者である伊藤雅俊名誉会長の象徴でもあった。当時、セブン&アイのマークへの切り替えは、鈴木敏文氏(セブン&アイ前会長)が育てた『セブンイレブンジャパン』がグループの中心であるとの“宣言”だった。一転して今回、ハトマークの復活を決めたのは、ヨーカ堂の亀井淳社長だった。新年の社内挨拶文で「持ち株会社を浸透させる目的は達成した」とし、ハトマークを“お客様と私たちを結ぶ共感のシンボル”と位置付けた。「持ち株会社よりも、顧客が親しみ易いヨーカ堂の歴史的なロゴを販促に掲げていきたい」という思いが滲む。だが、その直後の今月12日、亀井社長の退任が発表された。グループ幹部は、「挨拶文を出した時は、既に退任する覚悟だったのだろう」と話す。亀井氏は昨年1月、社長に復帰。販管費や在庫の圧縮で、昨年3~11月期の営業赤字幅を前年の3分の1以下に縮小した。ハトマークの復活や商品発注の抑制等、鈴木氏の戦略とは距離を置く施策も進めてはいた。それでも、亀井氏を社長として呼び戻したのは鈴木氏であり、新体制は鈴木氏寄りの人物と評価していたのだろう。やはり今回の交代は、鈴木氏と関係の近い幹部を入れ替える“脱・鈴木人事”の一環に見える。鈴木氏が退任させようとしたセブンイレブンの井阪隆一社長がセブン&アイ社長に昇格し、鈴木氏が退任したのが昨年5月。井阪体制下では昨秋以降、『そごう・西武』の松本隆社長、鈴木氏の次男であるセブン&アイの鈴木康弘取締役が退任。今回、『セブン&アイフードシステムズ』の大久保恒夫社長も交代する。

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グループ内では、「これで鈴木人脈の主要幹部は一掃された」との見方がある。今年3月にヨーカ堂社長になるのは、三枝富博常務執行役員。約20年と長期の中国駐在だが、現場を掌握する力に定評があり、伊藤名誉会長の信頼が厚い。社長を代えた百貨店・総合スーパー・外食の『デニーズ』は業績が低迷。各社長と井阪氏の間で、方針の食い違いや、激しい言葉の応酬があったという。改革を急ぐ経営陣が、意を通し易いように人事を刷新すること自体は不自然ではない。だが、元グループ会社幹部は、「改革の方向と具体策が鮮明でないのに、人事ばかりが先行している印象。順番が逆だ」と指摘する。中期経営計画を昨秋に公表してはいる。新体制発足から時間が無かったとはいえ、ヨーカ堂やそごう・西武を含めた再生への道筋は明確ではない。例えば、グループに不動産会社を新設し、店舗物件を再開発することを計画の目玉の1つにしたが、「開発し易いヨーカ堂の自社物件は少ない」との指摘もグループ内にある。一方の中計では、小売業の競争力の源泉である営業現場の強化策は少なかった。「新体制はコンサルティング会社に依存し過ぎではないか」という声が、社内外から上がっている。持ち株会社がトップダウンを強めて、人事刷新を優先すると、組織が内向きになり、事業会社や現場と溝が深まるリスクがある。昨年末、伊藤名誉会長の次男・順朗氏が、取締役執行役員から同常務執行役員に昇格した。ある証券アナリストは、「組織を纏める上で、創業家の存在は有効だ」とみる。ただ、絶対的な存在だった鈴木氏に続き、今度は創業家に対して忖度の風土が続くなら、消費者ニーズを汲み取る力は取り戻せない。チラシだけではなく、ヨーカ堂店舗の看板も「改装時等に順次、ハトマークに替えていく方向」(グループ幹部)だ。新たな看板を“脱・鈴木”の象徴にするのではなく、10年以上苦戦続きのヨーカ堂が、顧客視点で再生を目指す出直しの象徴にすべきだ。 (取材・文/本誌 鈴木哲也)


キャプチャ  2017年1月23日号掲載
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