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【依存社会ニッポン】第3部・オーバードーズ(上) 市販薬を過剰摂取する若者が急増

市販の風邪薬や、医師から処方される睡眠薬等、身近な薬を大量に飲み続け、依存する人が若い世代を中心に増えている。薬の過剰摂取は“オーバードーズ”とも呼ばれ、薬によっては命に関わる危険もある。連載第3部は、オーバードーズの現状と増加する背景、回復や予防対策の取り組みを報告する。

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東京都の女性医師(38)にとって、睡眠薬は“人の中で上手に生きる為の裏技”だった。大学時代、飲み会があっても下戸で、周りと同じように陽気になれないのが嫌で、不眠で処方された睡眠薬を飲んだ。ふわっと気持ちが楽になり、輪の中に溶け込めた。実習や発表で緊張を和らげる為にも利用。1回1錠、1日に5錠程度飲んだ。量が増えたのは医師として働き始めてから。重責や周囲への劣等感を抱え、朝昼晩に10錠ずつ飲むように。健忘や過食等の症状が表れ、離脱症状により勤務中に泡を吹いて倒れたこともあった。休職して入院したが、「薬を入手する方法ばかり考えていた」。外出許可が出た途端にドラッグストアをはしご。市販の鎮静薬を買い込み、60~70錠をその日のうちに飲みきった。夫と買い物に行っても、「ちょっとトイレ」と嘘を吐き、薬局で鎮静薬を手に入れてその場で飲む。具体的な不安がなくても、飲むと安心する。薬のコントロールが利かなくなり、トイレにタオルを突っ込む等の奇行も増えた。外出先から帰宅できず、警察に保護されたこともあった。33歳の時に自助グループに繋がった。周りを気にせず、自分の気持ちを吐露してもいいことを知った。心が落ち着き、乱用を止めることができた。「嘗ての自分のように苦しんでいる人の為」と、今は自助グループの運営を手伝うが、「電車の中で、白いタブレット菓子が1粒落ちているのを見るだけでドキッとしてしまう」と打ち明ける。厚生労働省研究班が昨年9~10月に行なった調査では、薬物依存の患者が使用した主たる薬物は覚醒剤が53.5%で最も多いが、睡眠薬・抗不安薬(※17.6%)と市販薬(※8.4%)を合わせると4分の1を占める。10代の患者では特に市販薬の割合が増加した。2016年は25%だが、2020年は56.4%だった。未成年でもドラッグストア等で簡単に入手できる為だ。

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『国立精神・神経医療研究センター』部長の松本俊彦さんによると、市販薬依存は違法薬物と比べて非行・犯罪歴を持つ者が少ない等、属性に違いがあるという。違法薬物は男性の割合が高いが、市販薬は女性の割合が半分くらい。困難な現実に過剰適応し、周囲が求める像を演じてしまう、所謂“いい子”も多いと指摘する。過剰摂取の理由も様々だ。神奈川県の男性(30)は17歳の頃、眠気覚まし等で使われる錠剤をドラッグストアで購入し、一度に10錠飲んだら意識を失った。「自分にイライラしていて、薬で自分を傷付ける行為だった」。大学を中退し、接客業を始めてからは咳止め薬を乱用。つらい時に20錠を一気に飲み、時間を空けて20~40錠ずつ追加する。頭が冴え、多幸感を感じ、笑顔を作って仕事ができたが、不眠に。そのまま働き続けると急に疲れが出て、仕事を休む。そんな生活が、28歳で回復支援施設に入るまで続いた。若い世代の依存にはSNSの影響も大きい。咳止めや風邪薬等のハッシュタグと共に大量の錠剤の写真が投稿される等、薬の情報が氾濫する。東京都の男性(25)は数年前、恋愛で深く傷付いた時、SNS上でオーバードーズを知った。意識を失ったことで怖くなり、過剰摂取を止めたが、「SNS上で薬のことを話したり、同じ気持ちの人がいるのを知って安心したりしていた」と話す。「過剰摂取は遊びではなくて悩みだと思う。気分を上げたいというよりも、緩めたい感じ」。薬物依存症の回復支援施設『ダルク女性ハウス』代表の上岡陽江さんは、「処方薬や市販薬は違法でないから罪悪感が弱く、入手も容易なので止め難い」と指摘。その上で、「回復の為には悩みに寄り添い、伴走するような支援が必要だ」と話す。


キャプチャ  2021年11月24日付掲載
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