沖縄に忍び寄る中国の“紅い魔手”――蔓延するスパイ活動と“植民地化”戦略、『琉球王国』復活の後押しを提唱

ここ最近、大挙して沖縄を訪れている中国人観光客。そんな観光客に紛れて、沖縄駐留のアメリカ軍や自衛隊の動向を探る諜報活動が展開されているのは、極東最大の嘉手納基地や航空自衛隊那覇基地等、要所の周辺だ。更に、沖縄から噴き上がったとされる“琉球独立論”にも、中国の影がちらつく。“反米”感情に乗じて沖縄県民に忍び寄る“紅い魔手”を追う。

20170301 07
ギリシャ神話で有名な『トロイの木馬』は、ギリシャのオデュッセイアがトロイを攻略する奇策だ。オデュッセイアは巨大な木馬を作らせ、その中にギリシャ兵を隠して、トロイへ運ぶ。トロイの王女は「罠だ」と忠告したが、市民は誰も聞き入れず、トロイは陥落する。物語は転じて、内通者が巧みに相手を陥れる策略を意味するものとして伝承されてきた。今、この神話を彷彿とさせるスパイ活動が、対中国の最前線である沖縄で繰り広げられている。東アジアの地図を逆さまにすると、沖縄本島を中心とする南西諸島が東シナ海に連なり、それが中国の太平洋進出を阻んでいる現実が如実に読み取れる。それは冷戦当時、ソビエト連邦にとって日本列島全体が“不沈空母”として横たわり、太平洋への展開を阻止してきた過去と相似形だ。これを突破する為に軍事力を増強しているのは日々のニュースで読み取れるが、障壁を避けるだけが能ではない。では、どう策動しているのか。中国は沖縄の要所に人的なアンテナを張り、アメリカ軍と自衛隊の動きをウォッチしながら、日米に対抗しているのだ。中国資本が沖縄のアメリカ軍基地用地の債権を買い漁っている事実は人口に膾炙し、既にその10%以上を中国資本が手にしたとされる。これはこれで看過できない重大な問題だが、その陰で、アメリカ軍と自衛隊のオペレーションを外形的に把握する“スパイ行為”が公然と展開されている事実を見逃してはならない。

「また操縦室から、こっちをビデオカメラで写しているぞ!」――。沖縄県の那覇空港に隣接する航空自衛隊那覇基地。双眼鏡を覗いていた自衛隊員が声を上げると、他の隊員も航空機操縦室の不審な動きを確認した。その航空機は、中国本土からの民間機だった。那覇空港の滑走路は民間機と自衛隊の共用で、空自の航空機は隣接する基地に待機している。「明らかにスパイ行為だった。ビデオの時もあれば、静止画で盗撮しているケースもあった」と空自関係者は振り返る。こうした撮影は、その後も頻繁に目撃されているのだ。那覇空港は、国内便の他、中国本土からの民間航空機だけでも、1日当たり10便前後が離発着する過密状態にある。空自は撮影されるのを避ける為に、中国の民間機が来た時だけ格納庫へ戦闘機を隠せないか検討したものの、次々と民間機が離発着する為に対応し切れなかったという。公安調査庁関係者は、「民間機のパイロットらを含めて、諜報活動の秘めた任務を担う人物が少なからず存在する。那覇空港でしばしば目撃される操縦室からの撮影は、氷山の一角」と断言する。他にも、観光客を装って自衛隊やアメリカ軍の動向を注視するスパイが活動していることは、想像に難くない。那覇空港の滑走路から南西へ約500mの瀬長島の丘。そこに、リゾートホテル『琉球温泉 瀬長島ホテル』が開業したのは2012年末のこと。2015年には、西海岸沿いの傾斜地に大規模な商業施設『瀬長島ウミカジテラス』がオープンした。日本政府の情報関係者は、「このホテルや商業施設から、空自那覇基地に照準を合わせてビデオで撮影する光景も日常茶飯事だ」と明かす。アメリカ軍嘉手納基地を間近に一望できる、通称“安保の見える丘”は白昼堂々、公然たるスパイ活動の拠点と化している。この地をアメリカ軍が“スパイヒル”・“スパイスポット”と呼ぶほどだ。2001年の9.11同時多発テロを受け、アメリカ軍は「この丘をフェンスで囲って立ち入り禁止にしたい」と日本側に打診した。だが、平和運動の活動家らの反発と、それに呼応する沖縄の理解もあり、今も自由に出入りできる。日本政府関係者は、「この丘に来る人は3種類に大別される」と解説する。“平和”を掲げるアメリカ軍ウォッチャー、観光客や修学旅行生等といった日本人の見学者、そして中国人の一群である。アメリカ軍ウォッチャーと中国人は、離着陸をカメラに収める等、基地の動向を逐一調べ上げている。自衛隊幹部は、「嘉手納基地の戦闘機の数・離発着回数・偵察機の飛来等をチェックしていれば、アメリカ軍がどんな訓練を実施しているのか、何に備えているのか推測できる。中国人による諜報活動は、軍事オペレーションの枢要な一環だ」と言い切る。「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず。彼を知らずして己を知れば、一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆うし」。古代中国の兵法書『孫子』は、「敵と味方の実情を熟知していれば、100回戦っても負けない」と諭す。それは、現代の中国にも脈々と受け継がれている。対して日本は、公然たる盗撮行為を取り締まることができないまま、手を拱くばかりだ。

