崩壊する大学教育の衝撃――入試丸投げ・ランキング凋落、影響力を盾に大学に食い込む

20170221 18
「大学から要望があれば、裏メニューとして、入試問題の作成も請け負っている」──。やはり本当なのだ。大学による業務の外部委託について取材を進めていた本誌記者は、受験産業のある有力企業の幹部から返ってきた言葉に確証を得た。入試の公平性や機密性を揺るがしかねない取引が、実際に行われている。企業と同様に、大学も経営効率化を迫られており、入試の監督業務やインターネット出願システムの提供といった間接業務のアウトソーシングは、一般的になっている。だが、大学の“本業”である筈の教育までも委託する例が広がっているのだ。大学1年生の基礎学力を高める為に、受験産業が大学に講師を派遣して、補習的な授業を提供する。外国語教育の委託事例も多い。例えば『ベネッセコーポレーション』は、近畿大学が昨年新設した国際学部について、「プログラム内容や留学先の選定等を一緒に考えて立ち上げた」と話す。ベネッセは、傘下に有力な英会話スクール『ベルリッツ』を展開しており、多くの大学から業務委託を受けている。外部委託する“教育”の対象は、学生向けだけではない。『河合塾グループ』の『KEIアドバンス』の担当者は、「教職員向けのメニューも豊富にある」と話す。アクティブラーニング等、新しい教授法を教員に教えたり、学生に日本語の力を付けさせるには、どんな講座をつくればいいかを指導する例もある。関係者によると、大学の業務委託は、規制緩和の流れの中で、1990年代以降増えた。ただ、10年ほど前にも、過剰なアウトソーシングが問題視されることがあった。この為、文部科学省は2007年に大学設置基準を改正。“大学が授業科目を自ら開設する”等と明確にして、所謂“丸投げ”を禁じた。最近の多様な業務の受託について、ベネッセの担当者に聞くと、「あくまで大学が判断し、その指示の下に提供しているもの。大学による丸投げではない」と反論する。

とはいえ、入試や学部の新設は、大学がどんな人材を取り、どう育てたいかを性格付ける大学のコア業務とも言える内容である。文科省の幹部も、入試問題の作成を外部委託する大学が存在することを認める。大学の空洞化が進んでいる象徴と受け止められても仕方がない。大学による業務のアウトソーシングが、大きなビジネスチャンスになるのは確かであり、様々な業界の企業や団体が受託に乗り出している。ただ、受験産業が手掛ける場合、事はそう単純ではない。そうした企業は、受験生や高校に対して模擬試験等を通じて大きな影響力があり、その力をバックにして、大学に対しても強い発言力を持っているからだ。寒さが厳しさを増す先月19日、東京都内のあるイベント会場は、外の寒さを吹き飛ばすほどの熱気で包まれていた。会場に多数集まったのは、進学指導を担当する高校の教師らだ。河合塾が主催する『大学入試センター試験分析報告会』に出席するのが目的だ。終わったばかりのセンター試験の全体の結果や、そこから分析される大学毎の難易度予想等が報告される度に、教師は熱心にペンを走らせていた。河合塾等の受験産業の有力企業は、高校生の成績データや志望大学・学部まで、詳細且つ膨大なデータを持っている。報告会は全国各地で実施されており、どの会場も多くの高校教師を集める。受験産業の高校に対する影響力の大きさを象徴するものだ。「受験生のデータを持ったある大手企業は、しょっちゅう訪ねてきて、『広告を出稿しませんか?』と言ってくる」。都内にある中堅私立大学の入試担当者は、こうボヤく。決まって言われるのが、「模試の結果を見ると、そちらの大学のライバル校に受験生が流れていきそうです。何とかしないと拙いですよ」という殺し文句だという。大学にとってみれば、本当に受験生が減ると、受験料収入が減るだけでなく、定員割れによって4年間の授業料収入が減少する恐怖がある。受験産業が大学よりも強い立場にあるのは、高校、そして高校生という“巨大市場”を全国規模で握っているからだ。この力が発揮されるのは、広告だけではないようだ。「河合塾やベネッセ等の大手が、大学の様々な業務にどんどん食い込んできている」。別の大学職員は、このように指摘する。取材を通じて、複数の大学関係者らが漏らしたのは、「受験関連の企業が、各大学の生命線である“偏差値”を操作しているのではないか?」という“噂”だ。ある大学職員は、「『偏差値をちょっと上にしておきますか?』と電話がかかってきた時代もあった」と証言する。ベネッセや河合塾系のKEIアドバンス共に、「高校への強い影響力を武器にして、大学に営業をかけることはない」と否定。偏差値操作についても、「絶対にない。企業の存続に関わる」等と、両社は語気を強めて反論する。それでも、大学関係者や受験業界の間で、こうした噂が根強く囁かれる。そのこと自体が、「偏差値の序列に支配され、外部企業に依存しなければ受験生を集められる魅力を生み出せない」という“大学の劣化”が、極限まで進んでいることを示しているのだろう。

