【男の子育て日記】(40) ○月×日

9月16日 妻、起きるなり、「ブルーな夢を見たわー。一夫多妻制で、たけちゃんに一杯奥さんがいるの。取り敢えず、私は第1夫人なんだけど」。欲求不満なのか。

9月18日 一文の寝る時間が遅い。いくら1日に何度も昼寝をし、保育園から帰宅して直ぐに夕寝もするとはいえ、夫婦で大好きな『プロ野球ニュース』の時間になっても未だ起きている。「かず、うちでいちばん偉いパパが『寝なさい』って言っているよ」。どういう風の吹き回しか。「台所の洗い物を片付けておけよ」って意味かな。

9月20日 インターネットサイト『cakes』に勤務のナカジとメールでやり取り。お互い、三軒茶屋に住んでいた頃は女の話しかしなかったのに、今は2人とも子供のことばかり。「嘗てはミドルネームを“心は孤独な狩人”と称して、夜な夜な三茶の美化委員会に名乗りをあげていたナカジが人の親だもんね」「樋口さん、街に落とし物があったら拾って、責任を持って適切な対応をするのが市民としての役割じゃないですか」。今では毎朝6時半に起きて、2歳の娘さんを保育園に連れていく生活だ。「社会福祉士のナカジの奥さんは、意図的に女の子を産んだのだと思う。君が娘のオムツを取り替える度に、これまでの女性に対して『すまなんだ~』って思うように。そして、絶対に浮気をさせない為に」「そうだったのかぁ~」。父親になっても、話の内容は相変わらずバカ。

9月22日 妻が隣室で電話。どうやら、弟の妻のお母さんのようだ。「うちの夫の連載を毎週読んでいる? あれは全部嘘ですから!」。丸聞こえだって。

9月25日 一文、林海象監督と初対面。記子は大学時代、碌に学校に通わず、家から歩いて5分のバー『魔人屋』で毎日飲んだくれていた。自堕落な生活を送る彼女を見かねて、常連客の海象さんが命じた。「記子、お前は弁護士になれ」。そこで開眼し、記子は司法試験の勉強を始める。合格するまでに8年かかるんだが。「何で記子に『弁護士になれ』って言ったんでしたっけ?」「あまりにも常識が無さ過ぎたから。『世の中の勉強をさせよう』と思ったんだ」。遠回りをしたけど、それで僕と知り合うことになり、一文を授かったんだからヨシとしよう。「海象さんとはヤッていないんだよね?」「ヤッていない。ヤッていたら正直に言うから」。どんな夫婦なんだ、俺たちは。

9月28日 妻、『踊る!!さんま御殿』(日本テレビ系)に出演。2度目。「私に不倫の相談をしに来る女性が決まって口にするのが、『男は寂しいから浮気する』なんですよ。『この人をわかってあげたい』と思うそうなんです」。うんうん、わかるよ。自分の妻が如何に辛辣で冷酷で、度し難い無神経かを、家以外の女性に聞いてほしいんだよ。引き続き、報ステの小川アナからのご連絡をお待ちしております。


樋口毅宏(ひぐち・たけひろ) 作家。1971年、東京都生まれ。帝京大学文学部卒業後、『コアマガジン』に入社。『ニャン2倶楽部Z』『BUBKA』編集部を経て、『白夜書房』に移籍。『コリアムービー』『みうらじゅんマガジン』の編集長を務める。2009年に作家に転身。著書に『日本のセックス』(双葉文庫)・『ルック・バック・イン・アンガー』(祥伝社文庫)・『さよなら小沢健二』(扶桑社)等。


キャプチャ  2017年2月23日号掲載
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