【ヘンな食べ物】(25) 猫を狂わす謎の食品『ちゅ~る』

ここ数年、猫の世界の中で、『いなばペットフード』の『チャオちゅ~る』という食品が大ブームとなっている。ご存知ない? それは遅れてますよ!…と言いたいが、私も猫を飼っていないので、昨秋にやっと知った。場所は料理研究家・枝元なほみさんのお宅。『SWITCHインタビュー』(NHK Eテレ)という対談番組で食文化について話をしている時、枝元さんの愛猫がにゃーにゃー言いながら撮影現場に現れた。何かを訴えているようだ。「あっ、ちょっとすみません」と枝元さんがいそいそと冷蔵庫から細長いチューブ状のおやつを取り出して、猫にあげている。とろっとしたマヨネーズみたいなものだった。猫は夢中でそれを貪っていた。それがちゅ~るだ。「あまりに夢中で心配になっちゃうくらい」と枝元さん。以後、彼方此方で猫飼いの人からちゅ~るの話を聞いた。曰く、「うちの猫は好き嫌いが激しいけど、ちゅ~るだけは別格」「狂ったように食べる」「食いつきが半端ない。何かヤバいものが入っているんじゃないか」等々。動物ライターである妻・片野ゆかによれば、警戒心が強くて人が近付くと歯を剥き出して威嚇する野良猫も、ちゅ~るを差し出すとピタッと大人しくなり、魅入られたように舐め始めると言う。つまり、人間世界に慣れているかどうかに関わらず、猫には絶対的な魔力があるらしい。「マタタビでも入っているのでは」と思ったが、例えば“まぐろ(味)”の原材料を見ると、“まぐろ・まぐろエキス・タンパク加水分解物・糖類(オリゴ糖等)・植物性油脂・増粘剤(加工でん粉)・ミネラル類・増粘多糖類・調味料(アミノ酸等)・ビタミンE・緑茶エキス・紅麹色素”と、特に変わったものは見当たらない。緑茶エキスも極微量で、猫の心身に影響は及ぼさないそうだ。ちゅ~る、謎である。


高野秀行(たかの・ひでゆき) ノンフィクション作家。1966年、東京都生まれ。早稲田大学第1文学部仏文科卒。『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)・『アジア未知動物紀行』(講談社文庫)・『世界のシワに夢を見ろ!』(小学館文庫)等著書多数。


キャプチャ  2017年2月16日号掲載
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