20170221 19
業務の外部委託が進む背景には、大学経営の厳しさがある。ブランドがあり、学生の確保ができる大学であっても、「予算は不足している」(立教大学の吉岡知哉総長)。国の財政難に加えて、若者人口の減少が予測されてきたのにも拘わらず、1990年代以降、大学が続々と新設された。「私立大学への国からの補助金はどんどん減り、今は大学収入の内、10%を切る程度しかない」(法政大学の田中優子総長)。結果として、愈々学生の募集を停止し、閉校するケースが増えてきた。その1つである東京女学館大学は、2013年に学生の募集停止を決めた。定員割れが長く続いており、経営的に厳しいと判断したとみられる。既に東京都町田市にある大学キャンパスは、人気も無く閑散としている。大学を何とか存続させることができても、資金不足では展望は開けない。例えば国立大学では、国からの補助金に相当する“運営費交付金”が毎年1%ずつ削減された。その結果、ある大学では予算が不足し、定年退職者が出た場合に教員を補充しないことを決めた。この結果、「教員数が足りない為に、講座数が減って、大学生に提供する授業の選択肢を維持することが困難になった」(同大学の教授)。先程の入試問題作成の外部委託も、資金不足が影響している。「教員が少なくなっていった結果、各教科で高校生が学習する範囲を理解し、ニーズに合った難易度で作れる人を学内で確保することが困難になっている」(ある私立大学の教員)という事情があるのだ。このまま2020年に予定される入試改革が実施されても、新たな入試問題作成に対応できる人材を大学が確保できず、“丸投げ”が更に増える恐れもある。

大学が藁にも縋る思いで頼るのが、“競争的資金”と呼ばれる国からのお金。国の意向に沿った研究等が採択されれば貰えるという補助金だ。最近では、大学のグローバル化を志向した“スーパーグローバル大学(SGU)”創成支援事業の例がある。億単位の資金が10年間も貰える補助金に、延べ100以上の大学が挙って申請した。「ここまで大規模なものはあまり無い」(文科省幹部)といい、資金不足の大学にとって喉から手が出るほど欲しい資金だった。更に、「SGUに選ばれるかどうかがブランド力、つまりは受験生の集まりにも影響する」(私立大学幹部)という面もあった。しかし、補助金を得る為には大きな負担が強いられる。大量の申請書類を作成する必要があるのだ。ある私立大学の職員は、“補助金の申請業務”と聞くとゾッとするという。「経営に余裕が無いので、職員も教員も通常業務でギリギリ。ここにSGUの申請書類の作成業務がのしかかって、深夜まで残業が続いた。『大学だけは働き方改革とは縁遠いな』と同僚と話している」と自嘲気味に語る。この大学はSGUに採択されたが、「職員も英語力を付けるのが必須になった為、語学学校に通うことが義務付けられた。『これだけ忙殺されているのに、いつ行くんだ』と恨み言の1つも言いたくなる」(同)。資金不足の為、十分な教員や職員を配置できない。その解消の為に補助金を申請し、申請作業の為に益々研究や学生の育成に振り分ける時間が無くなる。時間確保とコスト削減の為、本来は自前で手掛けるべきコア業務まで外部委託し、益々弱体化する。そんな負のスパイラルが、大学で渦巻いている現実がある。先月、大学関係者の間で衝撃が走った。文科省幹部の早稲田大学への天下りを、省自身が組織ぐるみで斡旋していたことが判明したのだ。未だ全容は解明できておらず、国会で文科省の幹部が厳しい追及を受ける等、波紋が広がっている。受け入れた側である早稲田大学の鎌田薫総長は、先月20日に開いた記者会見で、「不当な癒着は無い。不適切な利益供与を求めたことも受けたことも無い」と述べた。しかし、額面通りに受け取る大学関係者は少ない。ある大学関係者は、「早稲田大学がいくら否定しても、『天下りを受け入れるのは補助金目当てだ』と言われても仕方ない。文科省も大学改革を掲げているが、『そんなことを言えた身分なのか』と言いたくなる」と批判する。弱体化する大学に、腐敗する監督官庁――。これでは、大学から優秀な人材や高い研究成果を生み出すことは到底適わない。その事実が垣間見えるデータも出てきている。イギリスの『タイムズハイアーエデュケーション(THE)』が発表する世界大学ランキングだ。日本の大学では、最高位の東京大学は2010~2011年の26位から2016~2017年には39位に、京都大学も同57位から同91位へ後退した。しかも、2016~2017年は200位内の日本の大学はこの2校だけ。200位以内に63校が入るアメリカには遠く及ばず、5校が入る香港、4校が入る中国と韓国等にも日本は後れを取る。大学が抱える問題点は根深い。 (取材・文/本誌 広岡延隆・松浦龍夫・河野祥平)


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