【男の子育て日記】(38) ○月×日

9月2日 妻の実家がある広島県福山市に泊まりに行く。妻の弟家族も名古屋から来ていた。妻の実家はお寺。広い日本家屋で、冬にも来たけど、その時は寒かった。夏は涼しくて丁度いい。義弟の奥さんは妊娠8ヵ月。夫の転勤先である名古屋について行き、見ず知らずの町で、昼も夜も1歳の子供の面倒を見ている。凄いとしか言い様がない。記子も感嘆の声を漏らす。「Mちゃん、偉いわ~」。これまで、専業主婦に対して「働けよ…」と見下していた妻も、子育ての大変さを知り、考えを改めたようだ。漸く人として学んだか。一文は、久し振りに従兄と再会も、お互い人見知り。お義父さんは2人の孫に挟まれて嬉しそうだ。ところがお義母さん、「記子が子供を産むとは思わなかったね。あんたたちは今に別れるんやろうけど」。おいおい、俺たちが離婚すると思っているじゃないか。毎週、この連載を読んでいるせいか。少し手を緩めたほうがいいのかしら。

9月3日 これまで、離乳食は保育園に丸投げだったが、「アレルギーが無いか、家でも食べさせて下さい」と、月齢計画表を貰う。先ずは卵にチャレンジ。茹で卵にして食べさせる。食後も蕁麻疹といった問題は起こらず。ホッ。

9月4日 大豆はどうだろう。納豆を食べさせる。一文、怪訝な顔もクリア。

9月5日 一文、掴まり立ち、或いは捕まらずに立ち上がり、5~6秒立つ。その間、「見て見て!」とばかり大燥ぎ。成長著しい。頬が緩む。

9月6日 新刊のキャンペーンの為、一文を妻に預けて上京。幾つか取材を熟し、書店を回ってサイン。普段から世話になっている『ヴィレッジヴァンガード』下北沢店で、natsuki nishikawaさんと会う。nishikawaさんは以前、渋谷宇田川店で働いていて、子育てをしながら復職をした(第26回参照)。ここに至るまでも、色々と苦労があったようだ。「幼児虐待のニュースを見るでしょう。自分が親になるまでは、『何でそんな酷いことをするのだろう』と思っていました。だけど、自分がやってもおかしくなかった。紙一重でした」。nishikawaさんが涙を浮かべて話す。全く同感。胸が締め付けられる。貰い泣きしそう。因みに、僕がその時、彼女の話を聞きながらサインに添えていた言葉は、筆書きで“魔羅天国”・“名器晩成”・“絶倫童貞”・“膣穴祭り”といったエロ四字熟語でした。

9月7日 帰宅。久し振りに一文と抱擁。もう、お前を放さないぞ。うどんと豚肉を食べさせてみる。良い子良い子。

9月8日 温めてから少し冷ました牛乳を飲ませるも、あまりお気に召さず。風呂掃除・溜まりに溜まった台所の洗い物・洗濯・床拭き・ゴミ捨てを全て片付ける。へとへと。褒めてほしくて、妻にそれとなく話を振ったがキレられる。「恩着せがましいんだよ! 別にお前がやらなくてもいいんだ!」。お義母さんへ、この回を読んだら連絡を下さい。


樋口毅宏(ひぐち・たけひろ) 作家。1971年、東京都生まれ。帝京大学文学部卒業後、『コアマガジン』に入社。『ニャン2倶楽部Z』『BUBKA』編集部を経て、『白夜書房』に移籍。『コリアムービー』『みうらじゅんマガジン』の編集長を務める。2009年に作家に転身。著書に『日本のセックス』(双葉文庫)・『ルック・バック・イン・アンガー』(祥伝社文庫)・『さよなら小沢健二』(扶桑社)等。


キャプチャ  2017年2月9日号掲載
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