“恐怖の暴走カー”と化した『プリウス』――福岡での10人死傷事件は単なる事故なのか?

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「またプリウスの暴走か…」。ユーザーの口コミ情報を取材する自動車ジャーナリストは、表情を曇らせる。福岡市博多区の原三信病院に、タクシーとして利用されていた『トヨタ自動車』のプリウスが突っ込み、3人が死亡した事故(右画像)から1ヵ月。福岡県警は、イベントデータレコーダー(EDR)の解析から、「運転手がブレーキとアクセルを踏み間違えた」と断定した。だが、果たしてそう言い切れるのか? 「『プリウスがコンビニや駐車場等で暴走事故を起こしているケースが多い』という噂は絶えない。その殆どは、警察によって“ドライバーの不注意”で片付けられている」(前出の自動車ジャーナリスト)というが、今回ばかりは少し事情が違った。職業ドライバーであるタクシー乗務員が引き起こした事故だったからだ。一般ドライバーによるアクセルとブレーキを踏み間違えた暴走事故にしても、「病気による意識障害や認知症等を除いては、異常走行した距離は精々数十m程度」(同)。プロドライバーが踏み間違えたことに気付かず、350mも走行し続けるとは考え難い。事故を起こしたドライバーは64歳だが、「ブレーキを踏んだが車が止まらなかった。ギアを変えてエンジンブレーキをかけようとしたが、減速せず突っ込んでしまった」等と具体的な供述をしていることや、事故直後に警察官とやり取りできていたことからも、認知症や運転中に意識を失った可能性は低い。ここで浮上してくるのが、プリウス自体の欠陥問題だ。決め手となったEDRは、事故で大きな衝撃が生じた際に車体の前後左右にかかる加速度・ロール角・エンジン回転数・アクセル開度・ブレーキ動作等を記録する装置だ。このEDRの解析結果が出るまでに20日近くかかったことも、臆測を呼んでいる。交通事故分析を手がける専門家は、「取り外したEDRをパソコンに接続してデータを吸い出すには、十数分しかかからない。何故、こんなに時間がかかったのか」と訝る。

今回はEDRのデータがトヨタにとって“シロ”となる結果だったが、それでも「完全に問題が無い」とは言い切れない。「ブレーキを踏んだデータが残っていても、トラブルがブレーキの制御ソフトにあったとしたら、仮にブレーキを踏んでいたとしても、実際には利かなかった可能性もある」(同)からだ。しかも、EDRのデータはトヨタの独自仕様で、同社のシステムでなければ分析できない為、中立的な検証が難しい。今回の事故と同様、アメリカで車両の不具合が問題視された時は、トヨタ側が「EDRシステムは実験装置であり、信頼できるものではない」との声明を出し、データ提供に消極的だった為、「隠蔽工作を疑われたこともあった」(同)という。ここで本筋に戻ろう。EDRは記録装置に過ぎない。車体に不具合があったとしたら、事故の原因は制動系と駆動系に絞られる。両系統は、ガソリン又はディーゼルエンジン車ならば其々独立しているが、ハイブリッド車(HV)であるプリウスは一体化している。何故なら、ブレーキをかけた時に生じる制動エネルギーで発電し、駆動系のエネルギーとして再利用しているからだ。「プリウスのようなHVは、低速時の制動力を回生エネルギーとして利用している為、ブレーキ抜けが起こる可能性がある」(同)との指摘もある。事実、トヨタもユーザー向けの取扱説明書で、そうした場合のハイブリッドシステムの緊急停止方法を明記している。2010年以降に実施されたプリウスのリコール9件の内、今回の事故との関連が疑われる制動系(※パーキングブレーキを含む)が3件、駆動系が2件の計5件と過半数を占める。しかも、その5件中3件は、制御ソフトの不具合でリコールが実施された。国土交通省に寄せられた2012年以降の不具合情報件数は、制動系に限っても同じトヨタのHV『アクア』の7件に対し、プリウスは76件と10倍以上も多い。勿論、販売台数が多ければ不具合情報が増えるのも当然だが、2012年1月から2016年11月までの累積販売台数を比べると、アクアの113万4427台に対し、プリウスは111万7945台とアクアのほうが多い。にも拘わらず、制動系の不具合情報はプリウスが大きく突出している。つまり、同じトヨタのHVでも、プリウスだけが制動系等に構造的な問題を抱えている可能性が高い。「ここまで不具合情報が寄せられている以上、国交省や警察が徹底的な調査と解析をする必要がある。単なるドライバーのミスで片付けるのは問題だ」と、前出の専門家は警鐘を鳴らす。

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何故、同じメーカーのHVでありながら、安全性にこのような差が生じるのか。「サプライヤーの絞り込みや部品の共通化といったトヨタの調達状況を考えると、部品関連のトラブルであれば、両車とも似たような確率で不具合が生じる筈。プリウスだけに起こるとは考え難い」と、自動車部品メーカー幹部は指摘する。新車開発の事情に詳しい専門紙記者は、「ハイブリッド関係の制御ソフトにバグ等の問題があるとしか考えられない」と断言する。ならば、同様の制御ソフトを使っているアクアに不具合が生じないのは何故か。注目すべきは燃費だ。本来ならば、プリウスより約270㎏も軽いアクアの燃費が良くて当たり前。ところがカタログ値では、アクアの37.0㎞/リッターに対して、プリウスは最高で40.8㎞/リッターと逆に良い。トヨタ関係者は、「基本的な開発が4年遅いプリウスの燃費が良いのは当たり前」と主張するが、「燃費向上の為に制御面で相当の無理をしているのは間違いない」と前出の専門紙記者は指摘する。燃費向上のカギは、如何に多くの回生エネルギーを取り込めるかにかかっている。「制動エネルギーをギリギリまで発電に利用しようとする為、ちょっとしたプログラムのバグやエラーでブレーキが利かなくなる恐れもある」(前出の専門紙記者)。ハードと違い、ソフトの不具合はメーカーにしかわからないケースが多い。「ソフトの安全管理は、メーカーの良心にかかっている」(同)のが現状だ。歴代のプリウスは、常に“燃費ナンバーワン”が開発の最終目標だった。トヨタと『ホンダ』の間で激しいHVの燃費競争が繰り広げられ、『マツダ』のスカイアクティブエンジンのように非HVの燃費向上も進んでいる。トヨタが燃費ナンバーワンの座を死守する為に安全性を軽視したとするならば、そして、これまでの不具合による事故の責任回避の為にソフトの問題に目を瞑っているのなら、決して許されることではない。


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