【東芝・4度目の危機】(04) 手じまいできぬ原発

20170302 10
東京都港区芝浦の『東芝』本社で今月上旬に開いた取締役評議会は、張り詰めた空気が漂った。誰も気に留めなかったアメリカの建設会社の買収をきっかけに生じた損失は7000億円。残酷としか言い様がない数字が資料に記された。「海外の原子力関連事業から手を引くシナリオも考えています」。『ウエスチングハウス(WH)』会長のダニエル・ロデリック(56)は、東芝の役員に説明し始めていた。決算発表が予定されている同14日には、リスクが大きい原発事業の見直し策を市場に示さなければならない。現状で考えられる最大限のリストラは、海外からの全面撤退だ。そこまで見せれば、市場が抱える先行き不安を解消できるかもしれない。だが、着工済みの案件は簡単に手仕舞いできなかった。「損害賠償を請求される等の法的リスクが高い」。WHから東芝本社に相次いだ報告を受け、日を追う毎に発表資料から踏み込んだ文言が削られていった。

社長の綱川智(61)が同14日の記者会見で示したのは、「海外事業は戦略的選択肢を検討していく」という基本方針のみ。アメリカや中国で建設中の8基については、リスクを抑えながら継続し、インドやイギリスでは「土木建築を止める」という案に留まった。「廃炉や汚染水対策に関与している企業なので、今後の対応を注視する」。巨額損失の発覚後、経済産業大臣の世耕弘成(54)は繰り返し発言してきた。『東京電力』福島第1原発の廃炉で中核を担う東芝がいなければ、作業に支障を来しかねない為だ。国の意向を横目に、綱川は先月末の記者会見で、「国内事業は責務を果たす」と宣言した。海外の方向性が固まらず、新規設置が見込めない国内を続ける東芝の事業方針からは、“成長”の2文字は見え難い。原子力事業を推進する国も、「東芝の失敗が原因だからカネを出し難い」(経産省幹部)と支援に及び腰。将来像は見えないままだ。同17日、上海で顧客を招いた東芝のフォーラム会場に、綱川の姿があった。「引き続き、東芝の製品を使って頂きたい」。頭を下げた綱川に続き、担当役員がビル設備や充電池等、社会インフラ事業の概要を説明した。もう、原子力やフラッシュメモリーには頼れない。違う会社に生まれ変わる覚悟が、東芝に問われている。 《敬称略》 =おわり

               ◇

田中博人・小野沢健一・大本幸宏・江渕智弘・細川幸太郎が担当しました。


⦿日本経済新聞 2017年2月24日付掲載⦿
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