【仁義なきメディア戦争】(13) 脱テレビ依存なるか…制作会社の新金脈

20170213 09
人気ドラマ『深夜食堂』の新作が、動画配信サービスの『NETFLIX』へ“移籍”した。先月21日から『深夜食堂 -Tokyo Stories-』として、世界190ヵ国で同時配信を開始した。ドラマの舞台は、繁華街の路地裏にある小さな食堂“めしや”。マスター役を小林薫が演じ、不破万作・綾田俊樹・光石研・松重豊・オダギリジョーらが常連客役だ。2009年10月にTBSテレビ系列各局深夜枠で放送された同ドラマは、見るとお腹が空いてくる“飯テロドラマ”の先駆け的存在としてファンを増やした。2011年に第2部、2014年に第3部が放送され、昨年には映画化されている。全国80館という小規模な上映にも拘わらず、興行収入2億5000万円・動員数20万人を記録した。今や、人気は日本だけに止まらない。韓国・台湾・香港を中心にファンを増やし、リメイク版も作られている。NETFLIX作品は先月25日に『ロンドン東アジア映画祭』で上映され、今月5日には新作映画『続・深夜食堂』(東映)が公開された。これまでもNETFLIXは、オリジナルドラマの制作に出資したり、独占配信権を獲得したりすることで、他サービスとの差別化を図ってきた。6月には芥川賞作品の小説『火花』(文藝春秋)を、『吉本興業』等の出資会社がドラマ化して話題を集めた。しかし、地上波で視聴率を確保できるドラマシリーズがインターネットサービスへ移籍する動きは、従来の流れとは一線を画す。これには背景がある。これまで深夜枠で放送されてきた深夜食堂は、大手芸能事務所で制作会社の『アミューズ』が主導権を握って制作してきた。テレビ局頼みに終わらせず、インターネットサービスにも企画の持ち込みが可能だった。深夜食堂のプロデューサーを務めるアミューズの遠藤日登思氏は、NETFLIXを選んだ理由について、「一番の理由は、事業的に有利だったから」と語る。

視聴者の多いプライムタイム(19~23時の時間帯)のドラマには広告スポンサーが付き、テレビ局が制作費を出す。その代わりに、著作権はテレビ局側が持つ。一方で、視聴者の少ない深夜ドラマは、制作会社が費用を工面することがある。その場合、映画のような製作委員会の形式で制作費を集め、テレビ局に持ち込んで放送し、それから2次利用としてDVD等のパッケージ販売や配信等で回収していく流れが一般的となっている。しかし、頼みのパッケージ販売は、市場全体で縮小傾向が続く。そこで遠藤プロデューサーは、「配信を2次利用と見るのではなく、1次利用で制作費の回収が見込めれば事業として有利」と判断した。制作委員会メンバーの『毎日放送』は、テレビ局という立場から、当初は配信が先ということに戸惑ったが、最終的には合意した。何れは2次利用として、テレビ放送を考えているという。アミューズは、2010年に映画『のだめカンタービレ』(東宝)を韓国で配給する等、数年前から海外展開を積極的に進めている。「(NETFLIXの配信先が)世界190ヵ国と言われると実感が湧かないが、従来のテレビ放送では実現が難しかったのは確か。制作会社にとって大きな魅力」(前出の遠藤プロデューサー)。制作費を回収できるなら、従来通りのビジネスモデルに拘る理由は無い。昨年、日本は“動画配信元年”に沸いた。世界最大の定額動画配信サービスであるNETFLIXが、昨年9月に日本でも事業を開始。月額650円(スタンダードプラン)を払えば、映画やドラマが見放題となるインターネットサービスが話題を集めた。同じタイミングで『Amazon.com』も、年間3900円のプライム会員になると動画が見放題となる『Amazonプライムビデオ』を開始。各社は会員獲得に向けて差別化を図る為、独占配信のオリジナル作品を続々と増やしている。従来のテレビの枠組みでは難しかった試みが、インターネット上では意欲的に行われている。2011年に日本で逸早くサービスを開始した『Hulu』は、2014年に『日本テレビ』が日本の事業を買収。日テレが制作した連続ドラマ等を積極的配信する等、連携を進めたことで、会員数は140万人となっている。昨年11月には、150万部売れた小説『殺人鬼フジコの衝動』(徳間書店)を、初のオリジナル連続ドラマ『フジコ』として映像化。日テレ傘下のHuluが、『フジテレビ』傘下の『共同テレビ』と組むという珍しい陣容で制作された。フジコは、地上波ではタブーとされる過激なシーンが満載の野心作で、『全日本テレビ番組製作社連盟』主催の番組コンクール『第32回ATP賞テレビグランプリ』で特別賞を受賞している。

