【トランプ主義・外交編】(06) “2国間”重視、揺れるEU

20170221 12
「アメリカでの変化によって、ヨーロッパ連合(EU)は厳しい立場に立たされている」――。『欧州理事会』のドナルド・トゥスク常任議長(EU大統領)は、今月3日のEU非公式首脳会議を前に、イギリスを除く27ヵ国に宛てた書簡で、ドナルド・トランプ政権の方向性に強い懸念を示した。トランプ大統領は先月27日、ホワイトハウスでの初めての首脳会談の相手に、EUからの離脱(※ブレグジット)を決めているイギリスのテリーザ・メイ首相を選んだ。共同記者会見では、イギリスにとってブレグジットが「素晴らしいものになるだろう」とエールを送った。EUは、第2次世界大戦の反省から生まれた国際協調の枠組みの象徴と言える。米英首脳会談では、国際協調より2国間関係の強化を目指すトランプ大統領が、EUを軽視する姿勢が改めて浮き彫りとなった。こうしたトランプ大統領の考えに大きな影響を与えているとみられるのが、スティーブン・バノン大統領上級顧問兼首席戦略官だ。バノン氏は、反グローバリズムによってアメリカを強くする持論を持っている。具体的には、多国間自由貿易協定からの離脱や移民受け入れ停止、そしてブレグジットだ。一方、トランプ政権で外交・安全保障を担う高官たちは、バノン氏とは正反対に、ヨーロッパや世界への関与を続ける意思を強調している。国防総省のジェームズ・マティス長官は執務開始の初日、『北大西洋条約機構(NATO)』のイェンス・ストルテンベルグ事務総長と電話会談し、NATOを重視する立場を行動で示した。

マイケル・フリン国家安全保障担当大統領補佐官も、「強固な同盟はアメリカ自身の強さをより強化する」と述べた。NATOについて「時代遅れだ」等と批判していたトランプ大統領も、英独仏首脳との会談や電話会議でNATOの重要性を確認。トランプ大統領は現時点では、マティス氏らの助言にも耳を傾けているとみられる。しかし、ヨーロッパ諸国の懸念は続く。新たな米欧関係を占う最初の試金石が、対露制裁の解除問題だ。NATOを重視する姿勢を示しているものの、フリン補佐官は対露協力の推進派とみられている。これに対し、ブレグジット後、比重を高めるドイツのアンゲラ・メルケル首相は、対露制裁堅持の立場。しかし、イタリアやハンガリー等は制裁解除に前向きの立場と、EUは分裂の芽を抱えている。これまで制裁強硬派だったイギリスがトランプ政権に急接近していることもあり、仮にトランプ大統領がイギリスを説得して“制裁解除”に動いた場合、EUが結束を保つか心許無い。トランプ大統領は、ドイツのメルケル首相が進めてきた寛容な難民政策が「壊滅的な過ちだった」と批判しており、メルケル首相の多国間協調を重視する外交姿勢とも相容れない。ドイツの国防費は、国内総生産(GDP)に占める割合が1.19%(2016年推計)に留まることから、トランプ大統領はこの点を突き、揺さぶりをかける可能性もある。ブリュッセルの調査研究機関のブルーノ・レテ氏は、「ヨーロッパ側の結東と覚悟が重要だ」として、こう語る。「アメリカがヨーロッパに留まることでどんな利益を得られるか、(ヨーロッパ側が)行動で示すことが強く求められる」 (ブリュッセル支局 横堀裕也) =おわり


⦿読売新聞 2017年2月4日付掲載⦿
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