【労基署ショックが日本を襲う】(08) IT業界をダークサイドに落とす重層下請け構造の闇

IT業界で裁量労働制を悪用した長時間労働が蔓延っている背景には、重層下請け構造や、発注側との圧倒的な発言力の格差がある。答えを出すのは容易ではない。

20170207 01
今も名ばかり管理職の悪弊が残り、裁量労働制の悪用が蔓延っている――。「IT業界の労働実態を掘り下げていくと、意外なダークサイドが見えてくる」。そう指摘する労働問題に詳しい弁護士は、IT企業で実際にあったケースとして左図の事例を紹介してくれた。「入社後3ヵ月の試用期間が終わると、会社側は社員を主任に昇格させ、『管理職になったから』と残業代を払わない。どんなに働いても、管理職手当は5000円だけ」。当然、この会社は労基署から是正勧告を受けてしまう。しかし、反省するところか、今度は見做し労働時間で賃金を支払う“専門業務型裁量労働制”を導入したという。そして、「実質的にはプログラマーの社員に対し、『貴方はSE(システムエンジニア)で、裁量労働制の適用対象なので、どんなに残業しても残業代は出ない』と伝える訳です」(同)。実際、SEは裁量労働制の適用対象で、プログラマーは対象外。裁量労働制を悪用したこうした手口は、残業代も碌に払わずに社員を使い倒す典型と言える。一時期よりは改善したとされるが、中小のIT企業を中心に依然として根深い問題だという。中小のIT企業が残業代の支払いを渋る背景には、「“重層下請け構造”の問題がある。下層に行くほど無理な発注が増える」(厚生労働省労働案件政策課の川又修司課長補佐)。立場が弱いと、顧客側が納期直前に急な仕様の変更を求めてきた場合、「次の仕事を貰えないかもしれない」という不安感から、無茶な納期でも呑まざるを得ない。これが長時間労働の元凶となる。収益も期待できないとなれば、残業代を渋るしかなくなり、ダークサイドに落ちてしまうのだ。運輸業界等、顧客から発注を受ける業界でも共通の課題であり、政府としては、発注企業も交えた議論の場を持つ等して改善に動いている。ただ、発注側と受注側の発言力の格差が無くなることはないだろう。この問題にメスを入れると、業界の商慣行にまで切り込む必要があるが、それは解答を提示するのが極めて難しい問題だからだ。長時間労働を巡って、政府は残業時間の上限規制を導入したい考えだが、こうした歪な格差解消に先鞭をつけることも意義がある筈だ。


キャプチャ  2016年12月17日号掲載
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