【霞が関2017冬】(05) 改ざんに計上ミス…揺らぐ政府統計

政府の統計が揺れている。経済産業省が纏める繊維流通統計では改竄、国土交通省の建築着工統計では計上ミスが相次いで発覚した。政府内で統計の司令塔的な役割を担う総務省の統計委員会は今日、これらの事態を重くみて、両省が報告した原因と再発防止策を検証した。浮かび上がるのは、各省で統計に基礎的な知識を持つ人材の不足と統計軽視の姿勢だ。「はっきり言って捏造ですよ。犯罪に限りなく近い」。統計委員会の西村清彦委員長は、怒りを露わにした。出席した有識者からは、「政府一丸となって統計改善に取り組む矢先の問題」「公的統計全体の信頼を揺るがす」等と危惧する声が相次いだ。「信頼性を損ないかねない。心から詫びる」。経産省製造産業局の糟谷敏秀局長が事態を報告して謝罪。統計法の研修やチェック機能の強化といった再発防止策を説明した。「局長が出るのは極めて異例。それだけ事態が重大ということだ」(統計委員会幹部)。会議は、予定の終了時刻より30分長引いた。事態は、調査票の電子化等を請け負っていた業者が昨年11月に経産省を訪れ、「集計結果と公表結果が違う」と指摘して発覚した。調査対象は約730社としているが、その内の315社は指定された名簿に載っていない業者を形式的に追加。実際に回答が得られたのは257社しかなかった為、担当者が過去の回答を流用して回答数を水増し。更に6年間かけて、水増しした分を徐々に減らそうとした。改竄は2012年からなされていたことが確認されたが、それ以前のデータは既に破棄され、改竄の有無も把握できなかった。

経産省の内部の調査によると、報告書では、一連の処理が課長まで了解を得た上での組織ぐるみの対応であることが明らかになった。更に経産省は、「実態に近付ける目的で実施した」と理由を説明したが、「調べてもいないのに実態って何なのか?」といった反論を招き、報告書を再度提出することになった。経産省は昨年9月分を以て、同統計の廃止を発表。繊維産業が盛んだった頃は景気動向の把握に役立ったが、近年は「殆どユーザーがいなかった」(関係者)。ニーズを考えず、惰性で調査を続けていた現実も浮き彫りになった。国土交通省は先月、建築着工統計を2013年までの過去に遡り、4ヵ月分修正した。国内総生産(GDP)の推計に使う部分も一部含まれており、額の大きさによってはGDPの修正に繋がる恐れもある。同統計は、建築業者等が出す工事届の内容から都道府県が調査表を纏め、国交省が集計する。都道府県が工事費予定額を1桁誤ったり、着工月から2年遅れて集計したりしていた。国交省は「外部からの指摘で判明した」と説明したが、複数の関係者によると、指摘したのは『日本銀行』だ。商業施設等の大きな工事は、不動産業者が投資額含めて公表する場合が多い。「リリースと統計の前月からの動きを照合すれば気付けた筈」と関係者はみる。今回の問題が発覚したのは、何れも統計を公表している政府自身ではなく、統計作成の請負業者と金融政策における統計ユーザーという外部だった。「自浄作用が働かなかったのは非常に深刻」(西村氏)。今でこそ統計改善への関心が高まり、予算や人員の配分増を訴える声も多い。だが、長年の統計軽視の姿勢は、国の統計職員数が10年間で7割減ったことからも明らかだ。「公務員の総数を増やせない中、統計部署は各省のスクラップ源となってきた」(内閣府幹部)。ビッグデータの活用等、新たな分野開拓に沸く裏で、“人材育成”という地道に取り組むべき課題が待ち受けている。 (大島有美子)


⦿日本経済新聞電子版 2017年1月27日付掲載⦿
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