【仁義なきメディア戦争】(15) インターネット広告で不正…『電通』が落ちた闇

20170227 10
「国内におけるデジタル広告において、広告主はじめ関係各位に多大なご迷惑をおかけしたことを深くお託びします」――。大手広告代理店『電通』は9月23日、同社及びグループ会社がインターネット広告の活用支援サービスにおいて、故意又は人為的なミスによる不適切業務を行っていたことを発表した。広告実績には虚偽の報告が含まれ、一部の広告主に対し過剰に広告掲載費を請求していた。東京都内で開催した記者会見で中本祥一副社長は、冒頭の謝辞を述べ、山本敏博常務や同社デジタルプラットフォームセンターの博谷典洋局長と共に、深々と頭を下げた。対象となるグループ会社は、『サイバーコミュニケーションズ』・『DAサーチ&リンク』・『ネクステッジ電通』(※現在は『電通デジタル』に吸収合併)の3社だ。被害総額は現時点で約2億3000万円に上る。調査対象の広告主は1810社で、案件数は約20万件。9月22日時点で不適切業務と判断された案件は633件で、対象となる広告主は111社。不適切業務の内、14件(金額にして320万円)で広告を掲載していないにも拘わらず、架空請求していた。例えば、広告を月間で1万回掲載する契約だったにも拘わらず、9000回しか掲載していない場合でも、1万回分の広告掲載費を徴収していた。一連の事件は、『トヨタ自動車』からの指摘で発覚した。計画上の広告の出稿量に対して効果が想定に達していないこと等を不信に思い、広告の配信先である『Google』から直接、データを取り寄せた。電通のリポート上では広告が掲載されている筈の期間に、Googleのデータ上では配信されていなかったのだろう。トヨタの指摘を機に、電通は社内調査を実施して、「虚偽の報告があった」と判断。社内に調査委員会を発足させて、全社的な調査に踏み切った。不正は“運用型広告”という広告手法で行われた。Googleや『ヤフー』等で検索されたキーワードに連動して、関連広告を検索結果画面に表示する“検索連動型広告”や、SNS事業者の広告サービス等が対象となる。

運用型広告を活用する上で重要になるのがデータ分析だ。管理画面で広告表示回数に対するクリック率・購買率・顧客の獲得単価といったデータを、リアルタイムに分析する。このデータに基づき、効果の高い広告の予算を増やしたり、広告デザインを変更したりする等の“運用”を行う。広告代理店等に委託するのが一般的で、電通も請け負っていた。この運用型広告を始めとするインターネット広告は、取得できるデータが多岐に亘る。例えば管理画面では、広告の表示回数も一目瞭然だ。本来なら、“広告の経済実績が無いにも拘わらず掲載費を徴収する”といった事態は起き難い。しかし、電通では不正が罷り通っていた。最大の要因は、従来の商慣習をインターネット広告にも持ち込んでしまったことだろう。電通はマス広告を中心とした従来の広告事業で、広告在庫を纏めて媒体社から仕入れ、利益分を上乗せして広告主に販売する。広告枠の卸売業とも言える。掲載期間や枠が固定されている為、電通側でコントロールを利かせ易かった。この商習慣をインターネット広告にも取り入れ、管理画面は広告主に開示していなかった。掲載後に担当者が各広告サービスからデータを収集し、表計算ソフト『Excel』を使ってリポートを提出していた。しかし、運用型広告はリアルタイムの入札制で広告枠を買い付ける仕組みとなっており、電通側がコントロールを利かせ難い。広告主が事前に設定している広告1クリック当たり、又は広告表示回数等の入札単価に基づき、入札単価の高い広告が表示される。この入札単価は、競合企業の出稿状況等といった外的要因で常に変動する。入札単価が高騰し過ぎて想定よりも広告を掲載できず予算を消化できない場合や、想定以上に早く予算を使い切ってしまう場合があり得る。都合の悪い事態が起こっても、表計算ソフトならば手元で数値を改竄し、想定通りに配信されたと見せかけることは容易だ。これに対して、インターネット専業の広告代理店等では、広告主の要求に応じて管理画面のスクリーンショットを送ったり、管理画面そのものを見せたりすることもあるという。旧来型の商慣習に流されず、データをきちんと開示していれば、このような事態を招くことは防げた筈だ。改竄が行われた場合にそれを見抜くチェック体制の不備も、不正を助長した。電通では、インターネットの運用型広告において、運用からリポートの纏めまで担当者1人で対応していた。「(広告を運用する)本人以外は数字を見ていなかった」(中本祥一副社長)為、マネジメント層も不正を見抜くことができなかった。現在も調査は継続中で、年内の完了を予定する。被害総額が更に増える可能性もありそうだ。調査終了後に改めて会見をする予定で、1ヵ月後には実態が明らかになる。 (取材・文/フリージャーナリスト 中村勇介)


キャプチャ  2016年11月19日号掲載
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