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【依存社会ニッポン】第3部・オーバードーズ(中) 断薬ありきの治療、転換

20220303 07
「薬が止められなくても責められず話を聞いてくれるから安心できる」。関東地方の女性(31)が通院しているのが、『埼玉県立精神医療センター』にある依存症患者を対象にした“ようこそ外来”だ。断薬ありきではなく、「ようこそ、よく来られましたね」という姿勢で患者に接して信頼関係を築くことを目的にしているという。女性は、高校生の時にアトピーで不眠になり、睡眠薬を飲むようになった。アトピーが治ってからも寝付きが悪く、「寝なきゃ」と思ううちに薬が増えた。「仕事をするにも誰かと話すにも薬が必要になってしまった」。当時通っていた病院では1ヵ月分として30錠処方されたが、それでは足りない。1日に4~5軒の病院をはしごして薬を手に入れた。手元に600錠あったことも。1回に30錠飲んでしまうこともあり、意識障害を何回か起こした。救急車で病院に運ばれたこともある。7年程前、ようこそ外来 を受診し、治療に前向きになれたという。「苦しくても生きる為に仕方なく薬を飲んでいるのをわかってもらえた。薬をゼロにするのは怖いけれど、徐々に減らせるようになった」。近年、薬物の使用による個人的、社会的な害を減らすハームリダクションという考え方が注目されている。欧州で始まった政策だ。薬物使用者の処罰より治療・支援を重視し、薬物の使用が減らなくても、薬物による本人の健康被害や社会的な損失を減らすことを目指す。

日本では薬を断って回復を目指す治療が多かったが、薬が止められなくても本人の悩みに寄り添い、地域で孤立することがないようにする取り組みとして関心が広がっている。ようこそ外来もその一つで、同センター副病院長の成瀬暢也さんは「薬物に依存する人の多くはつらさを一人で抱え、誰にも相談できない。薬物使用は、生き難さを抱えた孤独な自己治療」と指摘。「無理矢理止めさせようとするのではなく、患者と信頼関係を育てていくことが他人との繋がりを作り、結果的に断薬に向かう」とする。依存症の当事者や精神保健福祉士、医師らで構成する『ハームリダクション東京』は6月、チャットで相談を受ける取り組みを始めた。「止めたいけど止められない」等、若い世代から悩みが寄せられている。共同代表の古藤吾郎さんは、「薬を止めようと意を決することが難しい状況にある人は、既存の相談先に行き難い。気軽に安心して話せる場所にしたいとインターネット上に設けた」と話す。薬物依存の相談は通常、本人よりも家族のほうが多いが、本人からの相談が9割以上を占め、市販薬や処方薬の相談が多いという。回復支援の為には家族の協力も欠かせない。『国立精神・神経医療研究センター』薬物依存研究部室長の嶋根卓也さんによると、家族は本人を責めたり、監視したり、薬を買うお金を肩代わりしたりしがちだが、そうした行動はイネイブリングとよばれ、依存を助長することもあるという。嶋根さんは、「各地の精神保健福祉センターの家族相談や、自分と同じ環境にいる家族の話を聞く家族会で、本人への接し方等を知ることが回復の一歩になる。家族も当事者の一人という考え方が大切」と話す。薬物依存者の家族で作るNPO法人『横浜ひまわり家族会』は、月に2回、家族会を開催する。その他にも一般向けのフォーラム等で、薬物使用者や家族の事例を紹介し、薬物依存に対する社会的な偏見をなくそうと努めている。家族会理事長の岡田三男さんは、「薬物が身近にあり、依存し易くなっている為、悩む家族も増えている。家族も使用者本人以上につらい場合もある。行政的な支援の他、社会でサポートする環境整備が重要」と強調する。


キャプチャ  2021年11月25日付掲載
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