【霞が関2017冬】(04) 厚労省、不可解な出生数発表前倒し

昨年生まれた子供の数が、統計のある1899年以来、初めて100万人を割り込んだ。“団塊の世代”が生まれた1947~1949年は、毎年約270万人生まれており、4割に満たない。改めて少子化の深刻さが浮き彫りになった同統計について、厚生労働省は当初、決めていた発表日を変えるという不可解な行動に出た。「早めに統計が纏まったので」。先月22日、出生数の推計を発表した厚労省の広瀬滋樹参事官は、記者会見で繰り返した。例年、出生数を含む年間の人口動態調査推計は、発表日は元日。昨年分も今月1日に発表することを、政府統計のホームページ等で公表していた。少子化対策を喫緊の課題としてきた厚労省にとって、出生数100万人割れは喜ばしくない統計だ。「ニュースの少ない元日ではなく、年末に発表することで、報道を目立たなくしようとしたのでは?」という記者の疑問にも、「仕事が早くできた」という“公式答弁”を崩さなかった。抑々、統計の発表日は簡単に変えられるものなのか。国勢調査等、多くの統計を扱う総務省統計局に聞いてみると、「定例の統計は、調査にかかる日数や閣議等を勘案して、年初に日程を決める」という。飽く迄も一般論と断った上で、一度決めた発表日の前倒しは、「余程のことがない限りしない」(同)と回答した。

厚労省内ですら、「早めに纏まったので公表した」という言葉を額面通りに受け取る人は少ない。当初、発表日を今月1日から先月26日にしようとしていたからだ。事前報道があり、更に発表を前倒ししたのが実態とみられる。厚労省が恣意的に発表日をずらそうとした疑念は晴れない。昨年中に統計の発表日を巡って疑義が生じたのは、出生数だけではない。『年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)』の昨年度の運用成績の発表日でも、野党から批判を浴びた。昨年度は、世界的な景気減速の影響を受けて、5.3兆円の赤字だった。これを発表したのは昨年7月29日。例年より約半月遅く、参院選の後だった。民進党から「損失隠しだ」と追及されたものの、「発足10年の検証をする為、時間がかかった」として乗り切った。年金関連では、2004年の制度改革が参院選の争点になっていた時期、年金財政に大きな影響を及ぼす合計特殊出生率の公表が、改革関連法の成立後になったことが問題になった。2003年の出生率は1.29と、当時として過去最低だった為だ。少子化や年金問題は生活に身近なだけに、利害関係者が多く、政策調整は難しい。ただ、統計発表日をずらして目立たないようにしても、一時凌ぎにしかならないのは言うまでもない。 (奥田宏二)


⦿日本経済新聞電子版 2017年1月24日付掲載⦿
スポンサーサイト

テーマ : 政治のニュース
ジャンル : ニュース

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

广告
搜索
RSS链接
链接
QR码
QR