【地方が変える・日本を変える】(07) 地場産業、ITで潜在力

20170208 01
「最新の技術を地域の活性化に生かそう」という動きが広がっている。長崎県の離島では、スマートフォンや携帯電話を使った電子版のプレミアム付き商品券『しまとく通貨』の利用が始まった。「日帰り入浴代計3000円分をしまとく通貨でお願いします」。壱岐市の『平山旅館』で、両親と家族旅行で訪れた熊本市の会社員・竹内睦雄さん(34)と仁美さん(33)の夫妻は、スマホを差し出した。従業員が画面に電子スタンプを押すと、決済はあっという間に完了した。地域通貨は6000円分を5000円で購入でき、壱岐や五島等の約600店舗で利用できる。参加自治体による発行委員会は、2013年から紙のしまとく通貨を発行してきた。電子版は昨年10月からで、既に約1億円の利用があった。観光客が上手く機器を使えずに、結局は現金で支払う等の問題が起きており、商店側からも「電子通貨だと実際に決済されているかわからず不安」(79歳の干物販売女性)等の声が上がる。

それでも、電子化により、紙の印刷費や輸送費等の経費が25%減った。何より、通貨の利用状況を簡単に把握できるのが利点で、観光客の周遊ルート等、集まったデータを今後の観光振興策に役立てる考えだ。企業の支援策では、インターネット上のサイトでお金の出し手を募る『クラウドファンディング』が普及してきた。国内の眼鏡フレーム生産で95%のシェアを持つ福井県鯖江市。眼鏡デザイン会社『ボストンクラブ』が、シリコンバレーのIT企業等と連携し、約2年がかりで眼鏡と電子機器を繋げる着脱式の部品『ネオプラグ』を開発した。眼鏡のデザインや掛け心地を損なわずに、小型のウェアラブル端末を取り付け、移動中に動画を楽しんだりできる。量産や普及に向け、同社が活用するクラウドファンディング『FAAVOさばえ』は、鯖江市が運営する。民間の運営会社は数多いが、自治体による運営は同市が先駆け的な存在で、現在では全国各地に広がった。市財政課の今川泰夫さんは、「新たな挑戦をバックアップし、地場産業を盛り立てたい」と語る。東日本大震災からの復興を目指す仙台市は、クラウドファンディングを使って新事業を始める中小企業を対象に、運営会社に支払う手数料を助成する等の支援を行う。これまで8社の応募があり、近く5社程度に絞る。インターネット上で広く資金を集めるには、企業の企画力やPR力が必要だ。「商品開発の過程や事業者の思い等を伝えることで、投資者に仙台市のファンになってもらう」(市産業振興課の白岩靖史さん)狙いもある。夢はあってもカネが無い企業には勿論、財政に余裕の無い自治体にとっても、補助金を出さずに産業振興を図れるメリットは大きい。地域の魅力や独自性を突き詰め、新しいことに挑戦する――。地方の変化が、日本の成長を引き寄せる。 =おわり

               ◇

武田泰介・秋山洋成・橫井美帆・野日季瑛・吉田昂・安藤奈々・小沢妃・西部経済部 井上忠明・東北総局 梶彩夏が担当しました。


⦿読売新聞 2017年1月12日付掲載⦿
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