【教科書に載らない経済と犯罪の危ない話】(34) スワンナプーム空港地下で見た入国管理体制の非人道な実態

自動小銃を肩にかけた警備員に囲まれ、エレベーターで地下に降りると、コンクリートの通路だった。頑丈な鉄扉を開けると、その先にも長い通路が続き、左右には鉄格子の入った部屋が幾つも並ぶ。突き当たりを曲がると再び鉄扉があり、警備員のチェックを受け、先に進んだ。そこで目に飛び込んできたのは、アフリカ系と思われる数人の黒人の姿だった。異様なのは、彼らの手足が其々手錠と鎖で繋がれ、椅子も無い廊下に直接座らせられていることだ。更に先へ進むと、東南アジア系と思われる男数人が、これも互いの手足を鎖に繋がれ、床に転がされていた――。バンコクのスワンナプーム国際空港地下にある入国管理施設での話である。ドナルド・トランプ新政権が誕生したアメリカでは、テロ対策を理由にイスラム圏7ヵ国出身者の入国を一時禁止する大統領令が出された。その後、連邦地裁の判事が相次いで、この大統領令の執行を差し止める等、混乱が続いている。年間7500万人以上が入国するアメリカでは、9.11事件以来、イスラム過激派によるテロの脅威に曝されており、この大統領令を支持する声も多い。勿論、それ以外の理由で入国拒否になる人も沢山いる。日本でも、昨年度に4600人が入国を拒否されており、世界中の入国審査で毎日起きていることだ。冒頭の様子は昨年3月、タイへ渡航した際に入国を拒否された時の実体験である。この時は、入国審査官がパスポートをチェックすると、直ぐに武装した警備員が10人以上駆けつけてきた。事前旅客情報システム(APIS)によって待ち構えていたのだろう。

APISは、警察庁・財務省・法務省等が管理するリストに該当する人物が搭乗したら、到着次第、空港へ通報するシステムだ。筆者の場合、過去にタイで身柄拘束を受けたことがあり、その記録から入国拒否になったのだろう。単なる入国拒否なら、自費で航空券さえ調達すれば第三国へ向かうことができる。だが、犯罪性のあるケースや、当該国が要注意人物としてブラックリストに登録してあると、勾留、若しくは強制退去の処分となる。強制退去の場合、航空券を買う資金が無い者は入管難民施設へ収容され、自国の援助を受け、国費で帰国することになる。この場合、順番待ちとなる為、日本人の場合は約6ヵ月の収容生活を覚悟しなくてはならない。これは、不法滞在者が多く、手続きに時間がかかる為だ。6ヵ月で帰れるのは、実は早いほうで、アフリカ諸国や中国など何年かかるかわからない。今から5年ほど前、筆者は数ヵ国から国際手配される状況に陥った。この時、筆者は1年半ほど世界中を逃げ回ったが、最後にバンコクで身柄を拘束された。そして、警察庁が迎えに来るまでの3週間を、タイの入管施設で過ごした。タイは、ラオス、ミャンマー、カンボジア等陸続きの国から、不法入国者が毎日押し寄せて来る。彼らは不法に入国して就労し、ある程度のカネを稼いだら、集団で入管施設に出頭する。そうすれば、タダで送り返してもらえるからだ。タイ政府も、近隣諸国からの不法入国者を送り返す為、毎日2便のバスを用意している。集団で収容されて、集団で送り返される様子を毎日眺めていたが、その様子はまるで動物を扱うようだった。彼らは、20畳ほどの部屋に鞭や棍棒で追われながら放り込まれる。その数は、1部屋当たり30~40人。男女は別だが、乳幼児も一緒に入れられる。そして、狭い部屋なので、座ったまま眠る。ここで過ごした3週間は、まさに悪夢の連続だった――。 (http://twitter.com/nekokumicho


キャプチャ  2017年2月28日号掲載
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テーマ : 国際問題
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