【地方が変える・日本を変える】(05) 聖地巡礼、住民も熱狂

20170202 02
アニメ等のコンテンツ産業は、日本が高い競争力を持つ成長分野だ。地方がクールジャパンの発信地になれば、経済の活性化にも繋げられる。先月16日、平日にも関わらず、茨城県大洗町に650人が集まった。大洗町が舞台のアニメ『ガールズ&パンツァー』に登場する主要キャラクターの“誕生日”を祝う為だ。会場には花束・ケーキ・イラスト等が並び、写真撮影をする姿が見られた。仕掛け人の1人で、地場産品直売所を経営する常盤良彦さん(46・左画像)は、「こんなに人気が出るとは。奇跡です」と感概深げだ。「当初は『町おこしに繋がる』とは全く思わなかった」と言うが、2012年にアニメ放映が始まると多くのファンが町を訪れるようになり、地元も動き出した。ガルパンは、女子高生が戦車を操縦して戦う物語だ。パン屋には、大小のパンやコロッケを重ねて戦車に見立てた“ガルパン”が登場。設備工事会社の照沼修専務(58)は、鉄板を溶接する等して“戦車”3台を手作りした。今では「ファンより街の人のほうがガルパンに詳しい」(常盤さん)ほどだ。

ガルパン人気が呼び水となり、毎年恒例の『大洗あんこう祭』には昨年、アニメ放映前の3倍近い約13万人が訪れた。アニメに描かれた舞台を“聖地”として訪ねる“巡礼”ブーム。2007年放送開始の『らき☆すた』に登場する埼玉県の旧鷲宮町(現在の久喜市)が先駆けとされる。地元の祭りにらき☆すた神輿を登場させる等、ファンの繋ぎ止めに腐心してきた。「1000人の“一見さん”ではなく、100人のリピーターの確保を意識してきた」(担当者)という。アニメ等を観光に活用する“コンテンツツーリズム”に詳しい法政大学の増淵敏之教授は、「地元とファンがイベント等を一緒に楽しむことが必要」と指摘する。今後は国内だけでなく、外国人ファンへの対応も必要になりそうだ。出版大手等が設立した『アニメツーリズム協会』が今夏にも、アニメの舞台等8ヵ所を聖地に選び、主に外国人の参加を想定した周遊ルートを作る。追い風になりそうなのが、映画『君の名は。』(東宝)のヒットだ。興行収入は国内歴代4位の224億円で、世界125ヵ国・地域で上映される。作品の舞台の1つである岐阜県飛彈市には、公開から11月末までで約3万人が訪れた。ただ、飛彈市内の宿泊施設は既に「パンク状態」(市観光課)。アニメの聖地は必ずしも観光地ではなく、“巡礼者”の受け入れ体制作りは簡単ではない。「外国人ファンの為には丁寧な地図や表示等が必要だが、探す楽しみを求める傾向が強い日本のファンは、逆に敬遠する可能性がある」(増淵教授)との指摘もある。アニメに限らず、「テレビドラマや映画を町おこしに繋げよう」と目論みながら、成功している自治体は数えるほどだ。大抵は一時のブームで終わってしまう。アニメ等は、地域を知ってもらうきっかけの1つで、問題は、どのようにしてファンに足を運び続けてもらうか。腰を据えた取り組みが必要になる。


⦿読売新聞 2017年1月10日付掲載⦿
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