【トランプ主義・外交編】(01) 米露協調へ新布陣

ドナルド・トランプ新政権の外交戦略は、どう動いていくのか。カギを握る閣僚や補佐官らの経歴や思想から分析する。

20170203 10
「プーチン大統領が、アメリカのトランプ大統領に就任祝いで電話するだろう」――。一昨日夜時点で実現していないとはいえ、ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官が今月21日放送のロシア国営テレビに語った“意向”は、バラク・オバマ前政権下ではあり得なかった。ウラジーミル・プーチン大統領の対米姿勢に変化が起きている。ロシアによるクリミア併合を機に、“新冷戦”と呼ばれるまで冷え込んだ米露関係。だが、トランプ大統領は「IS(イスラミックステート)との戦いで助けになる」と、対露関係を反転させる方針を掲げる。国家安全保障担当のマイケル・フリン大統領補佐官と、国務長官候補のレックス・ティラーソン氏。トランプ大統領は、政権の要職にロシアと直接対話ができる人材を置き、秋波を送っている。フリン氏は、国防情報局長官を務めた軍の情報将校出身で、退任後にはロシア政府と関係の深いロシアのニュース番組に度々出演。2015年12月にモスクワで開かれたパーティーで、プーチン大統領と隣の席を与えられるほど、ロシア側の受けがいい。就任前の先月末にはロシアのセルゲイ・キスリャク駐米大使と電話会談し、今月23~24日にカザフスタンで開かれたロシア主導のシリア和平協議へのアメリカ政府のオブザーバー参加という成果を齎した。石油大手『エクソンモービル』でCEOを務めたティラーソン氏は、プーチン大統領の側近らと長年に亘り取引を行ってきた。プーチン大統領とも親交があり、ロシア政府から友好勲章を授与されている。

「フリン補佐官は(地域問題等)戦術レベルで米露融和を演じ、ティラーソン氏は(両国の)戦略レベルでクレムリンとの橋渡し役を演じるだろう」。ワシントンの政治コンサルティング会社で米露関係を研究する東秀敏氏は、こう指摘する。ただ、ロシアと“特別な関係”を持つ2人には、「ロシアの言いなりになるのでは?」との懸念も付き纏う。フリン補佐官とキスリャク大使の電話会談に対しては、「オバマ前政権が先月発表した対露制裁を事前に伝えたのではないか?」とアメリカのメディア等が疑惑の目を向けた。対露接近を疑問視する共和党議員も多い議会では、ティラーソン氏の承認手続きが長引いている。一方のフリン補佐官には、「アメリカ軍で将軍にまでなった人の忠誠心を疑うのは失礼だ」(在ワシントン駐在武官)といった擁護論もある。ティラーソン氏については、共和党主流派から信頼の厚いロバート・ゲーツ元国防長官が先月2日、マンハッタンの『トランプタワー』でトランプ氏に直接推薦した経緯が明らかになり、懸念は和らいだ。ティラーソン氏も今月11日の上院外交委員会の指名公聴会で、「(ロシアと)重要な相違が残るところでは、我々は断固として、アメリカと同盟国の国益を守らなければならない」と強調。対露強硬派の代表格であるジョン・マケイン上院議員は、「懸念が残る」としながらも、「『世界におけるアメリカの役割の為に闘う闘士となる』と確信を持った」と承認に回った。アメリカの調査会社『ユーラシアグループ』のクリフ・カプチャン氏も、「ティラーソン氏は、発言を聞く限りは対露強硬。国防総省のジェームズ・マティス長官と共に、トランプ大統領に均衡の取れたロシア観を与えるだろう」と見る1人だ。懸念と信頼が入り交じるとはいえ、冷戦終結後、ほぼ対立の歴史が続いた対露関係に、アメリカがこれまでに無かった布陣で臨むことは事実だ。米露の核軍縮交渉と対露経済制裁を取引するような発言が飛び出すトランプ大統領の外交姿勢を、キーパーソン2人がどう是正するのか。それは、“トランプ外交”そのものにとってのカギとなる。 (アメリカ総局 大木聖馬・モスクワ支局 花田吉雄)


⦿読売新聞 2017年1月27日付掲載⦿
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