20170301 08
中国は、スパイ活動と並行して“沖縄植民地化”を目論む。中国公船が尖閣諸島周辺の領海に侵入しても、最早大きなニュースにならない。「何度も殴れば日本人の心は折れる」と踏んだ中国の反復攻勢が、思惑通りに進む。その中国は、尖閣問題で主導権を握ったと見るや、今度は「尖閣だけでなく、沖縄そのものも日本に帰属しない」との言説を浸透させようと、対日工作のステージを引き上げつつある。“琉球独立論”の陰に、中国の影が揺れ動くのだ。中国が琉球独立派を隠れ蓑に、日本の主権を揺さぶってアメリカ軍を追い出し、沖縄を親中国に傾かせる――。そのシナリオを絵空事と切り捨てられない。「日本は、沖縄を国連教育科学文化機関(UNESCO)に登録申請する権利を有していない。我が国は懸念している」。中国外交当局者が最近、北京の日本大使館関係者に通告した。ここでいう“沖縄”とは、日本政府が2018年に世界自然遺産登録を目指している“奄美・琉球”(鹿児島県・沖縄県)を指す。この時、中国側は、日本が尖閣諸島を含む地域を世界遺産に登録申請する可能性に言及し、「受け入れられない」との認識を示唆した。尖閣を“自国領”と位置付ける中国の基本見解に立つ、毎度お馴染みの論法だ。だが、不可解さが付き纏う。“奄美・琉球”に、尖閣は元々含まれていないからだ。日本は、対象を鹿児島県の奄美大島と徳之島、沖縄県の沖縄本島北部と西表島の4ヵ所に絞り、世界自然遺産の候補地として、ユネスコの“暫定リスト”に追加している。これは公開情報で、中国が知らない筈はない。実は、中国が日本のユネスコ登録申請に難癖を付ける本当の狙いは、別のところにある。これを裏付けるのが、「琉球諸島は日本固有の領土とは言えない」と断じた昨年11月16日付の中国紙『環球時報』の評論記事だ。中国共産党機関紙『人民日報』傘下の環球時報は、党や国務院の本音を反映した記事を掲載し、世論の反応を窺う役割を担う。

