「だからバイ(売人)は止められない」――現役ヤクザたちが語った芸能界薬物汚染の実態

日本中を驚かせた元プロ野球選手・清原和博容疑者の逮捕によって、改めて世間に知れ渡った“バイ(売人)”の世界。何故、清原容疑者は群馬県まで態々車を走らせて覚醒剤を買いに行ったのか? その背景には、薬物中毒者と売人による独特の“黒い絆”が存在していた――。 (取材・文/フリージャーナリスト 鈴木智彦)

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覚醒剤売買の基本は“信用”である。逮捕されれば重い罰則を課せられる違法薬物を扱っているだけで、商売の原理原則は変わらない。というより、堂々と看板を出せない商売だけに、何もかも口コミで判断するしかない。いいネタを引くのも、バイをするのも、個人の信用だけが担保だ。「何度も逮捕され、その度に自分だけが罪を被り、長い懲役に行く。それを繰り返してやっと、信用ができる。シャブ屋は“薬局”なんて呼ばれてバカにされがちだが、俺たちにだってプライドはある。『カネが無いからシャブを扱おう』なんて、軽く考えて儲かる商売じゃない」(長くシャブ売買をやってきた独立団体幹部)。事実、覚醒剤の売人は入れ替わりが早い。直ぐに捕まり、直ぐに街から消えていく。手堅く覚醒剤で儲けられるのは、極一部の大本締めだけだ。というのも、小売の密売人は自分自身が覚醒剤のユーザーということが多い為、逮捕されるリスクが倍になる。売人にも理屈はある。話を聞かせてくれたある男は、堂々とこう言い放った。「例えば、車を買いに行ったとしよう。そのメーカーの人間が他社の車に乗っていたら、説得力が無いだろ? 大体、このシャブがいいものかどうか、どうやって客に説明する訳? シャブをいかないヤツにシャブの商売は無理なんだよ。この商売、口コミが全てだからね。いい加減なシャブ屋は、ナフタリンや熱帯魚の水槽に使うカルキ抜きの薬まで何でも混ぜちまうんだよ。注射器でシャブを打ち、針を刺して血を引くと、普通は血が浮く。なのに、中にはドロッと血が下がるものまである。そんなものは、シャブよりよっぽど体に悪いんだって。でも、俺は自分で打っていいと思うものしか客に売らない。自分がマニアなんだから、客も信用するって訳だ。中毒になる? 俺はね、クスリに強い体質なんだ。ポン中にならないからいいんだよ」。

この売人は自分で覚醒剤にハマり、「少しでも安くシャブを買う為に売人になった」のだという。彼のようなケースはかなり多い。覚醒剤の価格は株式相場のように乱高下し、需要の増える盆暮れ正月前には高騰する。ユーザーたちは、仕事が長期休みになると挙ってシャブを買い求め、トリップを楽しむ訳だ。加えて、水際での摘発が続き、密輸が滞っても高くなる。誰からシャブを買うかによっても、かなり価格の差が生まれる。「今、シャブの値段は高騰しているからね。皆、『いい買い物をしたい』と熱望している。だから、俺はこうして商売ができる訳。一時期、グラム1万円で買えたこともあったけど、今、俺たちが客に売る相場は、グラム3万~4万円。北朝鮮から入ってくる九州ルートが無くなったから、品薄なんだ。供給量が少ないから、どうしても高くなってしまう。“売買は電話で”ってのが基本だな。密売所が無い訳じゃないけど、今は取り締まりが厳しいからね。お得意さんから電話があれば、直ぐにシャブを届けに行く。だから、売人にプリペイドや飛ばしの携帯電話は欠かせないよ。基本的に365日・24時間対応だ。何せ、がっつり利益を乗せているし、欲しくなったら絶対に我慢できないのがシャブだから。初めての時は、連絡を取り合ってどっかの路上で取引する。2~3回買ってもらって、『この客は大丈夫だ』と思えば届けに行くこともあるけど、ポン中は平気で嘘を吐くから、基本的に物事は疑ってかかるようにしているね。どっちにしても対面販売が一般的で、インターネット売買のように銀行振り込みして宅急便で届けるなんて、俺にはちょっと考えられない。悪いことってのは、ひっそりコソコソやっているから可愛いんじゃないの。あんなに堂々とやったら、『偶には横向いてやろう』なんて思わなくなるよ。でも、警察は慢性的に人手不足なんだよ。俺たちを捕まえたってイタチごっこだから、まぁ、目立ったことしなくなったら安全だろう。どうせなら末端の売人じゃなく、少しでも上の人間をパクリたい。大元締め-元締め-中間御元-シャブ屋-パケ屋-密売人というルートがあって、警察が捕まえたいのは、最低でも㎏単位で売買し、100人・200人を相手にしてる人間だ。それも、現物を持った密売人を捕まえたい。俺たちなんて捕まえても捕まえなくてもいいんだよ」(同)。彼方此方に売人はいるのに、特定のラインに顧客が集中するのも口コミの力による。「この売人なら、万が一の時でも安心だ」と顧客に思われると、ポン中がポン中を呼び、商いがどんどん拡大していくのだ。

