【トランプ主義・外交編】(05) 対イラン、強硬策続く

20170216 04
ホワイトハウスの記者会見室に緊張が走った。一昨日、報道官による記者会見の場に、ドナルド・トランプ政権の安全保障政策の司令塔であるマイケル・フリン大統領補佐官(国家安全保障担当)が予告無しに現れたからだ。フリン補佐官は、イランが先月29日に実施したミサイル発射実験を強く非難した上で、「バラク・オバマ政権にも責任がある」として、「トランプ政権はイランの横暴を容赦しない」と警告。イランの核開発縮小を条件に国際社会が経済制裁解除を取り決めた2015年7月の核合意にも言及し、「トランプ大統領は(合意を)厳しく批判してきた」と、合意に否定的な立場を改めて強調した。ただ、緊急事態発生かと身構えた記者団にとっては肩すかしの内容だった。トランプ大統領は選挙中、この合意を「破棄する」と明言してきたが、フリン補佐官は「その公約を実行する」とまでは言わなかった。先月29日、ホワイトハウスはトランプ大統領とサルマーン・ビン・アブドゥルアズィーズ国王(サウジアラビア)との電話会談後の声明で、核合意を「厳密に実施する重要性で一致した」と表明。公約を撤回し、「オバマ政権の中東外交を継承する」と言っているようにも読める。

トランプ政権の中東政策でカギを握るのは、ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問(36)。トランプ大統領の長女であるイヴァンカ氏の夫だ。戒律の厳しいユダヤ教の保守的な宗派に属し、“親イスラエル”の立場が鮮明。トランプ大統領は、イスラエルが“首都”とするエルサレムにアメリカ大使館を移す方針を掲げ、アラブ諸国等からの強い懸念を呼んでいるが、クシュナー氏の考えが反映されている可能性が高い。そのイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、今月15日にワシントンを訪れ、トランプ大統領と初めての首脳会談に臨む。ネタニヤフ首相は「イランに対する制裁措置について協議する。イランの侵略行為を看過してはならない」と述べており、イラン核合意を破棄して制裁を復活させるよう求める意向だ。クシュナー上級顧問と共に中東政策に関わる『中央情報局(CIA)』のマイク・ポンペオ長官(53)は、就任前の先月12日に開かれた上院公聴会で、「合意が完全に実施されるよう最善を尽くす」と表明しつつ、「イラン人は騙しの達人だ」と述べた。キリスト教福音派に属し、草の根保守勢力『茶会運動(ティーパーティー)』の後押しで下院議員となった筋金入りの保守。合意破棄を主張する最強硬派の1人だったポンペオ氏の発言は、「合意支持に転じたのではなく、『少しの合意違反も見逃さない』という意向の表明だ」との見方が強い。核合意に批判的な『ウォールストリートジャーナル』の社説は、「アメリカが一方的に合意から離脱した場合、イランに核開発再開の口実を与え、国際社会の結束が困難になる」と指摘。当面は合意尊重の意図を表明し、それを“厳しく履行”しながら、制裁復活の方法を探るよう政権に提言している。ポンペオ氏の発言が示唆するのも、そうした現実路線だ。ただ、対イラン強硬・親イスラエルというトランプ政権の基本姿勢は変わらない。その動向次第では、中東地域は一気に緊張状態に陥りかねない。 (アメリカ総局 尾関航也・テヘラン支局 中西賢司)


⦿読売新聞 2017年2月3日付掲載⦿
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