【かわる金融・地方を興す】(03) 地元に密着、原点回帰

20170223 06
山間に田畑が広がる千葉県大多喜町。戦後約70年で人口が約1万人へと半減し、空き家の増加が問題になっている。「随分と工事が進みましたね」。先月中旬、『千葉銀行』の本庄敏彦さん(40)が訪れたのは、そうした空き家の1つだ。約200年前に建てられた立派な梁が特徴の古民家で、建築士の牧野嶋彩子さん(44)が経営する『人と古民家』(千葉市)が改装を進めている。今春から、ここで宿泊サービスを始める予定だ。社員研修・家族旅行・外国人観光客の利用を想定している。牧野嶋さんは「古民家を再生し、ショールームや簡単な宿泊施設として活用しよう」と考えていたが、どう収益に結び付けるか、明確には定まっていなかった。千葉銀行に融資の相談に行ったところ、「宿泊を本格的なビジネスにしよう」と提案されたのが、今回の事業のきっかけだ。囲炉裏を設け、蔵も使って客室を増やす。裏庭でキャンプもできるようにする――。観光に詳しい行員から助言を受け、牧野嶋さんが思いつかなかった計画が次々と生まれた。融資額は約4700万円。返済期間を22年の長期にし、最初の3年は利子だけの支払いにした。千葉銀行が「かなりの好条件」(本庄さん)に踏み込んだのは、「地域の活性化が銀行の利益にも繋がる」と考えたからだ。牧野嶋さんは、「ここまで手厚く支援されるとは思っていなかった」と満足げだ。

地方には、大都市のような産業や人の集積が無い。地域金融機関が地元経済を支えて活性化するには、地域の資源と人材をフル活用する必要がある。「この調子でいけば、そろそろ人員を増やして事業を拡大したほうが良さそうですね」。昨年12月下旬、『鳥取銀行』鳥取県庁支店で竹本哲哉支店長(46)は、ドローン操縦の養成スクールを起業した宇佐美孝太さん(25)にアドバイスを送った。宇佐美さんは早稲田大学を卒業後、都市部から地方に移住して町づくりに取り組む国の『地域おこし協力隊』として、昨年6月、今年3月末までの任期で鳥取に来た。鳥取県は全国で最も人口が少なく、多くの若者は進学や就職を機に県外に流出する。そこで、鳥取銀行が地域の担い手となる若者を確保しようと狙いを定めたのが、移住してきた協力隊員だ。先月時点で県内に95人いる。各支店長が仕事のことを中心に、時には身の回りのことまで相談に乗る。宇佐美さんの事業は、顧客になりそうな建設業者に紹介した。宇佐美さんは、「知り合いが少ない中、何でも相談に乗ってくれて心強い」と信頼を寄せる。『北都銀行』(秋田市)・『四国銀行』(高知市)・『清水銀行』(静岡市)・『筑波銀行』(茨城県土浦市)・『富山銀行』(富山県高岡市)は昨年12月から、マレーシアで林檎ジュースやイワシのふりかけ等、地元の特産品を売り込んでいる。新興国の需要を取り込む為だ。出品企業の負担を日本国内の輸送費や1ヵ月3万円の“棚代”に抑えて、国内外の見本市より安い費用で商品を店頭に並べられる仕組みを提供している。金融庁は、これまでも地銀に対し、地域経済の活性化の先頭に立つよう求めてきた。しかし、地域密着を謳いながら地元を離れ、首都圏等大都市部での融資に力を入れてきたところも少なくない。地方創生で利益を上げられるようになるには、人材の育成等、時間も手間もかかるからだ。だが、貸出金利の低下が進み、大都市での競争は限界に近付いている。地銀は今こそ、“地域の為にある”との原点に立ち返る必要がある。


⦿読売新聞 2017年2月4日付掲載⦿
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テーマ : 経済・社会
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