【ふるさと納税・光と影】(上) 空き家点検にスマホゲーム…返礼品、アイデア勝負

今年で10年目に入る『ふるさと納税』。昨年度の利用額は前年度比4倍の1652億円となり、今年度は更に膨らむことが確実だ。ふるさと納税で寄付を受ける地方自治体の返礼品も、空き家の見守りサービスやスマホゲーム等の創意工夫が目立ち始めた。一方で、国民負担の増加や財政規律の緩み等、影の部分も見え始めた。

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「やっと見つけた」。茨城県大洗町では先月以降、休日にスマートフォン(スマホ)を片手に町内を歩き回る人が増えている。同町を舞台とした人気アニメ『ガールズ&パンツァー』のスマホゲームを、2万円以上寄付した人に先行公開。スマホの位置情報を使って、町内にいるアニメキャラクターを見つける。『ソニー』子会社で、ゲーム開発の『ソニー企業』(東京都中央区)と連携し、返礼品の目玉に据えた。既に900件の申請があり、同町の返礼品で人気トップだ。同町の担当者は、「これまでは特産品を送って終わりだった。今回のゲームは、実際に町に来てもらえる」と手応えを感じている。自治体が抱える課題に目を付けた返礼品もある。徳島県は今月から、5万円以上を寄付した人向けに、県内の空き家を年に1回点検して報告するサービスを始めた。建物の状態や不法投棄の有無を確認する。徳島県の空き家の比率は16.6%と全国4位で、放置すれば景観や治安を乱す恐れもある。「地元に残した親が亡くなって、実家を相続した人等の利用を見込む」(同県)という。

地方自治体が返礼品を工夫するのは、ふるさと納税が重要な財源に育ちつつあるからだ。2006年に財政破綻した北海道夕張市が、昨年度にふるさと納税を通じて受け取った寄付額は2億円。同年度の市税収入が8億円(当初予算ベース)の同市にとっては、大きな収入だ。来年度には寄付金を6億円まで増やす計画で、先月には夕張メロンだけだった返礼品を、ジンギスカンやご当地キャラクター1日出張サービス等、50種類に拡大。鈴木直道市長が都内で会見し、寄付を訴えた。ふるさと納税は、新たなお金の流れも生んでいる。「こんなスピードで寄付が集まるとは」。新潟県糸魚川市の担当者は、急増する寄付額に目を見張った。大火が起きた先月22日から大晦日までに、ふるさと納税で集まった寄付は3億9000万円に上った。同市への昨年度の寄付額は4100万円。僅か10日で、年間の寄付の10倍近い金額が集まった。しかも、半分以上は返礼品を求めない寄付だ。ふるさと納税は、これまで見栄えのよい返礼品ばかりが注目されてきた。これに関し、総務省は昨年4月、家電製品や商品券といった換金性の高い返礼品を自粛するよう自治体に求めた。“生まれ故郷や応援したい自治体に納税する”という当初の制度設計から、歪みも生じ始めている。


⦿日本経済新聞 2017年1月20日付掲載⦿
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