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俗に言う“芸能界ルート”も、追いかけていけばたった1人のポン中に辿り着く。「ヘビーなポン中が他の愛好者に勧めるってパターン。清原ものりピーも、清水健太郎・ASKA・小向美奈子とかも、自分でルートなんて開拓できない。身近な人間から教えてもらっている。ポン中は覚醒剤が買えなくなる事態を何よりも嫌がるから、自分がシャブを引けるルートを持っていても、勧められれば必ず一度は試す訳。最近は取り締まりも厳しいし、覚醒剤に対する世間の風当たりもキツい。若し捕まれば、全ての仕事がパーになるばかりか、ミュージシャンならCDが、俳優なら映画がお蔵入りになってしまい、復帰はかなり難しい。そうなると、問題になるのは質や価格じゃない。“逮捕されても絶対に顧客情報を喋らない”という信用だ」(同)。とはいえ、目立ち過ぎると警察にパクられる。売人の中には、同業者の情報を警察に漏らし、代わりに自分の売買を見逃してもらっている“S(内通者)”もいる。「ポン中で有名な女優が強壮剤のCMに出るとか、俺たちからみたら爆笑のことが起きても、基本的にはマスコミに喋らない。話題になれば、困るのは自分自身だからね。芋蔓式に逮捕されてしまうのを防ぐ為に、本当は窓口になる人間を定期的に変えたいんだが、芸能人は逮捕されるのを極端に怖がるので、そうもいかない。偶然、自分の客から芸能界に繋がるルートができても、適当なところで手仕舞いするのが一番いい。何にでも頃合いはある。爪を長くする(欲をかく)と自爆する。俺個人の考えだが、芸能人相手の商売は、“高く売れる”というメリットはあっても、警察が自らの宣伝の為に本気になるので、いいもんじゃない。だから、芸能界ルートは大抵大店ってことになり、特別な仕事という感じではない」(同)。事実、日本の覚醒剤取り締まりはかなり厳しい。使用や所持が死刑になってしまう国を除けば、最高刑は無期懲役だから、トップレベルと言っていい。輸入・製造・譲渡・譲受・周旋・幇助・資金提供・情報提供等、覚醒剤に絡むあらゆるケースが違法とされ、たとえ未遂・予備であっても重い処刑が下される。

