【Test drive impression】(09) 『マツダ CX-5 XD Lパッケージ 4WD』――北海道は旭川のマツダ剣淵テストコースで雪道インプレ!

人間、確かに“中身”を評価されると嬉しいモンです。「小沢さん、そのチャラい見た目じゃなくって、原稿が好きです」とか言われたり、その昔は超カワイイ女の子に「そんなにアタシを連れ回したい?」と、“もっと中身を見てくれ”アピールされたこともありましたっけ。確かに、人でもモノでも“本当に頑張ったところを見てほしい願望”ってあるんですよね~。が、やっぱりそれは理想論! 大衆は、よりわかり易い見た目の変化やインパクトに飛びつくもんです。ところがどっこい、その常識に反するピュア過ぎる超理想主義なフルモデルチェンジを久々に見た気がしました。それが、2代目へとバトンタッチした新型マツダCX-5! 2012年デビューのマツダ起死回生のミディアムSUVは、日本を始め、北米でも大ブレイク。グローバルの年間販売台数は37万台と、コンパクトハッチの売れ筋である『アクセラ』に並び、現在のマツダの筆頭人気モデル。利益は、マツダ全体の4割を叩き出す新稼ぎ頭なのです。しかも、新世代クリーンディーゼルから魂動デザイン・ボディー構造・独自のスカイアクティブテクノロジーを注ぎ込んだファーストモデルだったこともあり、今回の5年ぶりのフルモデルチェンジで「どんだけ次のビジョンを見せてくれるんだ!」って思っていたところ…拍子抜け(笑)。お馴染み、逆5角形グリルやマッチョなSUVフォルムはざっくり現行譲り。正直、「アレレ? コレ、どこが変わったの?」的な地味過ぎるフルチェンで…。

しかし、近くで見るとよくわかりますけど、全域でマジなクオリティーアップがなされています。グリル下の唇は、より立体的且つエロくメッキ化されているし、目元も全車LED化で嫌らしく薄型化されているし、レンズカットは巧妙になり、CX-5に合わせて開発された新色ボディーカラーのソウルレッドクリスタルメタリックがまた濃厚! 塗膜の深みと輝きが全然違っていて、謂わば100g300円の牛肉が600円になるほど質の進化が全域でなされている訳。まさに、これ見よがしではない本当にお客さんが喜ぶ味の進化です。プロポーションは全長×全幅×全高が4545×1840×1690㎜で、長さと幅が若干拡大しているだけ。けど、フロントピラーを態々35㎜後ろにズラして、やや下向き化したグリルと合わせ、ノーズ全体をワイルドな鷲鼻ちっくなフォルムにしています。で、インテリアの質感の向上は外観以上で、デザインが全て一新されているだけでなく、全体を取り囲むソフトパッドが、シボの付き方を含めて明らかに上質化。メタリック調のドアハンドルやエアコン吹き出し口等も、より金属の削り出しっぽい造形になっていて、安っぽく見えがちなピアノブラックパネルもツヤ感が向上。誤解を恐れずに言えば、オーバー500万円クラスのドイツ系SUVに迫ったと言っても過言じゃないレベル。やればできるじゃない、日本車も! 走りも、足回りやフロアは旧型のブラッシュアップレベルってことになっていますけど、実は北米に向けた大型ボディーの『CX-9』を造ったときに強化。一般道は勿論、雪道でも走り出した瞬間から全体の剛性感・静粛性が段違い。旧型と同等のダイレクト感を保ちつつも、より分厚いマットレスに乗ったような印象です。徹底的にボディーをシーリングし、穴を塞いで音の進入を防いでいるだけではなく、足回りの取り付け方法まで変えて、セッティングを一からやり直し。

更に、国内市場で7~8割を占めるっていうメインの2.2リッターディーゼルターボの味の進化が凄い。排ガスを入れて燃費を改善するEGR制御を一新し、嘗てどっかんターボ系だった出力特性が、より下からスムーズに回る特性へ進化。その結果、初代は古典的ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの中間ぐらいの吹けだったのが、よりガソリンエンジンに近いスムーズさを獲得しています。アイドリング時に気になるディーゼル特有のガラガラ音も、マツダ独自のナチュラルサウンドスムーザー投入で静粛性アップ。ぶっちゃけ、「えっ? この車はガソリンエンジンだよ?」とすっとぼけても、信じる人間はいる筈。唯一、物足りないのは、ATとエンジンスペック。「今時、9速AT当たり前のギアボックスが相変わらず6速ATなのは、些かどうかな」と。それから、エンジンパワーも最大トルクも変わっていないのも微妙です。ただ、細かい部分もしっかり進化。前後シートの構造から先進安全装備の『アイアクティブセンス』まで、隙の無い変身ぶりではあります。要するに、これこそがまさに、2012年にスタートした“マツダスカイアクティブ革命”の本丸なのです。本当の意味での自動車の進化は、これ見よがしなインパクト目的の改善ではなく、乗る人にとっていいところを伸ばす行為なのです。新型CX-5のチーフデザイナー・諫山慎一氏も、「進化ではなく深化」と語っています。つまり、マツダ理想主義に基づく正統派の熱成って訳です。正直、一般の人間がわかり易いフルモデルチェンジのインパクトは全然ありません。でも、この新型CX-5が売れないと、今のマツダの快進撃は続きません。この超理想主義作戦、成功してほしいもんです。


小沢コージ(おざわ・こーじ) 自動車評論家・『日本カーオブザイヤー』選考委員。1966年、神奈川県生まれ。青山学院大学卒業後、『本田技研工業』に入社。1990年に『二玄社』に転職し、自動車雑誌『NAVI』の編集を担当。1993年からフリーに。『週刊自動車批評』(TBSラジオ)にレギュラー出演中。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)・『マクラーレンホンダが世界を制する!』(宝島社新書)等。


キャプチャ  2017年2月27日号掲載




スポンサーサイト

テーマ : 新車・ニューモデル
ジャンル : 車・バイク

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

广告
搜索
RSS链接
链接
QR码
QR