今期も手堅いのはテレ東だけ! 身も心も凍える2017年冬ドラマをメッタ斬り!

何と言っても元『SMAP』同士の因縁の対決だ。キムタクドラマは今期の視聴率トップだが、内容は惨憺たるもの。一方の草彅も、ストーリーはショボいが、注目すべきはその表情。憎しみを湛えた瞳は、リアルな分裂劇を想起させる吸引力。2017年も“テレビの天敵”今井舞の毒舌が炸裂するぞ!

20170221 01
逃げ恥にドクターXに真田丸と、ドラマシーンが熱かった昨年末。余勢を駆って今シーズンも盛り上がるのかと思いきや、稀に見るレべルの不作の冬に。ひもじさに凍えながら、ラインナップを見ていこう。先ずは月9。『突然ですが、明日結婚します』(フジテレビ系・月曜21時)。結婚願望の強いヒロインと、結婚したくないクールな毒舌男とのラブコメディー。元々、別の俳優で全く違う話をやる筈が、降板。その後、キャストも脚本も白紙のまま迷走し、放映ギリギリに滑り込みで配役と中身が決まったという裏事情が筒抜けで放送が始まった本作品。あらゆるところに“突貫工事”が見て取れるエマージェンシードラマである。先ず、話の筋が。出てきて数秒で、「私には夢があります。それは結婚すること」「結婚? 絶対やだ。無理」と心の内を直接声に出す登場人物たち。昔のトレンディードラマに出てくるような友人のお洒落マンションが溜まり場で、ここで偶然会っては話が前に進んでいくご都合主義。ちょっと話しただけで直ぐくっついたり離れたりの沸点の低さ。画面に映っているのが、どれもこれも見たことのない拙い一見さんばかりなのも辛い。ヒロイン・西内まりやの相手役である山村隆太は、人気バンド『flumpool』のボーカルで、これがドラマ初出演。うーむ。演技といい所作といい華の含有量といい、どう見ても二番手三番手にしか見えないが。それが主役級のドラマ。今回の突貫工事の象徴的存在と言えよう。フジの弱り目につけ込んで履いた下駄ではあるが、そのヤマっ気は本人というより、主に事務所から漂っている。福山雅治や星野源の成功に気を良くし、“ミュージシャン→俳優”枠を独自ルートとして確保せんとする『アミューズ』の野望。それが結願するのが先か、誰も出たがらない月9枠が消えるのが先か。消耗戦はこれからが正念場だ。

戦国時代、お家断絶の危機に立ち上がり、女ながら城主となった井伊直虎の生涯を描く『おんな城主 直虎』(NHK総合テレビ・日曜20時)。何となく不安だったのだが、それがそのまんま現実になった印象。未だ子供時代のエピソードが続き、主演の柴咲コウの出番は未だなのだが。“おてんばで利発で男顔負けの度胸の持ち主”というキャラクターを刷り込みたいのはわかるが、兎に角、子供中心に話が進み、大人がそれに振り回される筋運びには鼻白む。『あんみつ姫』とか『一休さん』ならいいんだが、これ大河だからなぁ…。常に子役中心の画ヅラで、その人数もどんどん増えていき、拙い演技が大渋滞で、まるで『劇団ひまわり』のオーディション会場のよう。これから幼馴染みの2人の男性の間で心揺れたりするらしいし。徹底的にオンナコドモ目線の予感。これって朝ドラでやるべき路線だと思うのだが、何故大河に持ち込む? 武将たちによる複雑に野太く渦巻く人間ドラマ、それが大河の醍醐味なのに。『真田丸』で戻って来ていた太客を、みすみす逃す作りが残念無念。カムバーック、おっさん劇ーっ! 秘密を抱えた男女4人が織りなす、ちょっとビターな味付けのラブサスペンス『カルテット』(TBSテレビ系・火曜22時)。松たか子・満島ひかり・松田龍平・高橋一生と、腕に覚えありの面子を揃え、「唐揚げにレモンをかける、かけない」「壁に画鋲を躊躇なく刺せる、刺せない」といったデリカシーの部分を快る作家性の高い会話劇で、話が紡がれていく訳だが…。全体的に理屈っぽいセリフの応酬が続く様は、テレビというより舞台劇やラジオドラマ向きな印象。何かこう、言葉弄り過ぎでスッとセリフが入ってこないというか。満島ひかりの悪いとこ出ちゃっているというか。演技は巧いんだけど、見ていて息が詰まるというか。感想を尋ねられたら、多くの人が「好きな人は好きだと思う」と答えるだろう。「だけど、私はちょっと…」とも。恋に仕事に悩める3人の崖っぷちアラサー女の日々を描く『東京タラレバ娘』(日本テレビ系・水曜22時)。人気漫画原作なので、痛いところを突かれると主人公たちにCGの矢が刺さったり、デカい鉄球に吹っ飛ばされたりといった漫画的表現が随所に。『アリー my Love』で見たことある。あれ、20年前の作品だけど。うーん。“漫画をドラマ化する”というのは、“漫画のページをそのまま映像化する”ということではない。ドラマにはドラマに即した表現法があり、パロディーやCGの取り入れ方の成功例は逃げ恥が提示してくれていた筈なのに。CGキャラクターのかわいい“タラ”と“レバー”に下手を責められ、「うわーん」と机に突っ伏すという描写で描かれる恋の悩み。前にフッた男がカッコ良く成長していて、気付いた時には若い女に取られていた。売れないバンドマンだった昔の彼がスターになっていた。うわーん。…いやいやいや。もっと女が感情移入できる細かい痛恋ディテールあるだろうに。女性視聴者は、そこに共感しようと待っていたのに。収穫ゼロの合コン帰り、「今日の為にバリッバリに固めてきたのにィッ!」とオールバックにセットした髪を掻きむしって去ったという、先日報道された西川史子の姿のほうがよっぽど痛恋あるある。

