【科学捜査フロントライン】(12) 「科捜研は現場には行きません!」…当事者が指摘する人気ドラマ『科捜研の女』のウソホント

20年に迫る勢いの長寿人気ドラマ『科捜研の女』(テレビ朝日系)。警察ものでは出色のドラマだが、それでも当の関係者から見れば“あり得ない”ポイントが多々あるという。 (取材・文/フリーライター 鈴木光司)

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テレビドラマ全体が視聴率低迷に悩む中、所謂“刑事もの”・“警察もの”は、中高年を中心に根強い人気を誇るキラーコンテンツとなっている。そんな中でも一風変わった警察ものとして人気が高いのが、『科捜研の女』だ。沢口靖子演じる京都府警科学捜査研究所の法医研究員・榊マリコと、内藤剛志演じる京都府警捜査1課の警部補・土門薫が、文字通り難事件を“科学の力”で解決していく…。一般の視聴者にはわかり難い専門的な捜査手法を随所に鏤めて、興味を惹く作りとなっているのが特徴だ。1999年10月21日の記念すべき第1回放映のタイトルは、『声紋は語る! 京都大文字の夜 謎の女が…』。今から17年前とあって、当時の視聴者も“声紋”というキーワードが未だ目新しく感じたのではないか。これが2016年の正月スペシャルになると(些か長いタイトルの核心部分を抜粋)、『~防犯カメラに写らない女vs最新3D鑑定!~』となっている。“防犯カメラ”に“3D鑑定”と、まさに今日的な科学捜査のトピックを取り入れていて、流石とも思うが、それでも専門家から見ると、ツッコミどころはそれなりにあるというのだ。科学捜査に詳しい関係者・A氏が言う。「先ず、主人公を演じる沢口さんがいる科捜研に4~5人しかいないように見えるところですね。京都府警さんの規模で、科捜研があの人数というのはあり得ない。地方の小さいところなら別ですがね」。主人公を除立たせる為の演出の範囲内ということなのだろうか。A氏が続ける。「それと、これは基本ですが、火災とか轢き逃げの場合は兎も角、科捜研の研究員が事件現場に行くことなんてありません。証拠品を鑑定するのが仕事ですからね。それと、沢口さんが内藤さんと一緒に事件解決の為に捜査をするということもあり得ない。捜査員ではなく、研究員なのですから。抑々、捜査権もありません。ドラマのようなことをやったら、それは明らかに越権行為であり、問題になるでしょうね。それに、科捜研の人は17時15分になったら、きちんと家に帰りますよ(笑)」。

これまた演出の範囲内かもしれないが、面白いのが科捜研における人物模様だ。「沢口さんが、時に仲間に反感を買ってまで捜査を進める場面がありますが、これもちょっと考えられませんね。というのも、科捜研というのは警察の部署の中でも特殊で、他の部署のように、毎年4月になると新しい仲間が入ってくるという訳ではない。人員を補充するとすれば、それは(退官等で)誰かが辞めた時か、或いは亡くなった時です。基本的に、一緒に仕事する人は配置された時から変わらない。そんな中で、衝突してまで自我を通していたら、とてもじゃないがやっていけないでしょう」(A氏)。実際、A氏によると、特に若い研究員はこの人間関係に悩むことが多いという。幸いにして、尊敬できて気の合う上司に恵まれればよいが、相性の悪い上司の下に配属されたら、ずっとそのままの状態が続く。このことでノイローゼに陥ってしまったり、酷い場合は警察を辞めることもあるというから、事態は中々深刻だ。尤も、4~5人でこぢんまりというのは、京都府警(や大阪府警)等の大きな警察本部以外ではあり得るようだ。別の関係者・B氏が証言する。「どこの県とは言いませんが、地方の環境は良いとは言えません。抑々、殺人事件など殆ど起こらないある県では、いざ事件が起こって鑑定を必要とされた時、予算不足で試薬が切れていたという笑えない話がありました。この時はメーカーと交渉して何とか手に入れることができましたが、そういう地方格差があるのは事実。予算が多い警視庁等ではあり得ないことです」。人口比や都市部の有無で犯罪発生率が変わってくるので仕方ないだろうが、警察関係者の間では「事件の多い警視庁の3ヵ月分の経験が地方での1年分の経験になる」とも言われている。また、科警研の職員が地方に出向することも珍しくはないという。それでも、『科捜研の女』に見るべき点が多々あることも間違いない。「監修は、この世界では著名な専門家がやっているので、鑑定の方法等に関してはやはりしっかりしています。警察・科捜研の活動内客が視聴者に認識されるのは、それはそれでいいことじゃないでしょうか」(B氏)。警察・刑事ドラマは未だ他にもある。同じくテレビ朝日系列で人気を博している『相棒』シリーズだ。警視庁内の架空の部署“特命係”を舞台に、水谷豊演じるキャリアだが変わり者、そして切れ者の杉下右京警部と相棒刑事が、難事件を快刀乱麻の如く斬っていく。右京さんが傑出しているだけに、時に科学捜査の範疇まで説明してしまうのはご愛敬だが、ここで注目したいのは、六角精児演じる鑑識課の米沢守巡査部長である。在京テレビ局の警視庁担当記者が言う。「大体、事件が起きたら所轄に捜査本部ができて、そこに鑑識さんが行く。余程の事件じゃない限り、本庁に捜査本部を立てて…というのもあり得ません。あと、勘違いされている人もいるようですが、本庁の人全員が偉い訳じゃありません。時期が来たら、また所轄に帰る警察官も沢山いるのですから。本庁にいて良いことは、帰宅時間が早いこと。嫌なことは、偉い人の訓示を聞かなくちゃならないことですかね」。

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更に、この警視庁担当記者は指摘する。「これは他のドラマでもそうですが、現場、特に所轄の鑑識がブツを鑑定するということはない。本庁の米沢巡査部長にしても、精々指紋の照合までで、後は科警研の仕事です。地方の県警で言えば、県警本部の中に鑑識課があって、そこの鑑識員が採取してきたものを鑑定する。況してや、『ちょっと調べてみたんですけど~』なんて独自に鑑定することはないですよ」。実際の現場と比べてみると、どうしても演出過多、熱いは辻褄が合わないこともあるのだが、これはある程度は仕方がないようだ。「テレビドラマというのは尺(放映時間)が決まっているでしょ? だから、決められた時間の中で、必ず事件を解決しなければならない。そうなると、どうしても実際の現場のような、多くの人間や様々な出来事を省かなければならない。鑑定1つ取っても、捜査現場では『あの書類押して、あの人に目を通してもらって…』と煩雑な手続きがある訳ですから。そんなところは視聴者も見たくないでしょ(笑)。そうなると、どうしても無理な設定が必要になる。沢口さんのようなあり得ないスーパー研究員も出てくるのです」(A氏)。ドラマが“作りもの”である以上、罪の無い演出には目くじらを立てることもないだろう。況してや、関係者が言うように、税金が投入されている科学捜査の一端を垣間見ることができるなら、それはそれで良しとするべきか。


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