撮るほうも出るほうもカネにならない…人権団体による告発で社会問題化した“AV出演強要被害”の真相

20170214 01
2016年3月3日、国際人権NGO『ヒューマンライツナウ(HRN)』は、『ポルノ・アダルトビデオ産業が生み出す、女性・少女に対する人権侵害 調査報告書』と題した調査報告書を発表した。そこには、AV業界で蔓延しているとされる出演強要等の被害事例が列挙され、業界の問題点が事細かく記載されていた。当初、AV関係者の多くは「一部の人権団体が騒いでいるだけ」としか考えておらず、そこまで問題視していなかった。近年は、『ソフトオンデマンド』を始めとする大手のAVメーカーには、早稲田や慶応を始めとする高学歴の学生が就職し、女の子たちはアイドルを目指すようにしてAV女優を目指す者も多い。「今のAV業界はクリーンになってきている」というのが、AV業界の関係者の共通の認識だったのだ。しかし5月23日、業界人は青褪める。大手AVプロダクション『マークスジャパン』の元所属女優が、「無理矢理AVに出演させられた」と警察に相談したところ、警察は事務所の社長を始めとする3人を逮捕したのである。罪状は労働者派遣法違反だった。その後、業界は更に混乱に陥る。「神奈川県内にある屋外キャンプ場でAV撮影を行った」として、警視庁は7月8日までに、制作会社の社長や出演した女優9人・男性24人等、計52人を書類送検した。キャンプ場には、他の人が入らないように見張りが立てられていたというが、公然わいせつ罪の罪状が付いたのである。「これは、マークスジャパン摘発の件と繋がっています。警察に相談した元所属女優が、この野外キャンプ場の作品に出演していたんですよ。この元所属女優を取っ掛かりとして、お上はAV業界全体にメスを入れようとしたんでしょう。これ以外の作品だと、彼女が出演していた裏ビデオや、ノンストップで行われたハードな複数プレイの作品が問題視され、海外配信ビデオを主に制作しているAV制作会社“ピエロ”等にも捜査の手が入っています。何せ、数百作も出演していた女優ですから、法的に際どい作品は沢山あったんですよ」(関係者)。今後、どんな災難が降りかかってくるのか、業界人は戦々恐々としている。

大半の業界人が、このままで済むとは思っていない。何故なら8月以降、東京都内の主だったAV事務所の社員が警察に呼ばれているからだ。「『ちょっと話を聞かせてくれ』って感じで呼ばれて、何時間も今の業界がどんな状況かって聞かれています。うちの事務所は全然、例のキャンプ場の作品に関与していなかったんですけどね」(都内のAV事務所社員)。2020年の東京オリンピックを前にして、国による法規制が行われる可能性もありそうだ。抑々、AV出演強要問題は本当に起こっていることなのか? 5月26日、HRNが参議院議員会館でシンポジウムを開催した。シンポジウム開始直後にプロジェクターで流されたビデオメッセージが、出席者の視線を釘付けにした。「『グラビアの仕事をしないか?』と紹介を受け、プロダクションに行きました。『これから面接だから』と言われ、連れて行かれました。その時は特にAVとも言われず、数日後に電話がかかってきて、『AV撮影が決まったから』と言われたんです。最初は驚いて、断る努力をしました。『AVなんて聞いていないし、到底できることでもない』と言ったところ、『電話で話してもしょうがないから、事務所に一度おいでよ。ゆっくり話そう』って言われたんです」。首から下だけが映された女性が、自身の体験談を訥々と語る。「プロダクションに行き、そこから数時間に及ぶ説得が行われました。複数のマネージャーが入れ代わり立ち代わり部屋に入ってきて、凄く優しく論す人もいれば、『何か心配なことある?』って恰も一緒に優しく解決してくれるような人もいました。『いい加減にしろ。お前はどれだけ迷惑かければ気が済むんだ。お前が黙って“やります”って言えば、それで全てが収まるんだ』という趣旨のことを怒鳴り散らして説得する人もいました。その時点では、個人情報に関することを向こうが握っていたので、その恐怖もありましたし、実際にマネージャーから『今、ここでAVを断るのであればキャンセルになるので、違約金が数百万円かかる。それが払えないのであれば、実家に請求が行くし、そうなったら親にもバレるし、迷惑がかかる。直ぐ地元に広まって、大学に広まって、居場所が無くなるよ。君が出れば誰も傷付かないし、丸く収まるんだから』と言われました。結果的に、『私さえ我慢すれば収まる』と思わざるを得ない状況に陥って、『やります』と言いました。一度出てしまうと、脅してくるんですね。出ている事実があちら側にある訳ですから、『今更“嫌だ”と言うのなら親に知らせるぞ。大学に言うぞ』と。後は違約金ですね。その3つで繰り返し脅されて、その時は本当に、恐怖と公開と恥ずかしさと自分を責める気持ちで一杯になっていたので、冷静な判断ができず、『私が黙れば全てが収まる』と思いました。ビデオはずっと残るのに…」。淡々とした口調で話す分、余計にその凄惨さが際立って伝わってきた。