例えば、貸した金を覚醒剤売買によって得た金で返済してもらった場合、それを認識していただけで罪になる。また、覚醒剤事犯は故意犯で、覚醒剤の認識が無ければ罪にならない建前だが、現実はどんなケースでもシャブに関わった時点で犯罪だ。「何かわからないけど、ラブホテルで男に注射をされた」と言い逃れしても、ポン中たちの常套句である為、裁判ではほぼ認められない。“あおり又は唆し”という罪も新設され、出版物は勿論、集会・ビラ・インターネットの掲示板も厳しく取り締まられるようになった。実際、インターネット上でシャブの使用を“妄りに煽った”人間が逮捕され、有罪とされたこともある。加えて、科学捜査も第一級にある。インターネット上には誤ったシャブ知識が蔓延しているが、ネットサーフィン程度で得た知識で武装しても、科捜研にかかれば直ぐ嘘と見破られる。たとえエフェドリンを尿に混ぜ、偽の陽性反応を作り出しても、薄層クロマトグラフィー・ガスクロマトグラフィー・赤外線吸収スペクトルといった最新の検査で嘘がバレる。「採尿時にシャブを混入された」とか、「複数の薬を服用した」とか、「シャブ中の尿を飲んだ」という言い訳も科学的に覆され、ポン中は刑務所に送られる。“一度ハマれば骨までしゃぶられる”と言われるシャブ(覚醒剤)は、実質、この国における違法薬物の王様であるが、一瞬の快楽と引き替えに何もかも失う。へロインのような身体的依存性は無くても、いつも心がクスリを欲しがってしまう。「たった一度なら…」。そう思って手を出せば、そのまま地獄に真っ逆さまだ。そこまで厳しく取り締まっても、覚醒剤ユーザーが消滅しない理由ははっきりしている。覚醒剤が世界最高の媚薬で、性の快楽を現実世界ではあり得ないレべルにブーストする“セックスドラッグ”だからである。「ハッパとかバツとかなんて比較にならない。脳味噌の芯からスケべになれるのはシャブしかない。一度、シャブを使ったセックスの快楽を覚えたら、素面でやるなんてバカらしくなる。知らないヤツに伝えるのは難しいけど、皮膚を触っただけで全身の毛が逆立つとか、止め処ない量の精液を出した感覚になるね。たとえ最高刑を死刑にしても、ポン中はいなくならない。かなりのポン中だった自分が言うんだから間違いない。一旦覚えた快楽を脳から消してくれるなら、いくらだって支払う」(横浜で売人を抱える暴力団組長)。その為、性感が強い女性のほうが覚醒剤にハマるらしい。「膣に挿入した男性器が全身を貫き、脳天に達する感覚になる」と表現した女もいる。残念ながら、筆者のネタ元に女性はいないので伝聞になるが、それでも底無しの快楽は十分伝わってくる。

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「AVで謎の媚薬を飲ませたりするじゃん。嫌がっている女が、そのクスリのせいでいきなり変態になるってパターン。あんなもん、存在しないと思うだろ? でも、シャブならそれがかなり現実になる。全く未経験だとそうはいかないけど、快感を知っている女だと、ハァハァ喘いで腰をくねらせてくるよ。嫌がっている女が急に変態になる。全く、凄い薬だよ。男も女も常識がぶっ飛んで、どんな変態プレイもできるようになる。SMやアナルセックスなんて序の口で、女に入れながら自分のケツにバイブをぶっこんだり、それをビデオに撮って見たりする。シャブは心理的なものだけじゃなく、体の痛みも消してしまうんだ。アナルから血が出たって関係ないから、プレイに際限がない」(同)。覚醒剤で捕まった芸能人が女性だった場合、致命的な汚点となり、いつまでも好奇の目で見られてしまうのもその為だ。「ポン中が一番欲しがるのは、同じポン中の女。ブスでも年増でもバカでもいい。一緒にシャブを使って変態セックスに耽る相手が欲しい訳。それが女優だったら、もう最高でしょ。それはポン中の夢だね」(同)。一昔前、覚醒剤は日本やアジアだけの問題だったが、今や世界中に汚染が広がってしまった。コカインやマリファナの使用が珍しくないアメリカでも、覚醒剤汚染は深刻な社会問題となっている。『ナショナルジオグラフィック』は、ドラッグ慣れしたアメリカ人が軽い気持ちでシャブを使ってガンギマリとなり、携帯電話でパニックを実況中継しながら凍死する事故を取り上げ、覚醒剤の怖さを伝える番組を制作して警鐘を鳴らした。アメリカでは、風邪薬等の市販薬に覚醒剤成分が含まれ、高校生程度の化学知識があれば簡単にシャブが作れる為、各地に密造所が乱立し、どれだけ取り締まっても限が無いらしい。製造の過程で爆発事故を起こし、死亡するケースも多発している。末端価格は格安で、ざっと日本の20分の1という。汚染はヨーロッパでも広がっており、“法律が厳しくて犯罪組織が存在しない”と言われるドイツでもシャブが広く流通している。『外国人特派員協会』でアルバイトをしているドイツ人留学生に訊いたところ、用途は完全なセックスドラッグで、やはり最高の媚薬と認知されているという。世界中、どこに行ってもシャブの需要があり、その気になれば簡単に買える。シャブに国境は無い――。


キャプチャ  第1号掲載

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