【かわる金融・地方を興す】(04) ITで商店街活性化

20170301 01
静岡県富士市の吉原商店街。金物店の店長・内藤祐樹さん(31)が、店を訪れた知人に「“ネコバン”を使えばもっと安くなるよ」と声をかけた。スマートフォンにアプリをインストールすると割引を受けられる電子クーポンが手に入るサービスだ。『静岡銀行』等が昨年12月、東京都内のIT企業の技術を活用して実験的に開始した。吉原商店街は、富士山の裾野で約120店が軒を連ねる。古くは東海道の宿場町として栄え、1980年代には1日1万人の買い物客で賑わったが、最近は郊外の大型ショッピングセンターに客を奪われている。静岡銀行等が「ITを活用したフィンテックで活性化できないか」と考え、辿り着いたのがネコバンだ。商店街が独自の電子クーポンを導入するのはコスト面等でハードルが高いが、ネコバンは最先端の“ブロックチェーン技術”を活用しており、店側はスマホかタブレットさえ用意すれば導入できる点が強みだ。内藤さんは、「コストをかけずに新しい販促に挑戦できるのはありがたい。スマホを使う若い世代に顧客になってもらえるきっかけにしたい」と話す。同行経営企画部の那須野祥昌さん(50)は、「新たな技術を活用して人とお金の流れを変え、地域活性化の機運を作ることは地方銀行の役目だ」と語る。ITを活用して、便利で低コストな金融サービスを提供するフィンテックの波は、地銀にも及んでいる。

新サービスの開発は、資金力と人材の質がものを言う。規模では敵わない大手銀行に対抗し、地銀同士が連携する動きも出てきた。『横浜銀行』は昨夏から、インターネット専業の『住信SBIネット銀行』と協力し、格安で送金できる決済システムを検討している。従来、顧客が国内銀行に送金する際は数百円、外国銀行に送金する際は数千円の手数料が必要だったが、ブロックチェーン技術で10分の1以下に抑えることを目指す。「メガバンクと同水準のシステムを構築するには、皆で協力するしかない」(同行営業企画部の島山幸晴さん)との考えから、他の地銀にも参加を呼びかけている。来月末までに30行の参加を見込んでいたが、既に40行を超えた。『福岡銀行』等を傘下に持つ『ふくおかフィナンシャルグループ』は昨年9月、ニューヨークでフィンテックをテーマにした世界的なイべントに参加した。グループの情報通信企業が、開発したスマホ向けの金融サービスを欧米の金融関係者に紹介したところ、「アメリカで機能するのか?」等、想定以上に具体的な質問が次々寄せられた。同FG営業戦略部の永吉健一さん(44)は、「世界では、良い技術を取り込もうとする動きが積極的で速い」と驚く。ただ、地銀のフィンテックへの取り組みは、“ブーム先行”という見方もある。「幹部から『フィンテックで何かやれ』と指示されたが、“何か”と言われても困る」。中部地方の地銀で働く30代の行員の不満は、地銀の焦りを象徴している。「兎に角、波に乗り遅れまい」と、他行が既に提携しているITベンチャー企業に相乗りする動きも相次いでいる。フィンテックに詳しい増島雅和弁護士は、「フィンテックは課題を解決する為の手段。それ自体が目的になってしまえば本末転倒だ」と指摘する。地銀がフィンテックで成功する為には、地域の課題を見抜く力と、それを解決するのに必要な技術やサービスを探し出す力が必要だ。ここでも、“目利き力”が求められている。


⦿読売新聞 2017年2月7日付掲載⦿
スポンサーサイト

テーマ : 経済・社会
ジャンル : ニュース

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

广告
搜索
RSS链接
链接
QR码
QR