20170214 03
後日、HRNのシンポジウム会場にいた被害者支援団体『PAPS』、並びに人身取引被害者の救済を専門に行うNPO法人『ライトハウス』のメンバーである金尻カズナ氏に話を伺った。「近年、AVの出演強要を巡る被害件数が急増しています」と、金尻氏は語る。実際にどういう被害があるのか。「“アイドルになれる”といった嘘の情報で誘うケースは多いですね。とある事務所の場合、『アイドルになる為に、20歳になるまでチャットモデルをしてファンを増やそう』って女の子を説得して、実際にチャットルームに連れて行くんです」。チャットとはライブチャットのことで、遠隔地にいる視聴者とリアルタイムで映像を見ながらやり取りできるサービスだ。男性視聴者が時間毎に料金を支払うことで、特定の女の子とチャットできるシステムが一般的だ。「女の子は、『チャットを始めたら、脱いだり、性的なパフォーマンスするように』と事務所から指示されます。その後、20歳になって、『コスプレの仕事をするから写真撮影する』と言われ、そこに行くとトップレスの写真を撮られるんです。事務所側は、そのトップレス写真やチャットルームのパフォーマンス映像を宣材として利用し、『この子は脱ぎもOKです』とAVメーカーと裏でやり取りしまして、知らず知らずのうちにAVに出演させられる手筈が整えられていくのです。女の子が面接を断ると、撮影料の10万円を始め、違約金を要求されます」(同)。実際、似たような被害事例は相次いでおり、「コスプレモデルとして募集をかけられたのに、実はAVだった」とか、「“お水や風俗ではなくて新しいアルバイト”といった文面で高収入求人誌に募集がかけられて行ったところ、それがAVだった」というケースがあるという。業界人の多くは、「今のAV業界はクリーンになってきている」と主張する。しかし、それは被害者の支援団体であるHRN・PAPS・ライトハウス等の発表とはそぐわない。一体、どちらの主張が正しいのか。

AV業界で長年働く業界人が、絶対匿名を条件に語ってくれた。「はっきり言って、AV業界は不況です。インターネットの無料動画やら海外配信やらで、インターネット上には無料のエロコンテンツが蔓延していて、ユーザーは中々AVを買ってくれない。女の子をデビューさせてみたけど全然売れないから、作品を撮る毎にNG項目を外して、より激しいプレイをさせる。今のAVは消費スピードが速くて、使い捨て感が半端ない。撮っては捨てて、撮っては捨てての繰り返し。この消費スピードに間に合わせようと、事務所やスカウトはどんどん女の子を誘いかける訳です。でも、女の子からしてみたら、折角決意して顔を曝してAVデビューしたのに、碌に稼げないまま引退している。そりゃ、腹が立つでしょう」。AV出演強要問題は、昨今の“AV不況”が根底にあるようだ。しかし、この業界人はこうも語った。「ただ、昔に比べると、女の子を取り巻く状況は良くなっています。昔は借金のカタにソープに沈めるように、AVをやらされている女がザラでした。単にAVってレイプ被害みたいなもので、昔はそれを周りに言えなかったんです。ですが、今はインターネットを見れば、“被害相談に乗ります”っていう弁護士のサイトとかが出てくるでしょう。それに、SNSも発達している。だから、こうした被害が表に出易くなっているんです」。また、“虐め男優”として業界で知られているAV男優・監督の辻丸耕平氏は、このAV強要問題を“苛め”の問題に例えた。「これは、学校の苛めと同じなんですよね。苛められっ子は、40人学級の中の精々1人なんですよ。残りの39人にとっては楽しい学園生活で、輝かしい青春時代だったんです。でも、1人の苛められっ子からしたら、思い出したくもない地獄の日々でしかない。苛める側も傍観している側も教師も、そのことに気付いていないんです。見たことも聞いたこともない訳ではなくて、見る気が無いし聞く気も無い。直ぐ目の前で起きているのに、それを苛めとは捉えていない。そういう無関心が一番恐ろしいというか、そういうのに関心を持っていると限が無いというか…」。“虐め男優”でありながらも、学生時代は苛められっ子だったという彼は、それが故に「この状況は苛めにそっくりだ」と気付いたのだろう。「教師としては、1人の苛められっ子の為に残りの39人を敵に回すのは嫌だろうし、そうなると、自殺した中学の担任みたいに、『君が我慢すれば全て丸く収まる』となる訳で。それと同じ構図ですよ。やっぱり、人間が集団になると、誰か1人、ストレス発散のような生贄が祭り上げられてしまう。今、業界はどうやって今後の業界を存続させるのか、議論をし始めている。『女優や男優の権利はどうするのか?』とか。でも、この流れにしても、『あれっ、被害者はどこに行っちゃったの?』って僕なんかは思っちゃうんですよ」。肝心の被害者を抜きにして、AV業界の未来が議論されていく。この問題の根は深い――。 (取材・文/フリージャーナリスト 井川楊枝)


キャプチャ  第3号掲載
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

偏差値78のAV男優が考える セックス幸福論 [ 森林原人 ]
価格:648円(税込、送料無料) (2017/2/12時点)


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

エロい副業 [ 鳥胸インターネット ]
価格:849円(税込、送料無料) (2017/2/12時点)


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

AV出演を強要された彼女たち [ 宮本 節子 ]
価格:864円(税込、送料無料) (2017/2/12時点)


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

名前のない女たち貧困AV嬢の独白 [ 中村淳彦 ]
価格:864円(税込、送料無料) (2017/2/12時点)


スポンサーサイト

テーマ : 社会問題
ジャンル : ニュース

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

广告
搜索
RSS链接
链接
QR码
QR