北陸新幹線ルート案は滋賀県の“独り負け”――更なる広がりが予想される北陸と名古屋の“心理的距離”

20170222 08
“決着は未だ先”とみられていた北陸新幹線の大阪延伸ルート(敦賀-新大阪間)の方針が、先月、急転直下決まった。政府与党の検討委員会は、事業主体である『西日本旅客鉄道(JR西日本)』が推していた“小浜・京都ルート”を最適とした。各自治体の不満は燻っているが、大きな目で見て、関西エリアにとってはプラスになるだろう。この間に京都府は、日本海側を舞鶴まで進んで新大阪駅を目指す“舞鶴ルート”を支持し、滋賀県は琵琶湖東部を南下して東海道新幹線に接続する“米原ルート”を望む等、対立を続けてきた。一時は、関西広域連合が費用対効果の面から米原ルートに軍配を上げた為、京都府が不満を漏らす局面もあった。関西内部での睨み合いに加え、北陸新幹線が通過する福井県等は、小浜から直線的に新大阪駅を目指す“小浜ルート”を主張していた為、三竦みの状況が生まれた。今回、第4のルートが選ばれたことで、各自治体は“痛み分け”に終わった格好だ。ただ、内定した小浜・京都ルートは、福井県が推した小浜ルートに最も近い。観光地として有名な京都を経由する為、所要時間が増加したものの、福井県等は歓迎する意向を表明した。「北陸エリアの自治体は、フル規格で新大阪まで繋がることが重要だった」(鉄道ジャーナリスト)為、下手に与党を刺激したくないのだろう。

一方で、最も不満を募らせているのが滋賀県だ。昨年3月時点で早々に候補から消えた“湖西ルート”(※敦賀から滋賀県西岸を通り京都を経由)のことを考えると、滋賀県の意向は完全に無視された。しかも、内定したルートは京都を通過するにも拘わらず、「並行在来線としてダイヤ削減の対象になるのは、滋賀県内を走るJR湖西線になる見込み」(同)で、完全に“独り負け”の様相だ。「開業後は、北陸地方と名古屋の心理的距離は、これまで以上に広がるだろう」(同)。歴史的経緯を考えれば、抑々、北陸エリアは関西と近い関係にある。しかし、現状の金沢から大阪までの鉄道移動時間は約2時間半だ。これでは、名古屋までにかかる時間と大差ない。その為、金沢と米原を結ぶJR北陸本線を使い、北陸エリアから米原に出て東海道新幹線に乗り換え、名古屋を訪れる利用客は一定数いた。北陸と関西が新幹線で繋がれば、こうした客は一挙に減るとみられている。滋賀県が米原ルートに固執していた理由も、米原というターミナル駅の価値を維持したい一心からだった。大阪を中心とする関西地区にとっては、北陸新幹線の金沢-東京間の先行開業で奪われた人の流れを取り戻す為にも、最適の落としどころと言えそうだ。但し、開業は早くても約30年後。整備新幹線の建設予算は年間約750億円という枠が定められており、北海道新幹線等の先行区間の建設が終わらない為、前倒しになる可能性は低い。京都府は、舞鶴ルートを否定されたことで態度を硬化させており、山田啓二知事は新幹線通過自治体の建設費負担の軽減を求める意向を示し、未だに巻き返しを図っている。着工は2031年頃とみられており、引き続き“我田引鉄”を画策しているのだろう。与党方針の決定は越年を阻止できたが、完全決着は未だ先のことになりそうだ。


キャプチャ  2017年1月号掲載
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