厚生労働省、組織的天下りで“禁じ手”――大胆な手口で大学教授に再就職する薬系技官たち

20170220 05
文部科学省での天下り斡旋事件。内閣府の再就職等監視委員会による調査で先月20日、組織ぐるみの関与が明らかになった。“官民癒着”の温床となる官僚の天下りは、2007年の国家公務員法改正で規制が強化された経緯がある。だが、文科省以外の役所でも大学への天下りは行われている。それも恒常的・組織的に、だ。更には、ある“禁じ手”までも駆使している。より悪質と言っていいだろう。問題の官庁は厚生労働省。“薬系技官”と呼ばれる準キャリアたちの処世術に焦点を当ててみる。薬系技官は、新薬の承認や保険適用拡大を決める薬事行政で絶大な権力を握っている。薬剤師免許は必須ではないが、大半は保持者だ。だが、大学薬学部卒業後、直ぐに省庁入りする例が多い為、新薬開発や調剤の現場経験はほぼ無い。「薬系技官の上がりポストは審議官。局長までの出世は望めません。ただ、最近では審議官級だけでなく、中堅も含め、役所の威光を笠に着た振る舞いが以前にも増して目に付きます」(厚労省OB)。2007年の規制強化以降、厚労省でも天下り先は枯渇している。この点は薬系技官も例外ではない。「とはいえ、旧来型の天下りも根絶された訳ではありません。性懲りもなく、財団法人等に再就職する連中は一定数います」(同)。

一方で、“新規開拓”にも余念がない。「学界への天下りが近年のトレンドです。大学教授ポストを付け狙う薬系技官が後を絶たない。しかも、就職への箔付けに“学位”が利用されています。国立大や有名私大ともなれば、年収1000万円以上が保証される。今時珍しい“ナマの利権”です」(同)。そのカラクリは、以下のようなものだ。役所の業務で薬系技官が接している大学関係者から声が掛かる。「貴方もそろそろどうですか?」。つまり、「学位を取得しませんか?」との誘いだ。声を掛けてきた大学が面倒を見てくれる。学位取得には学術論文が不可欠。だが、その執筆にも官僚ならではの“役得”が付いてくる。「お上が集めたデータをこっそり使うとか、職務上知り得た情報を盛り込む等は日常茶飯事。中には、仕事の振りをして製薬企業に『データをよこせ』と命じる者までいる。十数年前までは、こんなことはなかった。元薬系技官の藤井基之議員が、“総説”紛いの論文で2004年に博士号を取った。この頃から、官学は露骨な癒着を隠さなくなった」(国立大学教員)。論文には査読者がいる。そこで正当にジャッジされると見る向きもあるだろう。だが、薬系技官にはそんな定法など通じはしない。「彼らが書いた論文は、フリーパスに近い形で学術誌に掲載されます。一応、査読者に撒かれはする。だが、真面なチェックは殆ど付かない。何故か。怖いからです。ケチを付けた事実が後々どう祟ってくるかわからないからです」(同)。こうして、「厚労省や海外先進国は今、こんな政策に取り組んでいます。以上」といった程度の“学術論文”が流通していく。「掲載された以上は、堂々と“業績”に明記できます。薬系技官を受け入れる大学側でも、『論文を何報も書いて素晴らしい』となる。長く研究だけに邁進してきた薬学部教授や医学部出身の教授に見破られることはありません」(同)。薬系技官と学界を結び付ける上で、重要な役割を果たしてきた組織がある。それが『レギュラトリーサイエンス学会』だ。「産学官の専門家が対等の立場で一堂に会して、医薬品、医療機器等のレギュラトリーサイエンスに関する学術の進歩と普及をはかる」(同学会公式サイトより)ことを目的として、2010年に設立された“学術団体”だ。「設立に当たって中心的な役割を果たしたのが、国立医薬品食品衛生研究所企画調整主幹(当時)の中垣俊郎氏です。発足時に人数を製薬企業に割り当て、入会を要請したのは知る人ぞ知る話です」(前出の厚労省OB)。

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中垣氏は、“面倒見”と“腕力”で知られた古いタイプの役人。現在は京都府立医科大学教授だ。『ディオバン事件』で批判を浴びた大学の“用心棒”として、持ち前の強面が期待された。設立の功労者が霞が関を離れた後も、この学会は産官学の“人材交流”の結節点として隠微に機能し続けている。大学への天下りが横行する背景には、薬系技官が持つ権力構造の特殊さがある。「緩そうだが、壊すのは難しい生態系」(同)だ。「彼らは、人事異動で偶々配属された職位で、大きな権限を持たされる。ただ、そこから外れれば、誰からも見向きもされません。権力はあるにせよ、一方では建前上、大学教授や国会議員を“センセイ”と呼んで立てなければならない。鬱屈した感情を何十年も溜め込んでいる」(同)。“博士”や“教授”といった肩書を渇望したくなるのも道理――ということか。更に最近では、官学の癒着を深める環境が整ってきた。「臨床研究や治験への規制が、グローバル化やメディア報道の影響で急速にインフレ化(厳格化)・複雑化しています。当局自身もそこに加担することで、一層ややこしくなっている」(前出の国立大学教員)。大学側としては、現状への対応の為、“(建前としての)規制を熟知した人材”が必要となる。役所へのコネとしての天下りへの需要が高まる構図が見て取れる。「ただ、大学側の目論見と元技官の質が噛み合っているとは言えない。黒川達夫氏が千葉大学や慶應義塾大学と渡り歩いたり、松田勉氏が山形大学を瞬く間に去って製薬企業に移ったりしたのは、何よりの証左と言えます」(同)。薬系技官が巣を張るのは厚労省ばかりではない。所管する独立行政法人『医薬品医療機器総合機構(PMDA)』は、本省ポストから溢れた技官の溜まり場。PMDAが学界と進める“連携大学院”は、癒着の別名だ。広島大学・慶應義塾大学・筑波大学・東北大学との間では、“包括的連携協定”へと“進化”している。更には、“官学協同”を謳った“現役出向”に、大学人の権力志向を満たす“天上がり”までも…。“付ける薬”は無さそうだ。


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