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Huluは今夏にも、オリジナル作品のホラーサスペンス『CROW’S BLOOD』を配信している。ハリウッドのサイコスリラー映画『ソウ』シリーズのダーレン・リン・バウズマン監督が製作総指揮を務め、音楽プロデューサーの秋元康氏とタッグを組んだ。“Jホラーとハリウッドを組み合わせた日米合作ドラマ”を掲げ、Huluの事業会社が製作・著作となっている。Amazonプライムが今年5月に開いた記者会見では、同社日本法人のジャスパー・チャン社長が「他では見られない品揃えを強化することが、(年間有料)会員の獲得に繋がる」と、オリジナル作品を強化する方針を示した。6月にはディーン・フジオカ主演のドラマ『はぴまり~Happy Marriage!?~』を配信する等、日本発のオリジナル作品を積極的に増やしている。チャン社長は「広く制作会社から企画を募集していく」と宣言しており、制作会社や地方のテレビ局等からも積極的にドキュメンタリー番組等のコンテンツを買い付けている。「この状況が長く続くかはわからないが、今はコンテンツバブルの状況にある」(関係者)といった声が漏れるほどだ。テレビ以外の選択肢が増える芸能事務所や制作会社にとって、追い風が吹いていることは間違いないだろう。この状況は、テレビ局にとって不利になりかねない。既に海外では、既存のテレビ局とインターネットサービスとの競合関係が指摘されているが、日本の場合は異なる。アメリカではテレビ局と制作会社の機能が分かれているが、日本の場合は制作から放送まで一気通貫で手掛ける“垂直統合モデル”が確立されている。テレビ局自らが“制作集団”と強く認識しているのが特徴だ。NETFLIXが日本でビジネスを開始するに当たり、逸早く手を組んだのもフジテレビだった。フジの大多亮常務取締役は、NETFLIXとの提携について、「先ずは『組むしかない』と思い、他局よりも先に声をかけた」と語る。

フジで放送された男女6人が共同生活を送る様子をドラマにしたバラエティー番組『テラスハウス』の新シリーズを、昨年9月にNETFLIX向けに独占配信した。これは関係者の予想以上に話題を集め、11月からは舞台を日本からハワイに移した新シリーズの配信が始まっている。冒頭の深夜食堂のようなドラマとは毛色が異なるが、手堅く視聴率の取れるヒットコンテンツの新シリーズが、地上波からNETFLIXのオリジナル版として配信されるのは、テラスハウスが先駆けと言える。大多常務は、「当初は独占配信を予定していなかったが、ドラマほど制作費はかからず、日本で人気のあるコンテンツということで始めたら、再生回数の多さに驚いた。海外ではアジアで反応がよく、世界展開の可能性も出てきている」と手応えを感じている。若者を中心としたテレビ離れは深刻だ。世帯当たりの視聴率であるHUT(総世帯視聴率)は、10年前から約5ポイントも低下している。嘗ては現聴率20~30%は当たり前だった地上波ドラマが、今では2桁を取ることさえ難しくなっている。中でもフジは、視聴率の低迷に苦しむ最中にある。「今までは視聴率を取れば儲かったが、インターネットの出現が従来のビジネスモデルを変えつつある。インターネットは無視できない存在で、兎に角、今は(テレビ発に拘らず)ヒット作と言えるものが欲しい」(大多常務)と、グローバル展開に意欲的だ。日本は長年に亘り、テレビ局がドラマ制作をリードし続けてきた。彼らのノウハウや資金力は、制作会社の力量を軽く上回る。しかし、インターネット向けのオリジナル作品もテレビ局主導で制作されるようになると、近年のドラマ視聴率の低下が示すような“テレビがつまらなくなった”という現状が、そのままインターネットに移行しかねない。イギリスではロビー活動が続けられた結果、2003年に法律が変わり、制作会社も番組の著作権を持つことができるようになった。シャーロック・ホームズをモチーフにしたドラマ『シャーロック』は、イギリスの独立系制作会社が企画して、世界中でヒットした成功例の1つである。海外売上高等が発生した場合は、制作した『BBC』も数%分の手数料を受け取るが、制作会社が著作権を握っている。制作会社がインターネットオリジナル作品を選ぶ理由の1つには、ドラマを始めとする制作費の高騰もある。しかし真意は、番組の著作権を手に入れることに他ならない。テレビ依存の壁を打ち破るチャンスが、インターネット配信サービスによって広がっている。既存の概念やルールが崩れつつある今、深夜食堂のような取り組みが更に増えてもいいだろう。 (取材・文/『放送ジャーナル』記者 長谷川朋子)


キャプチャ  2016年11月19日号掲載
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