【教科書に載らない経済と犯罪の危ない話】(32) ドナルド・トランプが世界経済に与える“暴力団的”インパクトの正体

トランプ大統領が誕生した。就任演説では“アメリカンファースト”を宣言し、TPPからの離脱も表明した。これは、完全な保護主義的な政策推進を意味する。アメリカの経常赤字は、対GDP比で2.4%と改善傾向にあり、アメリカの労働市場はほぼ完全雇用の状態だ。この状況では、国内生産増に限りがあり、国民の支出を増やす為には、不足分を海外からの輸入に頼るしかない。だから、トランプの保護貿易政策は、マクロの視点から見ると大きな矛盾がある。とはいえ、トランプ政権でアメリカの景気は拡大するだろう。トランプのインフラ投資政策は、確実に雇用と需要を生む。財源は国債の増発となり、金利が上昇。金融規制緩和と相俟って、市場は活性化する。この他にも、トランプ政権で注目すべき政策がある。シェールオイルや天然ガス等エネルギーの産出制限を廃止して、雇用を創出するというものだ。これは、アメリカのエネルギー産業の強化となり、中東に関与するインセンティブを低下させる。その結果、中東情勢は不安定となるだろう。もう1つ注目すべきは、トランプが公約している『ドットフランク法(金融規制改革法)』の撤廃だ。リーマンショックを機に、金融機関への規制を盛り込んだ同法は、金融市場を萎縮させた。中でも、銀行の自己勘定取引を規制したボルカールールは、円滑な金融システムを阻害するものである。このドットフランク法の撤廃は、金融市場を活性化させ、金融機関の収益率を上げ、雇用創出にも繋がる。“アメリカ史上最低の大統領”と呼ばれ、全米で抗議デモが行われているが、トランプ政権はそれほど悪いとは思えない。何より、民主主義の手続きに則って選ばれたのだ。結果を受け入れるべきだろう。

現実として、地下経済はトランプ大統領を大歓迎している。特に、アメリカ国内のイタリア系マフィアは、トランプ当選と同時に大きく動き出した。昨年末には有名なファミリーが来日し、東京都内の商業ビルを物色している。その理由は、トランプ政権で資金移動が容易になる為、日本の不動産や株に投資する思惑である。これまでアメリカ国内に滞留していた地下経済の資本は流動性が高まり、ドル高を背景に海外へ投資に向かうだろう。逆に、アメリカ国内への資本流入も起こっている。特に、中国からロンドンやシンガポールを経由して、急激な資本の移動が始まっている。これは、単なる金利上昇を見込んでのものではない。トランプ政権の金融規制緩和で、安全な資金移動と、安定したドルを手に入れられるからだ。トランプのアメリカ第一主義は、金融機関は勿論、そのシステムまで変えるだろう。それは即ち、「アメリカの銀行が使い易くなり、安全になる」ということだ。その反対に、非アメリカ系の銀行は、地下経済にとって使い難くなることが予想される。昨年12月、『ドイチェバンク』は、アメリカ司法省に請求されていた140億ドル(約1兆6000億円)の和解金について、72億ドルの支払いで合意した。これは、「ドイチェバンクが金融過熱を煽り、住宅ローン担保証券(MBS)を過剰に販売した」というアメリカの言いがかりだ。MBSを始めとするサブプライムショックの原因はアメリカが作ったもので、ドイチェバンクへの請求は暴力団の恐喝と同じ手口だ。アメリカはこれまでにも、他国の銀行につけ入る隙があれば、“制裁”と称してカネを巻き上げてきた。トランプ政権になり、この手口は益々エスカレートするだろう。逆に言えば、アメリカの銀行を利用すればリスクは減らせる。“アメリカは巨大な暴力団”――。そのように考えれば、今後の対策の参考になるだろう。 (http://twitter.com/nekokumicho


キャプチャ  2017年2月7日号掲載
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テーマ : 国際政治
ジャンル : 政治・経済

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