20170221 02
リアリティーの欠如と言えば、『就活家族~きっと、うまくいく~』(テレビ朝日系・木曜21時)もまた。大手企業の人事部長でリストラ担当の主人公・三浦友和、問題ありの生徒や親に気を揉む私立中学教師の妻・黒木瞳、勤め先のセクハラ&パワハラに悩むOLの長女・前田敦子、就活に苦労する三流大学生の長男・工藤阿須加。案の定な設定で、家族全員、案の定な方向に破綻していくという砂を食むようなストーリー。三浦を退社に追い込む罠のセクハラ、黒木がハマるホストクラブ、前田のイージーな枕営業、ブラック就活セミナーに傾倒する工藤等々、描かれるエピソードの古さ・薄さ・現実味の無さたるや。まるで年寄りの想像上の話みたい。いや、「変にリアルを盛り込むより、顧客である年寄りが噛み砕き易い話に」という、テレ朝独特のモットーに基づいた作りってことなのか。今回、ドラマ開始と時を同じくして、三浦百恵が世に顔を出したというのが印象的。習っているキルトの展示会で近影掲示というプライべートの話であるが。顔写真なんて、滅多に公の場で披露することないのに。ドラマの出来を危惧しての話題作りの内助の功と考えるのは、ちと穿ち過ぎか。折角の主演、男の哀愁を魅せる三浦友和を見てみたかったのだが。幻に終わり、今、伝説の菩薩だけが開帳した。『銭の戦争』に続く草彅剛主演の復讐シリーズ第2弾『嘘の戦争』(フジテレビ系・火曜21時)。幼い頃、家族を目の前で皆殺しにされた詐欺師が、犯人の巨悪を追い詰め報復していく。…と、この設定を聞くと勿論、もう犯人は特定済みで、周到に罠を用意し陥れる濃密な復讐譚なのかと思いきや。「あの腕の痣、若しかしてあいつ…」と、犯人の1人にバッタリ出くわしたことで話が動き出すんである。偶然かい!

詐欺師としての仕事っぷりも、「掃除のパートに扮した仲間の水原希子が、大企業の内情を探り出す」といった手垢の付いたアナクロな手法ばかりで、謳っている“天才”の鮮やかさは見て取れず。「ニューヨークに設置したダミー会社の電話を取らないと嘘がバレる」という場面では、電話に出る為だけに水原がニューヨークへ飛び、電話が鳴り止む寸前に受話器を取って「へロウ?」でギリギリセーフ。その足で直ぐ帰国だと。効率悪っ! この作品で見るべきなのは、草彅のショボい仕事内容よりも、その表情かもしれない。家族を殺した犯人たちを追い詰める度に、憎しみと怒りを湛えた静かな瞳で相手を凝視する草彅。「あぁ、きっと“あの時”もこんな顔していたんだろうな…」と見る者全てを“別件”に誘う中々の吸引力。今クール一杯続く木村拓哉との視聴率争い。“ジャニの戦争”は、未だ始まったばかりだ。で、その木村拓哉主演、初めての医師役に挑戦の『A LIFE~愛しき人~』(TBSテレビ系・日曜21時)。優れた手術の腕と、患者を救うことを絶対諦めない強い信念を持つドクターキムタク。かっちょい~。話の筋も脇の演技も何もかも、兎に角、このかっちょいいキムタクを映す為のお膳立てとしてしか機能しない。心臓外科医なのに、専門外の脳腫瘍の手術まで任されちゃうキムタク。あり得ないけど、そのほうがかっちょいいから。他の医者のミスを唯一人見抜くキムタク。「先天性の奇形があったんです」って、普通は手術前の検査でわかるけど、キムタクが見つけたほうがかっちょいいから。浅野忠信も松山ケンイチも及川光博も竹内結子も、宛がわれたステレオタイプでペラペラな役を無の境地で演じ切る。全てはかっちょいいキムタクの為に。キムータク、ファースト! キムータク、ファースト!――ドナルド・トランプ大統領の演説か。しかし、ここまで安直な筋の話で満足そうに主役を張るキムタクというのは、俳優としても人間としても、ジャニーズの幹部候補としても、この先大丈夫なんだろか? 「思えば、あれが最後の大神興だったな」と、この先しみじみ振り返る日が来るような気がしてならない。そんな思惑含みでラストワッショイ。担いどけ担いどけ、取り敢えず。今期はもう、『バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~』(テレビ東京系・金曜24時12分)だけ見られればそれでいい。芸能事務所とテレビ局と広告代理店の都合だけで作られる従来のドラマとは一線を画す面白さ。「アイデア・脚本・役者が揃うと、ドラマってこんなに魅力的になるんだ」としみじみ。じゃあ、キー局で今やっているあれは一体何なのか。…虚無への供物。


キャプチャ  2017年2月9日号掲載
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