その環球時報は記事の中で、「日本が琉球諸島を自国の領土にする目的で世界遺産登録を利用するなら、戦後の国際秩序への挑戦だ」と言い放った。中国が「沖縄を日本の主権下から解き放とう」と考えている本性を如実に示した言い回しに他ならない。一体、何を根拠に「沖縄は日本に帰属していない」と叫ぶのか? この点について記事は、「アメリカが沖縄を巡る主権を日本に引き渡した沖縄返還協定(※1971年調印)は無効である」為だとの理屈を展開する。それは、①日本は敗戦時にポツダム宣言を受諾、②これに伴って日本の主権は本州・北海道・九州四国と連合国が決定する島々に限定、③中国を含む連合国は宣言に基づいて沖縄の施政権を日本から接収し管理、④だがアメリカは中国の同意を得ずに施政権を日本に“返還”、⑤故に協定は無効だ――という筋立てである。日中国交正常化から45年が経過した現在、中国共産党のプロパガンダ紙がこうした宣伝工作に打って出るのは、双方の“主権及び領土保全の相互尊重”を定めた日中共同声明を順守する意思が、中国共産党自身に欠如している表れとしか言い様がない。そこに透けるのは、「欲しいものは圧倒的な国力で手に入れればいい」という身勝手極まりない発想だ。そこには伏線がある。人民日報は、第2次安倍政権発足間もない2013年5月8日付の紙面に、「釣魚島(尖閣諸島)を含む台湾だけでなく、未解決の琉球問題についても議論可能な時を迎えた」と訴える論文を掲載し、日本を驚かせた。中国が国内総生産(GDP)で日本を逆転し、世界第2位の経済大国の座にのし上がったのは、この2年前のこと。そして、“中華民族の復興”を掲げる強権的な習近平指導部が発足したのは、前年の2012年だった。論文の“議論可能な時”が、歯向かう日本を捻じ伏せられるだけの腕力を備えた時期を指しているのは間違いない。日本ではあまり認識されていないが、中国では外交当局でさえ「沖縄は日本の領土だ」と明言していない。人民日報が論文を掲載した当日、中国外交部報道局の華春瑩副局長は記者会見で、「琉球と沖縄の歴史は、学界が長期に亘って関心を寄せている問題だ」と述べるだけで、沖縄の日本帰属を認める発言は最後まで口にしなかった。当時、人民日報論文に反発した安倍政権は、外交ルートで抗議を申し入れたものの、門前払いを食らった。それどころか、3日後の11日には、環球時報が社説で「琉球国復活に向けた勢力を育てるべきだ」と提唱し、中国共産党の本音を白日の下に曝した。同9日、時事通信が北京発で、閲覧した中国の外交文書に基づき、「毛沢東が1964年に沖縄を日本領と認める発言をしていた」と暴露するスクープを打っている。人民日報へのカウンターパンチとも言える報道だが、日本で波紋が広がると、中国政府は直ちに当該文書を閲覧禁止とし、インターネット上に出回った関連情報を全て削除した。建国の父・毛沢東の発言記録を闇に葬った訳だ。この頃、もう1つの注目すべき動きが日本国内で起きている。環球時報が琉球独立勢力の後押しを呼び掛けてから4日後の15日、沖縄独立を訴える有識者らが『琉球民族独立総合研究学会』を設立したのだ。発起人の1人である龍谷大学の松島泰勝教授は、沖縄県庁での記者会見で、人民日報と連動しているかどうか問われ、「全く無い。迷惑だ」と否定した。

20170301 09
だが、「同じ時期に日中両国で琉球独立を求める声が上がった事実を、単なる偶然として片付けるのは無理がある」と言わざるを得ない。少なくとも中国側は、これを格好の動きとして利用しようと目論む。設立趣意書を読めば、「日本人は琉球を犠牲にして“日本の平和と繁栄”を享受し続けようとしている」「琉球の将来を決めるのは琉球民族。…日本から独立し、全ての軍事基地を撤去し、平和と希望の島をつくりあげる」と言いたい放題。「自分は琉球人であり、日本人と違う」と訴える松島氏は、自身のブログで自著『琉球独立への道』(法律文化社)を中国語に翻訳し、出版することを明言した。近く、北京大学や福建師範大学で講演するという。2005年、逸早く「沖縄の帰属先は未確定」と断じた論文を発表した北京大学・徐勇教授との交流にも言及している。また、昨年5月15日には、北京で『中国戦略・管理研究会』等が『琉球・沖縄最先端問題国際学術会議』を開き、中国側関係者が沖縄から出席した独立志向の強い学者らの報告に耳を傾けた。同研究会は、軍が関与する組織とみられる。公式ホームページを見ると、他界した元国防大臣を会のトップとして紹介する等、実態は謎に包まれている。琉球独立論は現在、当の沖縄県内でも際物扱いされており、近い内に独立運動が沖縄全土に広がる可能性は低い。だが、アメリカ軍基地問題を巡る県民の反発が強まる中、県内世論を吸収する形で運動が勢いづく可能性は捨て切れない。実際、公安調査庁は2017年版の『内外情勢の回顧と展望』で、琉球独立派に接近する中国の意図について、「日本国内の分断を図る戦略的な狙いが潜んでいるとみられる」と読み解いている。トロイの木馬神話は今、正体を偽ってコンピューターへ侵入し、データの消去や破壊、そしてファイル等を外部へ流出させるプログラムの名称として知られている。沖縄での諜報活動や琉球独立論への加担…。それは中国の陰謀に相通じる。現代版トロイの木馬宜しく、「沖縄が彼の国の術数に嵌まらない」と言い切れるのだろうか?


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