【電池バブルがキタ━(゚∀゚)━!!】(02) VWもダイムラーもフォードも…欧米メーカーがEV注力

20170227 08
電池需要において存在感が大きいのは、電動車両向けである。これまでも、ハイブリッド車(HV)は『トヨタ自動車』のプリウスが1997年に登場して以来、同社だけでも累計販売台数は900万台に上る。しかし、プリウスの電池容量はニッケル水素式で1.3kW時、リチウムイオン式で0.75kW時だ。これに対して、リチウムイオン電池を使った電気自動車(EV)のリーフ(『日産自動車』)は30kW時のモデルを揃える。つまり、電池という観点では、リーフはリチウムイオン搭載プリウスの40倍の容量がある訳で、電池需要におけるEVのインパクトはHVの比ではないほど大きい。そのEVが今後、急速に普及しようとしている。ここにきて、完成車メーカーのEV注力トレンドが鮮明になっている(図1)。大きな要因は、環境規制強化である。ヨーロッパでは、2021年にCO2排出量を走行距離1㎞当たり95gに規制する。これは、一昨年の同120gから20%削減する必要性を意味している。更に、規制強化はそれ以降も続く見込みで、「2025年以降に同68~78gを目指す」という議論が、ヨーロッパでは続いている。排ガス不正問題で窮地に追い込まれた『フォルクスワーゲン(VW)』は、2025年までにEVを30車種投入して、世界販売台数を200万~300万台とする計画を打ち出した。また、既に投入しているEV『e-ゴルフ』の生産能力を強化する為に、ドレスデン工場を閉鎖して大幅な改修を図っており、今春の再開を目指している。ディーゼルエンジンを生産するザルッギッター工場で、今後、車載用電池システムの生産を行うのも、EVへの戦略シフトの象徴と言える。

『ダイムラー』も、2025年に新車販売に占めるEV比率を15~25%にするという目標に向け、EVブランドの『EQ』を立ち上げて、航続距離500㎞のSUV(スポーツタイプ多目的車)を2019年に投入する計画だ。同社のEV戦略は商用車にも及ぶ。EVのトラックは、積載スペースが電池で埋まってしまい、航続距離と積載量を同時に確保するのは困難とみられていた。しかし、同社は航続距離200㎞で、ディーゼルエンジン車並みの積載量を確保した25トンEVトラックを公開した(図1)。アメリカ勢も、『ゼネラルモーターズ(GM)』は2025年までにEVを30車種投入し、年間販売台数を200万~300万台に引き上げる目標を掲げている他、『フォードモーター』も2020年までに13車種のEVを投入する計画である。これまでも、様々な完成車メーカーがEV拡販に取り組んだものの、本格的な市場確立には至っていない。それは、個人の自己保有を前提とした車社会を前提としている為である。充電切れによる立ち往生リスクを消費者自らが背負わなくてはならない自家用車としてのEV需用は、それほど大きくなかった。しかし、その車社会の構造が変わろうとしている。カギとなるのは、自動運転とシェアリング(共同利用)だ。これらは其々が独立のものではなく、融合して1つのエコシステムを形成していくと考えられる。つまり、移動したい時に呼ぶと、自動運転のロボットタクシーが迎えに来てくれ、車内で好きなことをやりながら移動し、目的地に着くと駐車場を探さずに降りるだけ…という“シェアードモビリティーサービス”だ。何よりも運転手がいないことで、タクシー運賃の7割を占めると言われる人件費が掛からない。この為、移動コストを圧倒的に引き下げることが可能だ。自動運転では、乗客は運転から解放されて自由に時間を使えるようになる。しかも、それが安価となれば需要は伸びるだろう。実際、フォードは2021年に、このようなサービス向けの自動運転車両を市場投入すると発表している。このようなサービスでは、移動する時間と空間に重きが置かれるようになる為、駆動装置がコンパクトで室内空間を大きく取ることができ、且つ静かなEVの親和性は高い。長期的にはEV市場に大きなインパクトを与えると考えられる。シェアードモビリティーサービスが普及すれば、車両稼働率が飛躍的に向上する為、事業者は移動書要をより少ない保有台数で賄うことができる。しかし、車両の年間走行距離は数万㎞にも及ぶので、買い替えサイクルは短くなり、年間販売台数が大きく減ることはない。このような車社会の変化を踏まえると、各完成車メーカーの強気のEV販売目標にも合点がいく。そしてこれは、電池市場の長期的な成長も意味する。

20170227 09
CO2現制強化が迫られるのは、先進国に限らない。現在、走行距離1㎞当たり排出量160g程度の中国やインドでも、2020年に同117g、2022年に同113gと、40%近く削減する目標を掲げている。故に、完成車メーカーは、先進国向け車種での更なる低減だけでなく、相対的には対応が遅れている新興国向け車種でも、一定の排出量低減を同時に進める必要がある。新興国向け車種は、当然のことながら価格帯を低く抑える必要がある為、環境規制対応と雖も高価なデバイスを搭載することは難しい。その解決策となり得るのが、48ボルトシステムを使った“マイルドHV”である。オルタネーター(発電機)兼モーターを使って、発進・加速時にはエンジン駆動をアシストし、減速時には発電する“回生”を行う仕組みだ。通常のHVは200~300ボルトの電池を備えているが、価格が高い。一方、普通の乗用車は12ボルトを使っているが、これだと電圧が低くてアシスト力が弱い。そこで、48ボルトの電源を用いて、より効率的にアシストや回生を行う。そこにリチウムイオン電池が使われる。48ボルトマイルドHVの最大の特徴は、コストアップを10万円以下に抑えながら、15%程度の燃費向上を実現できることである(図2)。ヨーロッパの完成車メーカーを中心に採用が始まり、先進国に留まらず、新興国市場にも投入する。VWや『アウディ』等は、販売台数が多い中国等の新興国市場で販売することで、1台当たりのCO2削減効果は小さくても、台数の多さによって企業単位でのCO2削減インパクトを出すことができる。つまり、電池需要の観点からも、48ボルトシステムは相応の影響を及ぼすことになる。電池の需要家として存在感が大きい自動車業界だが、その位置付けは今後、更に増していくだろう。自動車産業の大きな構造変化が、電池需用を拡大させる。但し、そのタイミングは様々な要因が絡む為、見極めが難しい。電池業界にとっては、先読みの正確性を高めること以上に、不確実性を前提として事業をマネージしていく為の仕組み作りが一層重要になる。 (『ローランドベルガー』パートナー 貝瀬斉)


キャプチャ  2017年2月14日号掲載




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