【動き出すトランプ主義】(中) アメとムチ、企業を翻弄

20170125 01
白人の中低所得層の支持で大統領の座に就いたドナルド・トランプ氏にとって、最優先の課題は雇用創出だ。この為、交通網等のインフラ(社会基盤)投資や規制緩和を掲げる。アメリカの経済成長にプラスで、企業には商機に映る。『JR東海』は、ニューヨーク-ワシントン間での超電導リニア計画と、テキサス州の新幹線導入計画で、どれだけ雇用が創出されるかを試算し、トランプ氏周辺に報告した。『ソフトバンクグループ』や中国の『アリババ集団』等、マンハッタンの『トランプタワー』には、トランプ氏との面会に訪れて、雇用の拡大等を打ち出す企業が相次いだ。アメリカの事業で政権の後押しを得たい為だ。企業に対する“アメ”を示す一方で、トランプ氏は、意に沿わない経営判断には、自身のツイッター等で“恫喝”を繰り返してきた。トランプ氏と今月13日に面会した『ロッキードマーチン』のマリリン・ヒューソンCEOは、アメリカ軍に納入する最新鋭戦闘機『F35』について、大幅に値下げしたことを明らかにした。トランプ氏から「F35は高過ぎる」と批判された為だ。

トランプ氏に「大統領専用機が高過ぎる」と指摘された『ボーイング』や、選挙期間中にトランプ氏と対立した『Amazon.com』――。世界に名だたる企業のトップがトランプ氏と会談した背景には、企業の経営判断への異例とも言える介入を辞さない“トランプ流”への警戒感がある。「金儲けの為ではない。取引するのが好きだ。大きいほどいい」。トランプ氏は、41歳の時に出版した自伝で、自らのビジネス哲学を語っている。企業への介入は、自らに従わせようとする“取引の一環”との見方もあるが、アメリカ大統領だけに無視もできない。トランプ大統領は「雇用を守る為」として、世界各地で事業展開する企業の根幹ともいえる貿易体制も揺さぶろうとしている。「保護することが、偉大な繁栄と強さに繋がる」。就任演説で、アメリカの産業を優遇し、外国製品排除とも受け取れる保護主義的な政策を訴えた。『環太平洋経済連携協定(TPP)』からの離脱方針や、『北米自由貿易協定(NAFTA)』の再交渉も表明した。国際分業を否定すれば、各国に生産拠点を構えるアメリカ企業も無縁ではいられない。貿易の縮小を通じて、途上国等の経済が打撃を受ける可能性もある。抑々、アメリカで製造業の雇用が増えないのは、自由貿易による生産拠点の国外移転というより、「工場の自動化が進んだ為」との見方が多い。企業批判や保護主義的な政策で雇用を生み出せるか不明だが、その結果は“数字”となって直ぐに表れる。結果を出せなかった場合、トランプ大統領は二の矢・三の矢を放つのか――。世界は神経を尖らせることになりそうだ。 (アメリカ総局 山本貴徳・中部支社 岡崎哲)


⦿読売新聞 2017年1月23日付掲載⦿
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